50 / 55
王都篇
学園生活
しおりを挟む
リズとアリサのセントマリア学院での生活も三ヶ月を過ぎた。
王女が勉強を教えてくれるようになると、他の生徒も王女に倣って、リズとアリサに親切にしてくれるようになり、二人の学園生活はとても快適なものに変わっていた。
リズは勉強が楽しくなり、成績がぐんぐんと良くなって来た。それとようやく待ちに待った第二次性徴が始まり、リズは女性らしい体つきに変わっていった。
一方のアリサは、勉強は卒なくこなせるようになっていたが、特に魔法学と医学が得意だった。人体の仕組みに興味があり、どうすれば人を殺せるとか、そういう物騒な話をリズに得意げに話したりする危ない人になりつつあった。
楽しい学園生活なのだが、二人には心配事が二つあった。
一つ目は、サーシャの行方が分からなくなったことだ。クラスメートから、聖女候補に平民が混じっていて、追い出されたという話を聞いたのだ。ただ、この件については解決済みだ。サーシャから手紙が来たのだ。スケルトンクイーンと一緒に冒険者をしているそうだ。
二つ目は、健康診断が近づいているのだ。入学時はランバラル伯爵がうまく誤魔化してくれたのだが、もし測定されてしまうと、とんでもない騒ぎになる。
王女はリズとアリサが強いことは知っているが、まさか人外の強さだとはさすがに思っていないだろう。
どうしようかと困っていると、週末にランバラル伯爵の使いのセバスチャンが、寮に面会に来た。どうやらおじさんが何とかしてくれるらしい。
「おじさんに会ったんですか!?」
「はい、リズ様、シスターテレサに憑依してお暮らしでした」
「シスターテレサ? 憑依?」
「はい、どなたにでも憑依することができるようになられたそうで、今はシスターテレサから許可を頂いて、彼女に憑依しているそうです」
「ねえ、私たちについて、何か言ってた?」
アリサが割り込んできた。
「お手紙をお預かりして参りました。お二方にそれぞれです」
リズのチャットへの伝言はいつもステータスの変更についてのみだった。リズだけ特別にならないようおじさんなりの配慮だと思う。
リズとアリサは感激した。よく筆談していたときのおじさんの筆跡だ。
頑張って勉強すること、友だちをつくること、視野を広く持つことなどが書かれていた。
その他、リズに対しては、いつか絶対に綺麗になるから、アリサやサーシャに嫉妬したり、劣等感を抱いたりしないよう注意が書かれていた。
アリサには、人の痛みを知ること、変な男に引っかからないように、といったことが書かれていた。
「おじさんらしくて、とてもいいです。早く会いたいです」
「おじさん、私のこと絶対に誤解してる。でも、おじさんの愛が感じられて嬉しい。私のことを本当に大事にしてくれるのは、おじさんだけなんだ」
「私も大事にしていますよ」
「そうだった。リズとサーシャも大好きさ」
「セバスさん、私たちの手紙をおじさんに届けてくれますか」
「もちろんですとも。それでは失礼します」
後日、リズのチャットにボーンから四回連絡が来た。
一回目は、リズが鑑定、偽装、無音、迷彩、索敵、集音、跳躍、俊足のスキルを取得したこと
二回目は、レベルが3839になったこと、アリサが鑑定、偽装、無音、迷彩、索敵、集音、跳躍、俊足のスキルを取得したこと
三回目は、レベルが4124になったこと、サーシャが鑑定、偽装、無音、迷彩、索敵、集音、跳躍、俊足のスキルを取得したこと
四回目は、レベルが4318になったこと
であった。
「リズ、おじさん、いったいどうなってるの? 何で私たちにビーストのスキルがつくの?」
「さあ……」
体力測定でのリズとアリサは、二人とも見事に全学生の平均値だった。
二人の真の力を知ることができると期待していた王女は、二人の数字を見て、首をひねるばかりであった。
王女が勉強を教えてくれるようになると、他の生徒も王女に倣って、リズとアリサに親切にしてくれるようになり、二人の学園生活はとても快適なものに変わっていた。
リズは勉強が楽しくなり、成績がぐんぐんと良くなって来た。それとようやく待ちに待った第二次性徴が始まり、リズは女性らしい体つきに変わっていった。
一方のアリサは、勉強は卒なくこなせるようになっていたが、特に魔法学と医学が得意だった。人体の仕組みに興味があり、どうすれば人を殺せるとか、そういう物騒な話をリズに得意げに話したりする危ない人になりつつあった。
楽しい学園生活なのだが、二人には心配事が二つあった。
一つ目は、サーシャの行方が分からなくなったことだ。クラスメートから、聖女候補に平民が混じっていて、追い出されたという話を聞いたのだ。ただ、この件については解決済みだ。サーシャから手紙が来たのだ。スケルトンクイーンと一緒に冒険者をしているそうだ。
二つ目は、健康診断が近づいているのだ。入学時はランバラル伯爵がうまく誤魔化してくれたのだが、もし測定されてしまうと、とんでもない騒ぎになる。
王女はリズとアリサが強いことは知っているが、まさか人外の強さだとはさすがに思っていないだろう。
どうしようかと困っていると、週末にランバラル伯爵の使いのセバスチャンが、寮に面会に来た。どうやらおじさんが何とかしてくれるらしい。
「おじさんに会ったんですか!?」
「はい、リズ様、シスターテレサに憑依してお暮らしでした」
「シスターテレサ? 憑依?」
「はい、どなたにでも憑依することができるようになられたそうで、今はシスターテレサから許可を頂いて、彼女に憑依しているそうです」
「ねえ、私たちについて、何か言ってた?」
アリサが割り込んできた。
「お手紙をお預かりして参りました。お二方にそれぞれです」
リズのチャットへの伝言はいつもステータスの変更についてのみだった。リズだけ特別にならないようおじさんなりの配慮だと思う。
リズとアリサは感激した。よく筆談していたときのおじさんの筆跡だ。
頑張って勉強すること、友だちをつくること、視野を広く持つことなどが書かれていた。
その他、リズに対しては、いつか絶対に綺麗になるから、アリサやサーシャに嫉妬したり、劣等感を抱いたりしないよう注意が書かれていた。
アリサには、人の痛みを知ること、変な男に引っかからないように、といったことが書かれていた。
「おじさんらしくて、とてもいいです。早く会いたいです」
「おじさん、私のこと絶対に誤解してる。でも、おじさんの愛が感じられて嬉しい。私のことを本当に大事にしてくれるのは、おじさんだけなんだ」
「私も大事にしていますよ」
「そうだった。リズとサーシャも大好きさ」
「セバスさん、私たちの手紙をおじさんに届けてくれますか」
「もちろんですとも。それでは失礼します」
後日、リズのチャットにボーンから四回連絡が来た。
一回目は、リズが鑑定、偽装、無音、迷彩、索敵、集音、跳躍、俊足のスキルを取得したこと
二回目は、レベルが3839になったこと、アリサが鑑定、偽装、無音、迷彩、索敵、集音、跳躍、俊足のスキルを取得したこと
三回目は、レベルが4124になったこと、サーシャが鑑定、偽装、無音、迷彩、索敵、集音、跳躍、俊足のスキルを取得したこと
四回目は、レベルが4318になったこと
であった。
「リズ、おじさん、いったいどうなってるの? 何で私たちにビーストのスキルがつくの?」
「さあ……」
体力測定でのリズとアリサは、二人とも見事に全学生の平均値だった。
二人の真の力を知ることができると期待していた王女は、二人の数字を見て、首をひねるばかりであった。
1
お気に入りに追加
797
あなたにおすすめの小説
一振りの刃となって
なんてこった
ファンタジー
拙いですが概要は、人生に疲れちゃったおじさんが異世界でひどい目にあい人を辞めちゃった(他者から強制的に)お話しです。
人外物を書きたいなーと思って書きました。
物語とか書くのは初めてなので暖かい目で見てくれるとうれしいです。
更新は22:00を目安にしております。
一話一話短いですが楽しんでいただけたら幸いです。
スローライフは仲間と森の中で(仮)
武蔵@龍
ファンタジー
神様の間違えで、殺された主人公は、異世界に転生し、仲間たちと共に開拓していく。
書くの初心者なので、温かく見守っていただければ幸いです(≧▽≦) よろしくお願いしますm(_ _)m
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
婚約破棄を成立させた侯爵令嬢~自己陶酔の勘違い~
鷲原ほの
ファンタジー
侯爵令嬢マリアベル・フロージニス主催のお茶会に咲いた婚約破棄騒動。
浅慮な婚約者が婚約破棄を突き付けるところから喜劇の物語は動き出す。
『完結』
転生してテイマーになった僕の異世界冒険譚
ノデミチ
ファンタジー
田中六朗、18歳。
原因不明の発熱が続き、ほぼ寝たきりの生活。結果死亡。
気が付けば異世界。10歳の少年に!
女神が現れ話を聞くと、六朗は本来、この異世界ルーセリアに生まれるはずが、間違えて地球に生まれてしまったとの事。莫大な魔力を持ったが為に、地球では使う事が出来ず魔力過多で燃え尽きてしまったらしい。
お詫びの転生ということで、病気にならないチートな身体と莫大な魔力を授かり、「この世界では思う存分人生を楽しんでください」と。
寝たきりだった六朗は、ライトノベルやゲームが大好き。今、自分がその世界にいる!
勇者? 王様? 何になる? ライトノベルで好きだった「魔物使い=モンスターテイマー」をやってみよう!
六朗=ロックと名乗り、チートな身体と莫大な魔力で異世界を自由に生きる!
カクヨムでも公開しました。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
魔晶石ハンター ~ 転生チート少女の数奇な職業活動の軌跡
サクラ近衛将監
ファンタジー
女神様のミスで事故死したOLの大滝留美は、地球世界での転生が難しいために、神々の伝手により異世界アスレオールに転生し、シルヴィ・デルトンとして生を受けるが、前世の記憶は11歳の成人の儀まで封印され、その儀式の最中に前世の記憶ととともに職業を神から告げられた。
シルヴィの与えられた職業は魔晶石採掘師と魔晶石加工師の二つだったが、シルヴィはその職業を知らなかった。
シルヴィの将来や如何に?
毎週木曜日午後10時に投稿予定です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
無限に進化を続けて最強に至る
お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。
※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。
改稿したので、しばらくしたら消します
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
聖女の孫だけど冒険者になるよ!
春野こもも
ファンタジー
森の奥で元聖女の祖母と暮らすセシルは幼い頃から剣と魔法を教え込まれる。それに加えて彼女は精霊の力を使いこなすことができた。
12才にった彼女は生き別れた祖父を探すために旅立つ。そして冒険者となりその能力を生かしてギルドの依頼を難なくこなしていく。
ある依頼でセシルの前に現れた黒髪の青年は非常に高い戦闘力を持っていた。なんと彼は勇者とともに召喚された異世界人だった。そして2人はチームを組むことになる。
基本冒険ファンタジーですが終盤恋愛要素が入ってきます。
転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~
ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。
コイツは何かがおかしい。
本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。
目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる