スケルトンに転生した。冒険者に倒され続ける毎日だったが、冒険者を倒すとレベルアップするんだな

ミント篇

奴隷商人たち

　奴隷商人を狙うのは、リズとアリサの学費、サーシャの支度金を稼ぐ目的もあった。

　日本では強盗殺人だが、奴隷商人は殺していいことに俺の中で決めた。

　奴隷商人といっても、普通のお父さんだったりするのだが、リズやアリサやサーシャを売買しているというその一点で、俺としては死罪確定だ。

「死ね」

　これでもう六人目だ。呆気なく死ぬ。護衛も問答無用で始末している。目撃者をあまり増やしたくないからだ。

　殺した後は、金を物色する。

（俺って、めちゃくちゃ悪人じゃん）

　金を物色しているときに、奥さんとか子供に会ってしまうことがあるが、あの目にかなり心をえぐられる。

　恐怖と憎しみと悲しみとが混じった何ともいえない目だ。

　だから俺は心の中で言い訳をする。

（お前たちのお父さんが、同じように人を苦しめているのを止めただけだ。恨むなら、そんな商売を選んだお父さんを恨め）

　俺の気持ちに折り合いをつけるためだけに言っている。夫や父親をたった今殺され、金品まで持ち去られようとしている母子に、こんな言い訳が通用するとは思っていない。

　やはり子供たちをここに連れて来なくてよかった。

（あと三十人以上もいるのか。嫌になる前に全部やっちまおう）

　時間がかかるのは集金作業だと気づいて、集金は後日、日を改めて行うということで後回しにして、殺しだけ先にするようにした。

　その結果、朝が来る前までにミントに滞在していた奴隷商人三十八人をすべて殺した。商業関係のスキルをたくさん取得したので、後で確認しておこう。

（「格納」とかすげえの覚えちゃった）

　レアスキルと思われるスキルを獲得した嬉しさで、ほんの少し残っていた罪悪感が綺麗さっぱりなくなってしまった。

　残りはミントから外に出ている奴隷商人だ。こいつらも帰り次第討ち取る予定だ。

　一仕事終えて、朝、孤児院に帰ると、リズたちが俺の帰りを待っていた。

「おう、もう起きていたのか。王都に行く準備は出来たか？」

「おじさん、私たち、学校に行くことに決めました」

（コイツら本当に可愛いな。一生懸命色々と考えて、皆んなで話し合って決めたんだろうな）

「おお、そうか。よく決心したな。おじさんは、お前たちを誇らしく思うぞ。じゃあ、ランバラル伯爵に入学手続きを依頼しに行こう」

「え？　あの伯爵、味方になったんですか？」

「いや、これから味方になってもらうのさ。今から、ランバラルの調教に行くぞ。三人にお願いしたいんだ」

　これも教育方針としてどうかと思うが、人を力づくで従わせる方法を学んでもらう必要があるように思った。

　子供たちが俺抜きで、王都でやって行くためには、ここで経験しておいた方がいいと思う。

ーー　データ　ーー

　　名前：ボーン
　　種族：スケルトンナイト　レベル2089
　　魔法：マップ、フィア、フレア、デス、
　　　　　チャーム、イリュージョン、デュアル
　　技能スキル：無痛、復活、剣技、拳闘、鑑定、
　　　　　迷彩、跳躍、俊足、無音、索敵、
　　　　　集音、投擲、解錠、裁縫、刀技、
　　　　　忍術、変態、触覚、毒針、怪力、
　　　　　複眼、操糸、蛍光、営巣、蜜蝋、
　　　　　集蜜、人形、商才、算術、簿記、
　　　　　格納、行商、馬術、交渉、契約
　　経過日数：７５

　　リズ　　　レベル2089、チャット、ハウント、
　　　　　　　スチール、オーラ、サモン、
　　　　　　　霊感、睡眠
　　アリサ　　レベル2089、サンダー、ライト、
　　　　　　　グラビティ、メテオ、タイム、
　　　　　　　算術、記憶
　　サーシャ　レベル2089、キュア、クリーン、
　　　　　　　デトクス、ガード、オラクル
　　　　　　　霊視