私、平民の娘ですが、皇子様とご縁があるようです

もぐすけ

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最終話 十五年後

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 帝国ではテリュースラルーシ皇帝の即位後十周年の式典が執り行われていた。

 皇帝の隣には平民から皇后に上り詰めた最愛の妻アンが隣席している。

 神国からは魔法の天才の名を欲しいままにした若き国王ルーベンス二世と王妃フランソワが参列していた。

「フラン、まだサーシャは来ていないようだな」

「遠い国ですからね」

 十年前、帝国の皇籍を離脱したリングドラキシールが、妻のサーシャとともに発見した新大陸では、二人の発案した高度な魔法都市が次々に建設されていた。

 人々から夢の国と言われ、移住希望者が後を絶たないため、魔法都市はすでに二十以上になっているらしい。

 その国の初代国王リングと王妃サーシャが参列することも、今回の式典の目玉の一つとなっていた。

 王国のジャーナリストとして参加しているルミエールもサーシャとの十年ぶりの再会を楽しみにしていた。

 サーシャの両親は今回の式典では帝国貴族として参列していた。孫が二人出来たという連絡があり、会うのを楽しみにしていた。

 会場の入り口で大きな拍手が鳴り響いた。

 リング国王のエスコートで純白のドレスのサーシャ王妃が入場するところだった。王妃の足元には可愛らしい男の子と女の子がお行儀よく並んで歩いている。

「来たようね。相変わらず綺麗ね、あの子は」

「そうだね。フランとサーシャは学園でもダントツの美しさだったから、どっちにするか迷ったよ」

「何言ってるのよ、フラれたくせに」

「まさかリングに負けるとはなあ。まあ、負けてよかったけどね」

「ふふ、負け惜しみでないといいけど」

「でも、幸せそうでよかったよ」

「幸せに決まってるわよ、あの二人は。私たちのようにね」
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