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~ブルーノとフィリーネ~

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「やあ、フィリーネ。今日は時間を作ってもらってごめんね」

「それは別にいいけど、どうしたの?いつもはいきなり押しかけてくるくせに、それもこんな庭で話しがあるなんて、あなたらしくないわよ。何かあった?」

「うん、何かはあった・・・かな?」

「なに?どうかしたの?相談なら乗るわよ」

「ねえ、フィリーネ。本当は僕の気持ちには気がついているんでしょ?」

「え?」

「僕がずっと君のこと好きだってこと」

「え?そうなの?」

「うん。ずっと好きだった。子供の頃からずっと。誰にも負けないくらい、ずっと好きだった。」

「え?ああ、そうだったのね?ごめんなさい、気が付かなくて。その・・・」

「今までは君が婚約していたから遠慮してた。相手がメイナードだからじゃないよ。
 たとえ相手が誰でも、きっと君は婚約者に対して裏切るような事はしないだろうって知ってるから。それを君に強要はできないしね。
 ずっと辛かったんだ。君が他の男にほほ笑むのが、君が誰かのものになるのが。
 うぅぅ・・・うっ、うっ」

「ちょ、ちょっと、どうしたの?泣かないで。ブルーノ、泣かないでよ」

「ずっと好きだったんだぁあぁぁああ。フィリーネ以外は見えないくらいに。
 フィリーネがいればそれでいい。いや、他はいらない。本当に君がいれば何もいらない。
 君がいいんだ。君じゃなきゃダメなんだよぉおおおぉぉぉ」

「ブルーノ、そんなに私の事思っていてくれたの?ありがとう。ありがとうね。ぐすっ」

「うわぁーーん。フィリーネ、僕のお嫁さんになって!!お願いだよぉぉぉ」

「もう、仕方のない子ね。あなたのこと守ってあげられるのは私以外にいないと思うわ。
 大丈夫よ。ずっとそばにいるから、安心して」

「本当?ほんとに?結婚してくれる?僕のお嫁さんになってくれる?」

「ええ、あなたのお嫁さんになるわ。私が幸せにしてあげる」

「やったぁーーー!!!ありがとう。フィリーネ、ありがとう。
 すぐに婚約しよう!また誰かに取られる前に、すぐに婚約しよう。今すぐおじさんにお願いしてくる」

「おじさんって、父に?ブルーノ、父の前にあなたのご両親にも確認を取らないと。そんな、急がなくても・・・」

「うち?うちは大丈夫。なんならフィリーネをいつまでも奪い取れない、負け犬呼ばわりされてたからさ。絶対喜んでくれるよ」

「そう?でも、先にご挨拶をさせていただきたいわ」

「うん。おじさんに許可を貰ったら一緒に行こう。待ってて!!すぐに話を付けてくるから」

「父には私も行くわ。一緒に・・・」

「大丈夫!これは男の役目だからね。ここで大人しく待っててね」


(ちゅっ!)


「☆〇×△★□・・・くちびるぅ!!」

「ふふふ。フィリーネの唇って甘い香りがする。美味しかったよ。じゃあね」

「ブルーノ!!!」

「あはは!良い子で待っててね。フィリーネ愛してるよ」





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