スケルトンに転生した。冒険者に倒され続ける毎日だったが、冒険者を倒すとレベルアップするんだな

もぐすけ

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王都篇

学園生活

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 リズとアリサのセントマリア学院での生活も三ヶ月を過ぎた。

 王女が勉強を教えてくれるようになると、他の生徒も王女に倣って、リズとアリサに親切にしてくれるようになり、二人の学園生活はとても快適なものに変わっていた。

 リズは勉強が楽しくなり、成績がぐんぐんと良くなって来た。それとようやく待ちに待った第二次性徴が始まり、リズは女性らしい体つきに変わっていった。

 一方のアリサは、勉強は卒なくこなせるようになっていたが、特に魔法学と医学が得意だった。人体の仕組みに興味があり、どうすれば人を殺せるとか、そういう物騒な話をリズに得意げに話したりする危ない人になりつつあった。

 楽しい学園生活なのだが、二人には心配事が二つあった。

 一つ目は、サーシャの行方が分からなくなったことだ。クラスメートから、聖女候補に平民が混じっていて、追い出されたという話を聞いたのだ。ただ、この件については解決済みだ。サーシャから手紙が来たのだ。スケルトンクイーンと一緒に冒険者をしているそうだ。

 二つ目は、健康診断が近づいているのだ。入学時はランバラル伯爵がうまく誤魔化してくれたのだが、もし測定されてしまうと、とんでもない騒ぎになる。

 王女はリズとアリサが強いことは知っているが、まさか人外の強さだとはさすがに思っていないだろう。

 どうしようかと困っていると、週末にランバラル伯爵の使いのセバスチャンが、寮に面会に来た。どうやらおじさんが何とかしてくれるらしい。

「おじさんに会ったんですか!?」

「はい、リズ様、シスターテレサに憑依してお暮らしでした」

「シスターテレサ? 憑依?」

「はい、どなたにでも憑依することができるようになられたそうで、今はシスターテレサから許可を頂いて、彼女に憑依しているそうです」

「ねえ、私たちについて、何か言ってた?」

 アリサが割り込んできた。

「お手紙をお預かりして参りました。お二方にそれぞれです」

 リズのチャットへの伝言はいつもステータスの変更についてのみだった。リズだけ特別にならないようおじさんなりの配慮だと思う。

 リズとアリサは感激した。よく筆談していたときのおじさんの筆跡だ。

 頑張って勉強すること、友だちをつくること、視野を広く持つことなどが書かれていた。

 その他、リズに対しては、いつか絶対に綺麗になるから、アリサやサーシャに嫉妬したり、劣等感を抱いたりしないよう注意が書かれていた。

 アリサには、人の痛みを知ること、変な男に引っかからないように、といったことが書かれていた。

「おじさんらしくて、とてもいいです。早く会いたいです」

「おじさん、私のこと絶対に誤解してる。でも、おじさんの愛が感じられて嬉しい。私のことを本当に大事にしてくれるのは、おじさんだけなんだ」

「私も大事にしていますよ」

「そうだった。リズとサーシャも大好きさ」

「セバスさん、私たちの手紙をおじさんに届けてくれますか」

「もちろんですとも。それでは失礼します」

 後日、リズのチャットにボーンから四回連絡が来た。

 一回目は、リズが鑑定、偽装、無音、迷彩、索敵、集音、跳躍、俊足のスキルを取得したこと

 二回目は、レベルが3839になったこと、アリサが鑑定、偽装、無音、迷彩、索敵、集音、跳躍、俊足のスキルを取得したこと

 三回目は、レベルが4124になったこと、サーシャが鑑定、偽装、無音、迷彩、索敵、集音、跳躍、俊足のスキルを取得したこと

 四回目は、レベルが4318になったこと

であった。

「リズ、おじさん、いったいどうなってるの? 何で私たちにビーストのスキルがつくの?」

「さあ……」

 体力測定でのリズとアリサは、二人とも見事に全学生の平均値だった。

 二人の真の力を知ることができると期待していた王女は、二人の数字を見て、首をひねるばかりであった。
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