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実家への招待
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師匠の家には、実は幼少時に何度かお邪魔したことがある。
サーシャともそのときによく遊んだのだが、リングもサーシャも幼かったので、恐らくその当時のことは忘れてしまっているのだろう。
俺も草原を見るまでは忘れていたくらいだから。
「お父様、こちらは帝国の皇子様のテリィ様とリング様です。王国のアンソニー王子から私を守って頂いたのです」
せっかくサーシャが紹介してくれているが、師匠も聖女様も俺たちと全く目を合わせない。
「アンソニーのクソガキから何かされたのか? お前は美人だから気をつけろって言っただろう?」
「あなた、気をつけても、王族とか皇族の男はろくでなしばかりだから、どうにもならないのですよ」
「お、お母様っ!」
「あら? この方々は皇子様でしたわね。ごめんあそばせっ」
聖女様は陛下にしつこく言い寄られたことを根に持っていて、陛下とはいまだに口をきかない。陛下にあんな態度を取れるのは聖女様だけだ。
俺は父親似で、リングは母親似だが、聖女様は若い頃の母とも確執があったらしく、俺たち兄弟には基本的には冷たい。
幼少時はそうでもなかったのだが、皇族らしくなって来たわね、とかいって、成長してからは極寒だ。
マリンの母は聖女様と仲が良かったため、マリンには優しいが。
「テリィ様とリング様とは魔法の研究をご一緒させて頂いているのです。私と同じぐらい魔法好きでいらっしゃって、とても楽しいです」
ああ、サーシャ、ここで笑顔なのはお前だけだ。
「さあ、サーシャ、皇子様たちにお茶を淹れて差し上げましょう。キッチンにおいで」
まずい。師匠の詰問が始まるのか。
「おい、お前たち、一体何の真似だ?」
「サーシャさんにちょっかい出すアンソニーのアホを懲らしめただけです、師匠。お家がお近くということで、お嬢様からお誘いを受け、お邪魔しました」
「ふん。アンソニーの次にお前たちがちょっかいを出すんじゃないだろうな。ちょっかい出したら、殺すぞ」
「まさかちょっかいなんて、なあ、リング」
「そ、そうですよ。師匠の大事な娘さんにちょっかいなど……」
「アンソニーを蹴散らしたのは本当のようだな。サーシャも困っていたようだ。とりあえず、礼を言っておこう。で、俺とローズの正体は明かしていないだろうな」
「「もちろんです」」
よかった。やはりバラしてはダメだったのだ。
聖女様がサーシャと一緒にお茶を持って来てくれた。
「さあ、テリィ様にはミントの紅茶、リング様にはコーヒーをお持ちしました」
う、俺の大嫌いなミントティーとリングが飲めないコーヒーか、明らかに俺たちは招かざる客だな。
「お母様がお二方のイメージに合わせてご用意させて頂いたのだけれど、私はテリィ様がコーヒー、リング様がミントティーって感じがするのですが……」
サーシャ、お前の勘は正しいぞ。
「どうぞお構いなく、そ、そういえば、俺は大使館に早く戻らないといけないのでしたっ!」
「ぼ、僕も今日は兄のお手伝いをっ」
「サーシャ、公務のお邪魔をしてはいけないわよ。皇族の方はね、妻よりも子供よりも、何よりも公務が最優先なの。間違っても皇族には嫁がないでね。さっ、送って差し上げなさい」
「お、お母様……」
ううっ、聖女様のご機嫌は最悪だっ。早く退散した方がいい。
俺たちは逃げるようにして師匠の家を後にした。
サーシャともそのときによく遊んだのだが、リングもサーシャも幼かったので、恐らくその当時のことは忘れてしまっているのだろう。
俺も草原を見るまでは忘れていたくらいだから。
「お父様、こちらは帝国の皇子様のテリィ様とリング様です。王国のアンソニー王子から私を守って頂いたのです」
せっかくサーシャが紹介してくれているが、師匠も聖女様も俺たちと全く目を合わせない。
「アンソニーのクソガキから何かされたのか? お前は美人だから気をつけろって言っただろう?」
「あなた、気をつけても、王族とか皇族の男はろくでなしばかりだから、どうにもならないのですよ」
「お、お母様っ!」
「あら? この方々は皇子様でしたわね。ごめんあそばせっ」
聖女様は陛下にしつこく言い寄られたことを根に持っていて、陛下とはいまだに口をきかない。陛下にあんな態度を取れるのは聖女様だけだ。
俺は父親似で、リングは母親似だが、聖女様は若い頃の母とも確執があったらしく、俺たち兄弟には基本的には冷たい。
幼少時はそうでもなかったのだが、皇族らしくなって来たわね、とかいって、成長してからは極寒だ。
マリンの母は聖女様と仲が良かったため、マリンには優しいが。
「テリィ様とリング様とは魔法の研究をご一緒させて頂いているのです。私と同じぐらい魔法好きでいらっしゃって、とても楽しいです」
ああ、サーシャ、ここで笑顔なのはお前だけだ。
「さあ、サーシャ、皇子様たちにお茶を淹れて差し上げましょう。キッチンにおいで」
まずい。師匠の詰問が始まるのか。
「おい、お前たち、一体何の真似だ?」
「サーシャさんにちょっかい出すアンソニーのアホを懲らしめただけです、師匠。お家がお近くということで、お嬢様からお誘いを受け、お邪魔しました」
「ふん。アンソニーの次にお前たちがちょっかいを出すんじゃないだろうな。ちょっかい出したら、殺すぞ」
「まさかちょっかいなんて、なあ、リング」
「そ、そうですよ。師匠の大事な娘さんにちょっかいなど……」
「アンソニーを蹴散らしたのは本当のようだな。サーシャも困っていたようだ。とりあえず、礼を言っておこう。で、俺とローズの正体は明かしていないだろうな」
「「もちろんです」」
よかった。やはりバラしてはダメだったのだ。
聖女様がサーシャと一緒にお茶を持って来てくれた。
「さあ、テリィ様にはミントの紅茶、リング様にはコーヒーをお持ちしました」
う、俺の大嫌いなミントティーとリングが飲めないコーヒーか、明らかに俺たちは招かざる客だな。
「お母様がお二方のイメージに合わせてご用意させて頂いたのだけれど、私はテリィ様がコーヒー、リング様がミントティーって感じがするのですが……」
サーシャ、お前の勘は正しいぞ。
「どうぞお構いなく、そ、そういえば、俺は大使館に早く戻らないといけないのでしたっ!」
「ぼ、僕も今日は兄のお手伝いをっ」
「サーシャ、公務のお邪魔をしてはいけないわよ。皇族の方はね、妻よりも子供よりも、何よりも公務が最優先なの。間違っても皇族には嫁がないでね。さっ、送って差し上げなさい」
「お、お母様……」
ううっ、聖女様のご機嫌は最悪だっ。早く退散した方がいい。
俺たちは逃げるようにして師匠の家を後にした。
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