スケルトンに転生した。冒険者に倒され続ける毎日だったが、冒険者を倒すとレベルアップするんだな

もぐすけ

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ダンジョン篇

レベルアップ

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 翌日、リードが再びキャシーを連れて来た。

 俺は反射的にキャシーに襲いかかる。そして、すぐにリードに斬られて転がった。

「あれ? おかしいな。昨日、別の部屋からもう一体スケルトンを持って来たんだが」

「リードさん、まずは一体で練習してみたいです」

(何だか昨日よりも二人の仲がいいじゃないか。気に食わねえな)

「ちょっと取りに行っていいか?」

「え? 一人にしないで下さい」

「そうだな。じゃあ、ついて来てくれ。この近くの部屋にも、もう一体スケルトンが出るんだよ」

 リードたちはいったん俺の部屋を出て行った。

 俺はまた女スケルトンに会えると期待した。

 しばらくして、リードたちが戻って来た。俺は愚直に襲いかかることを止められない。今度はキャシーにぶん殴られて転がった。

「キャシー、やるじゃないか」

「スケルトンって、本当に雑魚キャラですね。毎回動きが同じでワンパターンです」

(ちくしょう。好きでワンパターンやってるんじゃねえ。それで、女スケルトンはどうしたんだ?)

「しかし、あっちのスケルトンはどうなってんだ? 頭しかなかったな」

「死んじゃったんですかね」

「おい、スケルトンはそもそも死んでるぞ」

「そうでした」

 リードとキャシーは大笑いしている。

(くそう、何が面白いんだよっ)

 俺は復活して、襲いかかるが、リードとキャシーの二人に呆気なくやられた。

「このスケルトン、あっちの部屋に持って行ってみようか?」

「え? これを持つんですか? 気味が悪いです」

「俺が持つから大丈夫だよ。一分以内に移動しないと復活するから、意外と難しいんだぜ」

 そう言ってリードは袋からビニールシートを出して来て、部屋に広げている。

 その作業を見守っていたキャシーが、俺が復活したタイミングで、シートの方に殴り飛ばした。リードが俺一体分の骨をシートにくるめて鞄に入れ、急いで部屋を出た。

 部屋を出るときに膜のようなものを通過した感触があった。俺がどうしても出られなかった膜だろう。

 俺は廊下を出た先の部屋でばら撒かれたらしい。すぐに復活して、キャシーに襲いかかる。

 しかし、今回は俺の意思でそう動いた。驚いたことに、自分の意思で動けるのだ。だが、考える時間が欲しかったので、あえていつものように行動したのだ。

 俺はキャシーにぶん殴られて、リードの方に転がった。

「ちゃんと復活するよな。おかしいな。こっちのスケルトンはどうしちゃったんだろう」

 リードが剣で頭蓋骨を突ついて転がしている。俺は気づいた。

(あれは単なる人骨だ。スケルトンではない。リードのやつ、俺を全く警戒していない。キャシーもリードばかり見ている。よしっ、やるぞ)

 俺は復活して、素早い動きでキャシーから剣を奪い、リードの背中に思いっきり突き立てた。リードはそのままぐったりと膝をつき、前のめりに倒れた。

(ははは、呆気ねえな)

『レベルが25になりました。ファイアの魔法を覚えました。剣技のスキルを覚えました』

(やはり、レベルが上がった!)

「きゃああああ」

 キャシーが半狂乱になって叫び、部屋の外に逃げ出していく。俺はキャシーを追った。こっちの部屋は簡単に出ることが出来た。キャシーは足をもつれさせながらも、ダンジョンの出口の方に向かって逃げて行く。

(逃すかっ)

 キャシーはダンジョンの出口への梯子を必死になって登っている。

(そうだ、魔法っ)

 俺はファイアの魔法を使用した。赤い火の玉がキャシーに向かって一直線に飛んでいき、キャシーの背中に見事命中した。キャシーは悲鳴を上げ、火だるまになりながら、梯子から落下した。かなりの高度からだったからか、キャシーはぴくりともせず、床の上で燃えている。

(人ってあんなに燃えるのか)

『レベルが33になりました。フィアの魔法を覚えました』

(リードのときの方がレベルの上がりは大きかったな。しかし、俺って、人を殺しても何とも思わないんだな)

 俺はまだ燃えているキャシーに近づいて行った。

(こりゃあ、手持ちのアイテムも全部燃えてるな)

 ダンジョンの外に出ようと梯子に手をかけ、登ろうとしたが、強力な重力がかかり、梯子を登ることが出来なかった。
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