スケルトンに転生した。冒険者に倒され続ける毎日だったが、冒険者を倒すとレベルアップするんだな

もぐすけ

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ダンジョン篇

虫のフロア:サーシャの視点

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(き、気持ち悪いですわっ)

 私はリズを見た。

(リズさんはあの「角お化け虫」の突進をよく真正面から受け止められるわね。あまりの迫力に、私、少し、ほんの少しだけチビってしまいましたわ)

 続いて、アリサを見た。

(それにアリサさんのサンダーも凄いわ。糸のように細い稲妻を正確に虫の額に当てるなんて。魔力をほとんど使っていないのではないかしら)

 角お化け虫が突っ伏したまま動かなくなった。

(また、敵を倒してしまったわ。私たち、レベルが350ぐらいと聞いているけど、その後、おじさまが昆虫採集されておられたから、もっといっているかもしれませんわ)

 続いて、草陰から大きな虫が、ものすごいジャンプ力で私たちに襲いかかって来た。

(ひ、ひぃぃぃぃ、バッタのお化けですわ。あんなジャンプしてっ。ギャアアアアアアア)

 すでにアリサのサンダーで額に穴の空いたバッタの死骸が、私の上に乗っかかってきて、私は後ろに倒れてしまい、バッタを抱っこする形になった。

(こ、このお、おどきっ)

 私はバッタを横に払った。思った以上に勢いがよく、バッタが木々を薙ぎ倒して転がって行く。

(はあはあ、何とかはしたない悲鳴は、出さずに済みましたわ)

 私はよろよろと立ち上がった。

 リズとアリサが私の剣幕に驚いている。

「サーシャさん、頑張って、おじさんを救うためですっ」

「分かっておりますわ」

 私はエロ貴族に売られる運命だった。そもそもこんなお嬢様言葉を話すようになったのも、エロ貴族から孤児院に申し入れがあり、強制されたためだ。

 その上、エロ貴族が私が十五歳になるまで待ちきれなくなって、私をさらおうとしたところをおじさまに救って頂いた。そのご恩に報いるため、私が聖女になって、おじさまを安心させたい。

(おじさまを倒せるのは聖女しかいないもの。聖女は十三人いるけど、私が筆頭になって、おじさまへの攻撃をさせないようにしたいわ)

 私たちはようやく地下七階を抜けて地下八階に入った。

(蟻の巣!? 地下八階はフロア全体が蟻の巣なのね。蟻の巣を進むなんて!?)

 リズの腕もアリサの腕も鳥肌が立っている。気持ち悪いと思っているのは、私だけではないようだ。

 私たち三人は真っ暗な蟻の巣をアリサのライトの魔法で照らしながら進んで行く。

「ひぃぃぃぃ、は、羽蟻よっ」

(アリサさん、そんな悲鳴出しちゃって……)

「ひゃぁぁぁ」

(まあ、リズさんまで)

 彼女たちの前に羽蟻がひしめき合って飛んでいるのが私にも見えた。

(ひえぇぇぇ、ウジャウジャ飛んできてるじゃないのぉ! 羽音が気持ち悪い……)

「デトクス、キュア」

 私は念のため、解毒と治癒を全員に施した。

「サンダー!!!」

 アリサさんがものすごい電撃を羽蟻たちに向かって発射した。タンパク質が焦げる匂いが蟻の巣に充満した。

 羽蟻がぼたぼたと地面に落ちた。ものすごい数だ。まだ空気中がバチバチいっている。

「もう、羽蟻とか気持ち悪すぎよ。早く通り過ぎるわよ。次の別れ道を右よ」

 アリサが防具屋からもらった地図で皆をガイドした。

 私たち三人は巣を駆け抜けた。レベルが高くなって、身体能力が驚異的に上がっているのを実感した。

 階段の入口が見えて来たが、兵隊アリが数匹で守りを固めている。

「もう、いい加減にしてぇぇっ!」

 アリサがブチ切れて、グラヴィティを唱えたようだ。兵隊アリが重力でひしゃげて潰れて行く。

(え、エグいわ……)

「アリサさん、お疲れ様、さあ、地下九階に行きますよ」
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