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~7~ 第二王子からの贈り物
しおりを挟むフランシスは学園を卒業するまで何度となくラルミナ邸を訪れ、その度にリリアーナをお姫様あつかいするのだった。
最初は子供相手に面白半分の遊びのようなものだったが、少女の成長は思いの他早いことに気が付くことになる。
フランシスが学園を卒業する頃には、少女から淑女へと片足を踏み入れた始めたリリアーナがいた。
学園を卒業してしまうと、足しげく通い合った仲間たちも自分の立場を守るため仕事に忙しくする毎日を送り、中々顔を合わせることもなくなった。
会えるとすると、夜会などで世間話をしたり、紳士クラブなどで情報交換をする程度になっていた。
当初、ジョルジュはフランシスの側近として考えられていたが、能力の高さを買われ王太子ロベールの側近となった。
そのため、王宮内で顔を合わせることも多くリリアーナの話も世間話程度には聞いていた。
王宮で行われる新年祝賀会。この年学園への入学を予定しているリリアーナは、新年の夜会で社交界デビューすることになっていた。
「今度の新年祝賀会でリリーが社交界デビューするんだ。
その頃、父上は外相として隣国へ新年の挨拶に出向いていていない。だから俺がエスコートをすることになっている。いいか、お前は絶対ちょっかいだすなよ。」
ジョルジュがフランシスに釘を刺す。
「へえ、リリー嬢ももうそんな年齢になったか?しばらく見てないが大きくなっただろう?」
「そうだな、今年学園も入学するし、そろそろ婚約の話も舞い込んでくるんだろうなぁ。」
「兄としては寂しいのか?」
「うん。まあ。でも、父上がまだ手放さないだろうから、婚約は当分ないと思うけどな。」
ジョルジュの執務室に暇を見ては遊びに来て、くだらない話をするフランシス。
かつての親友同士は、時折こうして友好を深めていた。
「デビュタントなら、何か贈ろう。知らない仲でもないんだし。
何が良い?ドレスか?それともアクセサリーにするか?」
「いや、やめてくれ。お前の息がかかったと思われると良い縁談も来なくなる。
お前は、昔から何かとリリーを可愛がっていたからな。今回に関してそういうのはやめろ。
いいか、もう一度言う、お前は絶対に絡んでくるなよ。
あいつの幸せを邪魔するんじゃないぞ。」
そんな大袈裟な、と苦笑いをしつつ
「そんなに邪険にするなよ。なんなら俺がエスコートしたって良いくらいだ。
他ならぬお前の妹君だ。喜んで引き受けるぞ。どうだ?」
「絶対にやめてくれ!父上に俺が叱られる。勘弁してくれ。」
「わかったよ。ま、何か軽い物を考えておくさ。」
そう言いながら夜会の3日前リリアーナ宛てに届いた物は、ダイヤモンドとフランシスの瞳の色と同じ青いサファイアが煌めく首飾りとイヤリングだった。
「いったい、いくらするんだよ。これ。」
ジョルジュのつぶやきに、ラルミナ家の皆は第二王子の乱心に頭を抱えた。
初恋の相手からの贈り物をうっとりと見つめ、リリアーナだけが素直に喜んでいた。
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