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皇子からの招待
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帝国の皇子から私が招待されたという話は、尾ひれ背びれがついて、瞬く間に学園中に広まった。
「サーシャ、行くんでしょう?」
私は平民用の食堂でルミエールとランチしているのだが、全員が私たちの会話に耳をすましているような気がした。
「帝国の王子の命令を単なる平民の私が断れるわけないでしょう。でも、なぜ私が学園一の魔法の使い手なのかしら」
ルミエールが小声で囁いた。
「学園長がそう言ったらしいのよ」
「そうなの!? 何故かしら」
「学園長は生徒全員の成績を持っているからね。私としては、平民出身者が最優秀ってのが痛快でいいわ」
「個人情報を漏らすなんて……」
「平民の個人情報なんてそんな扱いよ。それよりも、あの二人、あなたが登校するのをずっと待っていたみたいよ。でね、あなた、一限目をさぼったでしょう」
朝の不快な出来事が蘇って来た。
「アンソニー様からお話を頂いていたのよ」
ルミエールが合点いったという顔になった。
「それよっ! つい先ほどのことなんだけれど、お二人がアンソニー王子にあなたには近寄らないようにって、厳しく言い渡したらしいのよ。かなり強く言われたようで、アンソニー様は半泣き状態だったらしいわよ」
「え? そうなの?」
「それと、これは先日のことだけど、アンとあなたの事件について、フランソワ様もお二人に呼び出されたそうなの。その後、フランソワ様の学園での振る舞いについて、帝国から王国の王室に厳重注意をしたらしいのよ。フランソワ様は現在ご自宅で謹慎中なんだって」
アンソニー王子の言っていた妹が私にはもう手を出さないというのはこのことだったのか。てっきり、私をアンソニー王子の妾にするから、手を出させないようにさせたのだと勘違いしていた。
あるいは、勘違いさせようとしたのかもしれない。
「学園はあなたの噂でもちきりよ。帝国の皇子二人があなたに興味を持ってるってね。貴族の令嬢たちがあなたのことを調べ始めているわ。ほとんどがあなたを敵視しているから、気をつけてね」
「私というよりも、王族としての行動に問題があるということでのご注意ではないかしら」
「そうは思ってないわよ。少なくとも貴族のご令嬢たちはね」
私は魔法の勉強がしたいだけなのに、どうしてこうなるのかしら。
貴族の校舎に平民が立ち入ることは禁止されているが、平民の校舎への貴族の出入りは自由だ。
貴族の新入生の令嬢たちとは実技で一緒だったため、私のことをよく知っている。その新入生を案内役にして、次から次へと貴族の上級生の令嬢たちが、私を見に来るようになった。
「まあ、思った通りの魔性の女ね」
「殿下もまだお若いから、ちょっと綺麗な平民の女が珍しいのよ」
「アンソニー様もお可哀想に、こんな女に騙されて」
私は休み時間のたびに、教室の外の廊下から窓越しにじろじろと見られ、罵詈雑言を浴びせられることになった。
今日、王子様お二人にお会いしてお願いしよう。このお姉様方を何とかして欲しいと。
中には授業中にもかかわらず、私を見学に来る令嬢がいて、そういうのに限って爵位が高いお嬢様だったりするため、大半が下級貴族の教師は、注意することが出来なかった。
それどころか、教師は授業を邪魔されるのは私のせいだとばかりに、私を睨んで来る。
ようやく長い一日が終わり、平民校舎を出ると、皇子の執事という人物に話しかけられた。
「サーシャ様、私、両殿下にお仕えしておりますセバスチャンと申します。両殿下の命により、お迎えに上がりました」
大勢の見物人の目に晒されながら、私は学園の門のところに待機している豪華な馬車まで案内された。
(なんだか見たことのある馬車だけど、気のせいよね)
「サーシャ、行くんでしょう?」
私は平民用の食堂でルミエールとランチしているのだが、全員が私たちの会話に耳をすましているような気がした。
「帝国の王子の命令を単なる平民の私が断れるわけないでしょう。でも、なぜ私が学園一の魔法の使い手なのかしら」
ルミエールが小声で囁いた。
「学園長がそう言ったらしいのよ」
「そうなの!? 何故かしら」
「学園長は生徒全員の成績を持っているからね。私としては、平民出身者が最優秀ってのが痛快でいいわ」
「個人情報を漏らすなんて……」
「平民の個人情報なんてそんな扱いよ。それよりも、あの二人、あなたが登校するのをずっと待っていたみたいよ。でね、あなた、一限目をさぼったでしょう」
朝の不快な出来事が蘇って来た。
「アンソニー様からお話を頂いていたのよ」
ルミエールが合点いったという顔になった。
「それよっ! つい先ほどのことなんだけれど、お二人がアンソニー王子にあなたには近寄らないようにって、厳しく言い渡したらしいのよ。かなり強く言われたようで、アンソニー様は半泣き状態だったらしいわよ」
「え? そうなの?」
「それと、これは先日のことだけど、アンとあなたの事件について、フランソワ様もお二人に呼び出されたそうなの。その後、フランソワ様の学園での振る舞いについて、帝国から王国の王室に厳重注意をしたらしいのよ。フランソワ様は現在ご自宅で謹慎中なんだって」
アンソニー王子の言っていた妹が私にはもう手を出さないというのはこのことだったのか。てっきり、私をアンソニー王子の妾にするから、手を出させないようにさせたのだと勘違いしていた。
あるいは、勘違いさせようとしたのかもしれない。
「学園はあなたの噂でもちきりよ。帝国の皇子二人があなたに興味を持ってるってね。貴族の令嬢たちがあなたのことを調べ始めているわ。ほとんどがあなたを敵視しているから、気をつけてね」
「私というよりも、王族としての行動に問題があるということでのご注意ではないかしら」
「そうは思ってないわよ。少なくとも貴族のご令嬢たちはね」
私は魔法の勉強がしたいだけなのに、どうしてこうなるのかしら。
貴族の校舎に平民が立ち入ることは禁止されているが、平民の校舎への貴族の出入りは自由だ。
貴族の新入生の令嬢たちとは実技で一緒だったため、私のことをよく知っている。その新入生を案内役にして、次から次へと貴族の上級生の令嬢たちが、私を見に来るようになった。
「まあ、思った通りの魔性の女ね」
「殿下もまだお若いから、ちょっと綺麗な平民の女が珍しいのよ」
「アンソニー様もお可哀想に、こんな女に騙されて」
私は休み時間のたびに、教室の外の廊下から窓越しにじろじろと見られ、罵詈雑言を浴びせられることになった。
今日、王子様お二人にお会いしてお願いしよう。このお姉様方を何とかして欲しいと。
中には授業中にもかかわらず、私を見学に来る令嬢がいて、そういうのに限って爵位が高いお嬢様だったりするため、大半が下級貴族の教師は、注意することが出来なかった。
それどころか、教師は授業を邪魔されるのは私のせいだとばかりに、私を睨んで来る。
ようやく長い一日が終わり、平民校舎を出ると、皇子の執事という人物に話しかけられた。
「サーシャ様、私、両殿下にお仕えしておりますセバスチャンと申します。両殿下の命により、お迎えに上がりました」
大勢の見物人の目に晒されながら、私は学園の門のところに待機している豪華な馬車まで案内された。
(なんだか見たことのある馬車だけど、気のせいよね)
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