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ダンジョン篇

クイーンは謎だった

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(マジか。あれをくらったらおしまいだな)

 だが、しばらくすると、部屋の中にさっきのスケルトンが現れた。

 なぜ分かるかというと、俺はスケルトンの個体の区別がつくのだ。

(あれを受けても復活するのか。スケルトンすげえ。ん? レベルが1になっている。ホームポイントで復活するが、レベルがリセットさせるってこと?)

 あの聖女はべらぼうに強いが、部下を二人も殺されているし、俺には逃げられている。あまり優秀ではないのではないか。なんというか、色々と抜けている女のように思う。

(今ので俺を葬ったと思ってくれたらいいが……)

 俺がそう思っていたら、白銀の鎧を身につけた骸骨騎士が突然部屋に入って来た。

(昨日の女スケルトン!)

 鎧から見える顔で、昨日の女スケルトンだと俺にはわかった。

(スケルトンクイーン? レベル1、あ、消えた)

 こちらが情報を取得している同タイミングで、ざわっとした悪寒が走る。相手も俺の情報をのぞいているということだが、俺には抵抗の仕方が分からない。

 クイーンの鎧をよく観察してみると、胸の辺りが膨らんでいて、女っぽい形をしている。クイーンは俺をじっと見ていたが、ダメって感じで首を振り、よく西洋人がする肩をすくめる動作をした。

(外人かっ!?)

 そして、クイーンはそのまま立ち去ってしまった。

 俺はすぐに廊下に出て、クイーンを追ったのだが、どこに行ったのか、姿が見えない。手当たり次第に近くの部屋をのぞいたが、結局、クイーンを見つけることは出来なかった。

 クイーンを探し回って分かったことがある。このフロアには部屋が沢山あり、そのうちの半分ぐらいにスケルトンが一体配置されている。レベルは全て5だった。

 ダンジョンの入り口近くはまだ聖女がいるかもしれないので、怖くて近づけなかった。俺はこのままダンジョンの探索を続けることにした。

 ちなみに鑑定のスキルはなかなか便利で、このダンジョンはミントという名前で、ここは地下一階らしい。ってことは、地下二階もあるのだろうが、行き方が分からない。マップの魔法は通って来たところだけ、地図として表示されるようだ。

 俺はいいことを思いついた。人間の冒険者の後をつければいい。そう決めて、足音に耳をすませた。今までの経験で、人間の冒険者は一日五組ぐらいがダンジョンに入って来る。

(足音しないな。下が土だから無理かな)

 俺は足音を拾うことは早々に諦めて、ダンジョンの探索を再開した。そして、しばらくして、落とし穴に落ちてしまった。

 床だと思っていたのが幻影だった。俺は地下二階に転落したらしい。

 地下一階と同じように廊下と部屋で構成されている。最初に目にした部屋に入ってみた。

(またスケルトン? レベル10だけど。これ、ゲームだとしたら、つまらなさすぎるぞ)

 部屋から出たとき、少し遠くの方に灯りが見えた。今まで気づかなかったが、地下二階は真っ暗なようで、人間には灯りが必要なのだろう。俺は真っ暗でも普通に見える。

 俺は灯りを追って進んで行った。何度か落とし穴があったが、あるかもしれないと分かっていれば回避できる。

 そして、灯りの持ち主を視認できるところまで近づいた。やはり人間の冒険者だった。
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