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鈴の針仕事も納め終わり、銀次と鈴は翌日には綿原の地を後にした。
大家さんや同じ長屋の皆から少しばかりの餞別をもらい、二人は簡単な旅装束に身を包むと、綿原を出て東に向かった。
男の姿があったとしても、道中何があるかわからない。山道を抜ければ早いが、その分危険も伴う。
山賊のような者もいる。女、子供を狙う人さらいも横行している。
身ぐるみはがされるだけで終ればまだいい方で、女や子供は場合によっては高く売られることもあるのだ。
そういった人さらいに万が一にも会わないようにと、銀次は時間はかかっても人目に付く大きな街道を通るようにしていた。
かつて、名を広めた盗賊の一味に身を置いていたとはいえ、銀次は決して腕っぷしに自信があるわけでは無い。
彼の特技は手先の器用さであり、見目も良いことから女相手に情報を仕入れることを役割にしていたのだから。人間、何事も得手不得手があるものだ。
何日過ぎただろうか。
そう大きくはない旅籠町、滝見里の一角に飯屋があった。
裾が擦り切れた古い暖簾を掲げたその店に、銀次は鈴を連れて入るのだった。
店は大きくはないが小奇麗にしており、まだ時間が早かったのか客は一人もいなかった。
「二人分頼めるかい」
「へい、いらっしゃい」
銀次の声に奥から男の声が返ってくると、調理場の暖簾をくぐり奥からガタイのいい大きな男が銀次たちの前に顔を出した。
二人はお互いの顔を見ると、時間が止まったかのように動きを止めた。
まじまじと見つめる互いの顔に、過ぎた年月を感じさせられる。
かつては逞しい立派な大人だと思っていた目の前の男は、今では歳をとった飯屋の店主風情の形をしていた。
それに比べて、かつては年若い未熟者だと思われていたであろう銀次は、それなりに歳も取り、傍から見たら立派な大人に見えることだろう。
鈴がジャリと草履を動かす音で気を取り戻した源次が先に声をかける。
「お久しぶりです、権八兄さん。お元気そうでなによりです」
「銀次か……。ああ、そう、だな。えらい久しぶりだ」
「親父は? 親父はお元気ですか?」
「ああ、元気だ。今も奥で仕込みをしてるところだった。ちょっと座って待っててくれ。呼んでくる」
そう言い残し、権八は奥の調理場へと向かった。
弥吉から聞いていた通り怪我が元だろう、少し足を引きずっているようだった。ああして動けるくらいだから怪我は治ったのだろうが、それでも昔のようなわけにはいかないのだろうと感じた。
「お兄ちゃん、ここは? 知り合いのお店なの?」
鈴の問いに、銀次は笑顔で答えた。
「ああ。昔、すげえ世話になった人がいるんだ。俺たちもこの町で住もうと思う。どうだ?」
「うん。私は別にどこでも大丈夫よ。お兄ちゃんが側にいるもの」
笑顔で答える鈴に、銀次も内心ほっとしながら笑みを浮かべ頷き返した。
常に一緒にいても、不安はあった。それが血の繋りのないためなのか、男と女だからなのか。それとも、彼女に対しての後ろめたさからなのか?
銀次にもわからなかった。
「銀次だって?」
二人が店の軒先で立ったまま話をしていると、奥から聞き覚えのある声が聞こえてきた。昔に比べて張りは無く、しゃがれたような声になってはいるが、間違いない。
「親父!」
暖簾をくぐり顔を見せた男は間違いなく、かつてのおかめ盗賊の頭(かしら)、与市であった。
眩しそうに眼を細め、ゆっくりとした足取りで歩くその脇で、権八が沿うようにそばにいる。
与市の伸ばした手を取り、銀次は自分の方へと導いた。その手にふれ、与市は満足そうに笑みを浮かべた。
「ああ、ちゃんと髪結いをやってるんだな。タコになって固いのは剃刀のやつか? 油を使うからかな、思ったほど手が荒れてねえな。
何にしても仕事人の手をしてるわ。よかった」
別れたあの頃、与市は確実に目が悪くなっていた。弥吉の話しでは今はもっと目が悪いはずだ。銀次は与市と視線を合わせた。完全に視力を失ったわけではないのだろう、視線が合っている感覚はあるが、それでもはっきりとは見えていないのだろうと感じ、切なく思う。
「ひょっとして、おめえの後ろにいるのは妹かい?」
与市の視線が銀次の肩越しに動いた。
よく見えていないはずなのに、感覚だけで察したのだろうか。
「へえ。妹の鈴です。親父には結局挨拶もさせねえままに別れちまったから。
鈴。こちらは俺が若けえ頃に世話になった方だ。本当の親父だと思ってる」
「はじめまして、鈴と言います」
銀次の後ろにいた鈴は前に一歩進み出て、銀次と並んで立った。
それを感じた与市は視線を鈴に動かし、微笑んだ。
「そうかい、あんたが銀次の妹か。俺も会いてえと思ってたんだ。よく来たな、歓迎するぜ。ゆっくりしていくといい」
体つきもそう大きくない与市は、その風貌からも人の良い爺に見える。
それでも鈴の勘が少しだけ心をピリつかせる気がしていた。
特別勘が良いというわけでは無いが、それでも何かが警鐘を鳴らす。
頭の中で、心の奥で、なにとは言えない『なに』かが鈴の心をざわつかせていたのだった。
その日、店を閉め四人で向かい合いながら飯を食べた。
懐かしい話もあったが、鈴の前では三人とも多くを語らなかった。
酒を飲めばまた違ったのだろうが、やはり鈴の存在は大きかったのだろう。
「もう、宿は取ったのかい?」
「いや、まだです。この町に着いて早々ここに来たんで。どこか良い宿はありますか?」
「ここは旅籠町だからな、宿ならぎょうさんあるさ。安くなくていいなら、夜中でもない限りでえじょうぶだろう」
「そうですか、なら良かった」
銀次は安心したように笑みを浮かべた。
「で? いつまでここに居るんだい? 次はどこの町にいくつもりだ?」
与市の言葉に銀次は少し言葉を飲み、ゆっくりと口を開いた。
「しばらく、この町に居ようと思ってるんでさぁ」
「ここに?」
驚いた与市は目を見開き、銀次の顔を覗き込むように見つめた。
権八もその隣で驚いた顔をしていた。
「この町にか? いや、なんでまた」
「俺もそろそろ落ち着いても良い頃かと思ってね。そうしたら、弥吉から親父がこの町にいるって聞かされて。そうか、そういうことかってね。へへへ」
若い頃の銀次はよく笑っていた。苦労を独り背負いこんだ子供の頃とは違う。
与市のそばにいさせてもらうようになってから、先を見られるようになった。
今を生きることに全てをかけるのではなく、少し先の未来を、人生を考える余裕が出来た。それは、子供心に大きな変化だったのだろう。
やりたいことは「飯を食うこと」「今夜の寝床を見つけること」生と死が隣り合わせだった日々は終わったのだ。
やりたいことも、覚えたいことも湯水のように湧いてくる。
そして、それをさせてもらえたことが、彼にとっての幸せだった。
そんな心の変化が、彼に笑顔をもたらせたのだろう。
与市や先輩兄達に叱られても、銀次は笑っていた。
たらふく飯が食え、暖かい寝床で朝を迎えられる。朝目が覚めた時に、隣で寝ていたはずの仲間が冷たくなっていない境遇は、天国のようだった。
久しぶりに与市の顔を見た銀次は、隣の鈴を忘れるほどに若い頃に戻ったのかも知れない。
それほどまでに、あの頃の銀次にとっての与市は人生の全てだったのだ。
大家さんや同じ長屋の皆から少しばかりの餞別をもらい、二人は簡単な旅装束に身を包むと、綿原を出て東に向かった。
男の姿があったとしても、道中何があるかわからない。山道を抜ければ早いが、その分危険も伴う。
山賊のような者もいる。女、子供を狙う人さらいも横行している。
身ぐるみはがされるだけで終ればまだいい方で、女や子供は場合によっては高く売られることもあるのだ。
そういった人さらいに万が一にも会わないようにと、銀次は時間はかかっても人目に付く大きな街道を通るようにしていた。
かつて、名を広めた盗賊の一味に身を置いていたとはいえ、銀次は決して腕っぷしに自信があるわけでは無い。
彼の特技は手先の器用さであり、見目も良いことから女相手に情報を仕入れることを役割にしていたのだから。人間、何事も得手不得手があるものだ。
何日過ぎただろうか。
そう大きくはない旅籠町、滝見里の一角に飯屋があった。
裾が擦り切れた古い暖簾を掲げたその店に、銀次は鈴を連れて入るのだった。
店は大きくはないが小奇麗にしており、まだ時間が早かったのか客は一人もいなかった。
「二人分頼めるかい」
「へい、いらっしゃい」
銀次の声に奥から男の声が返ってくると、調理場の暖簾をくぐり奥からガタイのいい大きな男が銀次たちの前に顔を出した。
二人はお互いの顔を見ると、時間が止まったかのように動きを止めた。
まじまじと見つめる互いの顔に、過ぎた年月を感じさせられる。
かつては逞しい立派な大人だと思っていた目の前の男は、今では歳をとった飯屋の店主風情の形をしていた。
それに比べて、かつては年若い未熟者だと思われていたであろう銀次は、それなりに歳も取り、傍から見たら立派な大人に見えることだろう。
鈴がジャリと草履を動かす音で気を取り戻した源次が先に声をかける。
「お久しぶりです、権八兄さん。お元気そうでなによりです」
「銀次か……。ああ、そう、だな。えらい久しぶりだ」
「親父は? 親父はお元気ですか?」
「ああ、元気だ。今も奥で仕込みをしてるところだった。ちょっと座って待っててくれ。呼んでくる」
そう言い残し、権八は奥の調理場へと向かった。
弥吉から聞いていた通り怪我が元だろう、少し足を引きずっているようだった。ああして動けるくらいだから怪我は治ったのだろうが、それでも昔のようなわけにはいかないのだろうと感じた。
「お兄ちゃん、ここは? 知り合いのお店なの?」
鈴の問いに、銀次は笑顔で答えた。
「ああ。昔、すげえ世話になった人がいるんだ。俺たちもこの町で住もうと思う。どうだ?」
「うん。私は別にどこでも大丈夫よ。お兄ちゃんが側にいるもの」
笑顔で答える鈴に、銀次も内心ほっとしながら笑みを浮かべ頷き返した。
常に一緒にいても、不安はあった。それが血の繋りのないためなのか、男と女だからなのか。それとも、彼女に対しての後ろめたさからなのか?
銀次にもわからなかった。
「銀次だって?」
二人が店の軒先で立ったまま話をしていると、奥から聞き覚えのある声が聞こえてきた。昔に比べて張りは無く、しゃがれたような声になってはいるが、間違いない。
「親父!」
暖簾をくぐり顔を見せた男は間違いなく、かつてのおかめ盗賊の頭(かしら)、与市であった。
眩しそうに眼を細め、ゆっくりとした足取りで歩くその脇で、権八が沿うようにそばにいる。
与市の伸ばした手を取り、銀次は自分の方へと導いた。その手にふれ、与市は満足そうに笑みを浮かべた。
「ああ、ちゃんと髪結いをやってるんだな。タコになって固いのは剃刀のやつか? 油を使うからかな、思ったほど手が荒れてねえな。
何にしても仕事人の手をしてるわ。よかった」
別れたあの頃、与市は確実に目が悪くなっていた。弥吉の話しでは今はもっと目が悪いはずだ。銀次は与市と視線を合わせた。完全に視力を失ったわけではないのだろう、視線が合っている感覚はあるが、それでもはっきりとは見えていないのだろうと感じ、切なく思う。
「ひょっとして、おめえの後ろにいるのは妹かい?」
与市の視線が銀次の肩越しに動いた。
よく見えていないはずなのに、感覚だけで察したのだろうか。
「へえ。妹の鈴です。親父には結局挨拶もさせねえままに別れちまったから。
鈴。こちらは俺が若けえ頃に世話になった方だ。本当の親父だと思ってる」
「はじめまして、鈴と言います」
銀次の後ろにいた鈴は前に一歩進み出て、銀次と並んで立った。
それを感じた与市は視線を鈴に動かし、微笑んだ。
「そうかい、あんたが銀次の妹か。俺も会いてえと思ってたんだ。よく来たな、歓迎するぜ。ゆっくりしていくといい」
体つきもそう大きくない与市は、その風貌からも人の良い爺に見える。
それでも鈴の勘が少しだけ心をピリつかせる気がしていた。
特別勘が良いというわけでは無いが、それでも何かが警鐘を鳴らす。
頭の中で、心の奥で、なにとは言えない『なに』かが鈴の心をざわつかせていたのだった。
その日、店を閉め四人で向かい合いながら飯を食べた。
懐かしい話もあったが、鈴の前では三人とも多くを語らなかった。
酒を飲めばまた違ったのだろうが、やはり鈴の存在は大きかったのだろう。
「もう、宿は取ったのかい?」
「いや、まだです。この町に着いて早々ここに来たんで。どこか良い宿はありますか?」
「ここは旅籠町だからな、宿ならぎょうさんあるさ。安くなくていいなら、夜中でもない限りでえじょうぶだろう」
「そうですか、なら良かった」
銀次は安心したように笑みを浮かべた。
「で? いつまでここに居るんだい? 次はどこの町にいくつもりだ?」
与市の言葉に銀次は少し言葉を飲み、ゆっくりと口を開いた。
「しばらく、この町に居ようと思ってるんでさぁ」
「ここに?」
驚いた与市は目を見開き、銀次の顔を覗き込むように見つめた。
権八もその隣で驚いた顔をしていた。
「この町にか? いや、なんでまた」
「俺もそろそろ落ち着いても良い頃かと思ってね。そうしたら、弥吉から親父がこの町にいるって聞かされて。そうか、そういうことかってね。へへへ」
若い頃の銀次はよく笑っていた。苦労を独り背負いこんだ子供の頃とは違う。
与市のそばにいさせてもらうようになってから、先を見られるようになった。
今を生きることに全てをかけるのではなく、少し先の未来を、人生を考える余裕が出来た。それは、子供心に大きな変化だったのだろう。
やりたいことは「飯を食うこと」「今夜の寝床を見つけること」生と死が隣り合わせだった日々は終わったのだ。
やりたいことも、覚えたいことも湯水のように湧いてくる。
そして、それをさせてもらえたことが、彼にとっての幸せだった。
そんな心の変化が、彼に笑顔をもたらせたのだろう。
与市や先輩兄達に叱られても、銀次は笑っていた。
たらふく飯が食え、暖かい寝床で朝を迎えられる。朝目が覚めた時に、隣で寝ていたはずの仲間が冷たくなっていない境遇は、天国のようだった。
久しぶりに与市の顔を見た銀次は、隣の鈴を忘れるほどに若い頃に戻ったのかも知れない。
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