53 / 55
王都篇
聖女
しおりを挟む
クレアは盾となってくれる聖女の当てがあった。
現役の聖女たちは教皇の配下で、半年前に危うく浄化されそうになったが、ミントの聖女は、ダンジョンまで追って来たものの、最後に見当はずれのスケルトンを浄化して、追跡をやめてくれたのだ。
現在、聖女たちは聖女入れ替え戦のため、王都に集結している。クレア自身が会いに行くのは危険だし、サーシャも聖女の訓練中にやらかしているため、どう接触しようかと悩んでいたところ、ミントの聖女の方から、セントマリア学院のリズたちに接触して来た。
サーシャの要望でリズたちとはあの日以来毎週面会しているため、ミントの聖女がサーシャに会いたがっていることをクレアはタイムリーに聞くことができたのである。
ミントの聖女とは、例の王都のカフェで、ミーシャが会うことになった。クレアも同行する許可を取り、ミーシャと一緒に参加した。
「ソフィアです。よろピコ」
クレアは、いきなり先制パンチを食らった感じだった。
「よ、よろしく。クレアです」
「あら? お姉さん、憑依されてるわよ。浄化しちゃおうっか?」
「ミントの聖女様、ご本人同意の上の憑依ですわ。それに、今日お話ししたいのは憑依している方ですの」
クレアは肝を冷やした。だが、ホーリーを唱えられても、サーシャが守ってくれるはずだ。
「そうなのね。失礼しまウマ。ところで、さっそく話したいこと話すね。サーシャ、辞めちゃダメじゃないっ。お姉さんは悲しかったのよぉ」
(ミントの聖女様、こんな方でしたかしら……)
「で、でも、平民とは一緒にいたくない、と言われましたの」
「サーシャが平民なわけないじゃないっ。こんなに可愛くて、神聖力がはち切れんばかりなのにっ。胸もはちきれそうだけどっ」
(おじ様がミントの聖女様はアホだ、っておっしゃってたけど、本当にそうかもしれませんわ……)
「は、はあ」
「私はあなたの孤児院まで行って確かめたのよぉ。そうしたら、サーシャはノーランドの貴族の娘で、南北戦争の戦災孤児だったんですって」
「そ、そうでしたの?」
「ノーランドの名門、ヴィクトリノクス侯爵家の娘よ。まあ、ノーランドは王国に負けちゃったけど。でも、どこが平民なのよぉ。で、マーガレットのバカに、よくも才能ある聖女候補を追い出したなっ、て折檻したら、謹慎処分になっちゃたのよ。マーガレットではなく、私がね」
「はあ」
「でも、あなたすごいわねっ。聖女候補の宿舎の全員をぼっこぼこにしたんでしょう? 教皇が血眼になって探しているけど、よく見つかならいでいるわねぇ」
「索敵のスキルがありますの。それとクレアお姉様に匿っていただいておりますの」
「え? ビーストのスキルよね。ちょっとステータスを見ていいかな?」
言ってるそばから、ソフィアは鑑定のスキルを放っている。ミーシャは悪寒を感じたが、偽装が適当なステータスを表示しているはずだ。
「あれ? 見えない」
「偽装のスキルを持っておりますの」
「サーシャ!? もう侯爵級の悪魔を倒したの? 聖女全員でも逃げられるのに!」
「いえ、頂いたのですわ」
「授与のスキル? 誰なの!?」
「それは、お話しできませんわ」
「あ、ごめんなさい。スキルの入手方法の質問はマナー違反だったわぁ。そう、じゃあ、レベルはいくつまで上がったの? これは聞いても大丈夫?」
「ええ、大丈夫ですわ。4318ですわ」
「よ、よんせん……。これは聖女教育を根本的に考え直さないとダメね。三年かけて一生懸命2500まで上げている一方で、脱走した人があっという間に4000超えだなんて。王都の聖女でも3000まで行ってないわよ。私なんか2600もないわよ。じゃあ、ホーリーはもうできるのね」
「はい。できますわ」
ソフィアは首をギギギと回して、視線をサーシャからクレアに移した。
「……。あの、そちらのクリアさんのご教育なのでしょうか」
「私は何もしていないわよ。でも、同じような訓練をあなたにはしてあげられそうよ、ソフィアさん」
「まじ!?」
***
その後、ミントの聖女ソフィアは、聖女の入れ替え戦で敗退し、聖女を引退した。
そして、クレアの従者となり、レベルをすさまじい勢いで上げていくことになる。
ーー データ ーー
名前:ボーン
種族:スケルトンナイト レベル4318
魔法:マップ、フィア、フレア、デス、
チャーム、イリュージョン、デュアル、
センド
技能:無痛、復活、剣技、拳闘、投擲、
解錠、裁縫、刀技、忍術、変態、
触覚、毒針、怪力、複眼、操糸、
蛍光、営巣、蜜蝋、集蜜、人形、
商才、算術、簿記、格納、行商、
馬術、交渉、契約、合成、潜水、
魚泳、授与、天使、悪魔、魔王、
全知、予知、支配、憑依、使徒、
蟲使、偽装、魅惑、傀儡、変装、
転生、霊感、霊視、舞踊、演奏、
離脱、語学、分裂、修復、複製、
鑑定、偽装、無音、迷彩、索敵、
集音、跳躍、俊足
経過日数:205
リズ レベル4318、チャット、ハウント、
スチール、オーラ、サモン、
プロキシー
霊感、睡眠、鑑定、偽装、無音、
迷彩、索敵、集音、跳躍、俊足
アリサ レベル4318、サンダー、ライト、
グラビティ、メテオ、タイム、
ディメンション
算術、記憶、鑑定、偽装、無音、
迷彩、索敵、集音、跳躍、俊足
サーシャ レベル4318、キュア、クリーン、
デトクス、ガード、オラクル、
ホーリー
霊視、鑑定、偽装、無音、迷彩、
索敵、集音、跳躍、俊足
現役の聖女たちは教皇の配下で、半年前に危うく浄化されそうになったが、ミントの聖女は、ダンジョンまで追って来たものの、最後に見当はずれのスケルトンを浄化して、追跡をやめてくれたのだ。
現在、聖女たちは聖女入れ替え戦のため、王都に集結している。クレア自身が会いに行くのは危険だし、サーシャも聖女の訓練中にやらかしているため、どう接触しようかと悩んでいたところ、ミントの聖女の方から、セントマリア学院のリズたちに接触して来た。
サーシャの要望でリズたちとはあの日以来毎週面会しているため、ミントの聖女がサーシャに会いたがっていることをクレアはタイムリーに聞くことができたのである。
ミントの聖女とは、例の王都のカフェで、ミーシャが会うことになった。クレアも同行する許可を取り、ミーシャと一緒に参加した。
「ソフィアです。よろピコ」
クレアは、いきなり先制パンチを食らった感じだった。
「よ、よろしく。クレアです」
「あら? お姉さん、憑依されてるわよ。浄化しちゃおうっか?」
「ミントの聖女様、ご本人同意の上の憑依ですわ。それに、今日お話ししたいのは憑依している方ですの」
クレアは肝を冷やした。だが、ホーリーを唱えられても、サーシャが守ってくれるはずだ。
「そうなのね。失礼しまウマ。ところで、さっそく話したいこと話すね。サーシャ、辞めちゃダメじゃないっ。お姉さんは悲しかったのよぉ」
(ミントの聖女様、こんな方でしたかしら……)
「で、でも、平民とは一緒にいたくない、と言われましたの」
「サーシャが平民なわけないじゃないっ。こんなに可愛くて、神聖力がはち切れんばかりなのにっ。胸もはちきれそうだけどっ」
(おじ様がミントの聖女様はアホだ、っておっしゃってたけど、本当にそうかもしれませんわ……)
「は、はあ」
「私はあなたの孤児院まで行って確かめたのよぉ。そうしたら、サーシャはノーランドの貴族の娘で、南北戦争の戦災孤児だったんですって」
「そ、そうでしたの?」
「ノーランドの名門、ヴィクトリノクス侯爵家の娘よ。まあ、ノーランドは王国に負けちゃったけど。でも、どこが平民なのよぉ。で、マーガレットのバカに、よくも才能ある聖女候補を追い出したなっ、て折檻したら、謹慎処分になっちゃたのよ。マーガレットではなく、私がね」
「はあ」
「でも、あなたすごいわねっ。聖女候補の宿舎の全員をぼっこぼこにしたんでしょう? 教皇が血眼になって探しているけど、よく見つかならいでいるわねぇ」
「索敵のスキルがありますの。それとクレアお姉様に匿っていただいておりますの」
「え? ビーストのスキルよね。ちょっとステータスを見ていいかな?」
言ってるそばから、ソフィアは鑑定のスキルを放っている。ミーシャは悪寒を感じたが、偽装が適当なステータスを表示しているはずだ。
「あれ? 見えない」
「偽装のスキルを持っておりますの」
「サーシャ!? もう侯爵級の悪魔を倒したの? 聖女全員でも逃げられるのに!」
「いえ、頂いたのですわ」
「授与のスキル? 誰なの!?」
「それは、お話しできませんわ」
「あ、ごめんなさい。スキルの入手方法の質問はマナー違反だったわぁ。そう、じゃあ、レベルはいくつまで上がったの? これは聞いても大丈夫?」
「ええ、大丈夫ですわ。4318ですわ」
「よ、よんせん……。これは聖女教育を根本的に考え直さないとダメね。三年かけて一生懸命2500まで上げている一方で、脱走した人があっという間に4000超えだなんて。王都の聖女でも3000まで行ってないわよ。私なんか2600もないわよ。じゃあ、ホーリーはもうできるのね」
「はい。できますわ」
ソフィアは首をギギギと回して、視線をサーシャからクレアに移した。
「……。あの、そちらのクリアさんのご教育なのでしょうか」
「私は何もしていないわよ。でも、同じような訓練をあなたにはしてあげられそうよ、ソフィアさん」
「まじ!?」
***
その後、ミントの聖女ソフィアは、聖女の入れ替え戦で敗退し、聖女を引退した。
そして、クレアの従者となり、レベルをすさまじい勢いで上げていくことになる。
ーー データ ーー
名前:ボーン
種族:スケルトンナイト レベル4318
魔法:マップ、フィア、フレア、デス、
チャーム、イリュージョン、デュアル、
センド
技能:無痛、復活、剣技、拳闘、投擲、
解錠、裁縫、刀技、忍術、変態、
触覚、毒針、怪力、複眼、操糸、
蛍光、営巣、蜜蝋、集蜜、人形、
商才、算術、簿記、格納、行商、
馬術、交渉、契約、合成、潜水、
魚泳、授与、天使、悪魔、魔王、
全知、予知、支配、憑依、使徒、
蟲使、偽装、魅惑、傀儡、変装、
転生、霊感、霊視、舞踊、演奏、
離脱、語学、分裂、修復、複製、
鑑定、偽装、無音、迷彩、索敵、
集音、跳躍、俊足
経過日数:205
リズ レベル4318、チャット、ハウント、
スチール、オーラ、サモン、
プロキシー
霊感、睡眠、鑑定、偽装、無音、
迷彩、索敵、集音、跳躍、俊足
アリサ レベル4318、サンダー、ライト、
グラビティ、メテオ、タイム、
ディメンション
算術、記憶、鑑定、偽装、無音、
迷彩、索敵、集音、跳躍、俊足
サーシャ レベル4318、キュア、クリーン、
デトクス、ガード、オラクル、
ホーリー
霊視、鑑定、偽装、無音、迷彩、
索敵、集音、跳躍、俊足
0
お気に入りに追加
801
あなたにおすすめの小説
「お前のような役立たずは不要だ」と追放された三男の前世は世界最強の賢者でした~今世ではダラダラ生きたいのでスローライフを送ります~
平山和人
ファンタジー
主人公のアベルは転生者だ。一度目の人生は剣聖、二度目は賢者として活躍していた。
三度目の人生はのんびり過ごしたいため、アベルは今までの人生で得たスキルを封印し、貴族として生きることにした。
そして、15歳の誕生日でスキル鑑定によって何のスキルも持ってないためアベルは追放されることになった。
アベルは追放された土地でスローライフを楽しもうとするが、そこは凶悪な魔物が跋扈する魔境であった。
襲い掛かってくる魔物を討伐したことでアベルの実力が明らかになると、領民たちはアベルを救世主と崇め、貴族たちはアベルを取り戻そうと追いかけてくる。
果たしてアベルは夢であるスローライフを送ることが出来るのだろうか。
「クズスキルの偽者は必要無い!」と公爵家を追放されたので、かけがえのない仲間と共に最高の国を作ります
古河夜空
ファンタジー
「お前をルートベルク公爵家から追放する――」それはあまりにも突然の出来事だった。
一五歳の誕生日を明日に控えたレオンは、公爵家を追放されてしまう。魔を制する者“神託の御子”と期待されていた、ルートベルク公爵の息子レオンだったが、『継承』という役立たずのスキルしか得ることができず、神託の御子としての片鱗を示すことが出来なかったため追放されてしまう。
一人、逃げる様に王都を出て行くレオンだが、公爵家の汚点たる彼を亡き者にしようとする、ルートベルク公爵の魔の手が迫っていた。「絶対に生き延びてやる……ッ!」レオンは己の力を全て使い、知恵を絞り、公爵の魔の手から逃れんがために走る。生き延びるため、公爵達を見返すため、自分を信じてくれる者のため。
どれだけ窮地に立たされようとも、秘めた想いを曲げない少年の周りには、人、エルフ、ドワーフ、そして魔族、種族の垣根を越えたかけがえの無い仲間達が集い―― これは、追放された少年が最高の国を作りあげる物語。
※他サイト様でも掲載しております。
俺のスキルが無だった件
しょうわな人
ファンタジー
会社から帰宅中に若者に親父狩りされていた俺、神城闘史(かみしろとうじ)。
攻撃してきたのを捌いて、逃れようとしていた時に眩しい光に包まれた。
気がつけば、見知らぬ部屋にいた俺と俺を狩ろうとしていた若者五人。
偉そうな爺さんにステータスオープンと言えと言われて素直に従った。
若者五人はどうやら爺さんを満足させたらしい。が、俺のステータスは爺さんからすればゴミカスと同じだったようだ。
いきなり金貨二枚を持たされて放り出された俺。しかし、スキルの真価を知り人助け(何でも屋)をしながら異世界で生活する事になった。
【お知らせ】
カクヨムで掲載、完結済の当作品を、微修正してこちらで再掲載させて貰います。よろしくお願いします。
MMOやり込みおっさん、異世界に転移したらハイエルフの美少女になっていたので心機一転、第二の人生を謳歌するようです。
遠野紫
ファンタジー
大人気スマホMMO『ネオ・ワールド・オンライン』、通称ネワオンの廃人プレイヤーであること以外はごく普通の一般的なおっさんであった彼は今日もいつもと変わらない日常を送るはずだった。
しかし無情にもネワオンのサ終が決まってしまう。サービスが終わってしまう最後のその時を見届けようとした彼だが、どういう訳か意識を失ってしまい……気付けば彼のプレイヤーキャラであるハイエルフの姿でネワオンの世界へと転移していたのだった。
ネワオンの無い元の世界へと戻る意味も見いだせなかった彼は、そのままプレイヤーキャラである『ステラ・グリーンローズ』としてネワオンの世界で生きて行くことを決意。
こうして廃人プレイヤーであるおっさんの第二の人生が今始まるのである。
前世は悪神でしたので今世は商人として慎ましく生きたいと思います
八神 凪
ファンタジー
平凡な商人の息子として生まれたレオスは、無限収納できるカバンを持つという理由で、悪逆非道な大魔王を倒すべく旅をしている勇者パーティに半ば拉致されるように同行させられてしまう。
いよいよ大魔王との決戦。しかし大魔王の力は脅威で、勇者も苦戦しあわや全滅かというその時、レオスは前世が悪神であったことを思い出す――
そしてめでたく大魔王を倒したものの「商人が大魔王を倒したというのはちょっと……」という理由で、功績を与えられず、お金と骨董品をいくつか貰うことで決着する。だが、そのお金は勇者装備を押し付けられ巻き上げられる始末に……
「はあ……とりあえず家に帰ろう……この力がバレたらどうなるか分からないし、なるべく目立たず、ひっそりしないとね……」
悪神の力を取り戻した彼は無事、実家へ帰ることができるのか?
八神 凪、作家人生二周年記念作、始動!
※表紙絵は「茜328」様からいただいたファンアートを使用させていただきました! 素敵なイラストをありがとうございます!
スローライフは仲間と森の中で(仮)
武蔵@龍
ファンタジー
神様の間違えで、殺された主人公は、異世界に転生し、仲間たちと共に開拓していく。
書くの初心者なので、温かく見守っていただければ幸いです(≧▽≦) よろしくお願いしますm(_ _)m
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる