私、平民の娘ですが、皇子様とご縁があるようです

もぐすけ

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【幕間】フランソワ王女の友だち宣言

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 私はフランソワ、下半身丸出しで逃げ帰って来た不憫な兄を持つ妹。

 おのれサーシャめ。平民でありながら我ら王族をよくもここまでコケにしてくれたな。

 兄は可哀想なことにすっかり戦意喪失してしまった。

 肉体的には修復されたはずの兄のそれは、精神的には一生使い物にならなくなってしまったらしい。

 残念な兄ではあるが、小さい頃から私を可愛いがってくれた兄なのよ。兄の分も含めて、必ずやあなたに復讐してやるわ。

 でも、平民のくせにあの子は手強いのよ。

 まず、あの魔法の才能は、一体何なのよ。あの子は滅多に魔法を見せないけど、最初に見せた電撃魔法は悔しいけど見惚れてしまったわ。

 タイミングも精度も力加減も全て完璧で、美しいプラズマを放ち、いつまでも放電が終わらないのよ。

 あんな美しい魔法を放つ魔法使いは賢者か聖女ぐらいよ。

 いけない。敵を褒め称えてどうするのよ。魔法には気をつけろってことね。

 次にあの子の美貌だけど、あんなの反則でしょう。

 まず、肌だけど、雪のように白く、頬がほんのり桜色で、きめ細かくて、毛穴なんてないんじゃないかしら。

 目は大きくまつ毛が長く、とても綺麗なエメラルド色の虹彩をしている。

 私は特にあの子の鼻の形が好きなのよ。まさに可憐の塊よね。

 って、だから敵を褒めちぎってどうするのよ、私は。

 でも、敵の長所を分析することは大事よ。めげずに続けるわよ。

 三つ目は男心をがっしりと掴む恋愛技術力の高さね。

 お兄様もそうだけど、帝国の皇子も二人ともあの子に早くもメロメロみたいね。あんないい男が二人で争って彼女に婚約の申し込みをしているっていうじゃない。

 なんて羨ましい、ってそんなことでどうするの、私!

 恋愛は押し引きって言うけど、そんな単純じゃないのよね。

 あの女はほとんど引いた状態で、無反応、天然ボケって技を混ぜながら、気づかないぐらいの押しをほんの少しだけ混ぜるのよ。

 押された男はイチコロよ。ほんの少しで劇薬のような威力があるの。

 私なんかは、引いたら去っていかれるんじゃないかって、とても怖くてあそこまでの引きは出来ないわ。

 本当に恐ろしい女だわ。

 それと帝国がバックについているってのが一番やばいわ。

 私の一番の武器である「王室の権威」が、たかが平民に全く効かないのよね。

 いくら監禁されたとはいえ、平民の女が、再起不能になるまで王子の金的を蹴り上げて、全くお咎めなしってあり得ないでしょう。

 当然不敬罪が適用されるべきだけど、帝国が睨みを効かせていて、起訴すら出来ないだなんて。

 ダメだわ。攻めるべき弱点がないわ。

 もうこうなったら、友達になるしかないわね。

 敵にするより、友達でいた方が得なんじゃないかしら。
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