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第五話「デヴィッド2」
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「ステラ!!大丈夫か?なにもされていないか?」
休暇によってたまり切った仕事を終わらせるためしばらく顔を見せていなかったガットが帰ってきた。
彼女の疲労した顔を見るなり抱き着き頬を自身の手で覆う。
急いできたのだろう。額には汗がにじんでおりいつもはまとまっている蒼色の髪の毛が乱れている。
「会いたかった・・。」
「、、やめて。」
「っ・・・、可笑しいことか?愛しい人に触れたいと思うのは。」
ステラは必死に胸を押してガッドと離れる。
あれ以来会話もろくに交わしていなかったため気まずい雰囲気が流れるのも無理はない。
急いで話題を変えるため食いつくように話す。
「デヴィッドの容態はどうかしら?」
「・・・ああ。それについてあなたに話しておきたいことがある。」
先ほどまで子供のようにすねた顔をしていたガッドが騎士団長にふさわしい表情に戻った。
「ドクターという闇医者の名前を知っているか?」
「ええ。世界でもトップクラスの腕前を持つ反面、貴族でも出し渋るような高額を請求してくる医者で有名だったわよね?」
「つい一週間前に皇帝相手に高額請求したため不敬罪としてとらわれた。そのドクターがこの政府の犬に入るそうだ。」
「・・・。」
ステラは頭を鈍器で殴られたような感覚に襲われた。
ドクターの腕前は世界でも認められるが、少々サディスティックな性格がある。表向きは高額さえ出せば治療を施してくれると言われているが、実は裏で人体実験をしていると噂されている。
不敬罪として捕まってはいるが、世界では彼を危険視していたため、捕まえるのにはちょうどいい機会だったのだろう。
ステラは首を傾げた。
ではなぜこのような小さな国の政府の犬にわざわざ来るのか。他国にもいくつか有名なグループがある。
「なぜここに来るのか疑問だろう?」
「ええ。」
「ドクター自身が興味を持ったと言い放ったからだ。彼はとらえられたと言っても、彼の腕前は本物だ。よって鎖につなぎつついい汁を吸うにはできる限り彼の要望に合った場所に落ち着かせて機嫌を取ろうと話し合っていた。その結果彼は政府の犬の中でも一番興味が引かれるここを選んだ。」
「興味・・・、まあどういう理由であれ来る人は拒めないしどうでもいいわ。彼はいつ来るの?」
「それが今日の話へとつながる。今回デヴィッドの容態を見るのは彼だ。」
丁度ガッドの話し終わった時、ようやく部屋のドア付近に私たちの様子を観察していた男の存在に気づいた。
「とっくの昔から見終わっている。残念だがあの薬中は末期症状に近い。このままだと死ぬぞ。」
色褪せた黄金の猫髪は無造作に跳ね、彼の端正な顔にかかる。
薄灰色の瞳は濁り光がともっていない。肌が白いためか濃い隈が際立つ。
そげた頬は彼の年齢をさらに高く見せている。
手に装着していた白い手袋を外し徐に煙草を吸い始めようとした。
「ここは喫煙しないでもらえるかしら。ドクター。」
「、、、悪いが俺と煙は突き放せないんでね。」
ぱちんとライターの音を出し、お構いなしに吸い始める。
ステラは慣れたようすでため息をついた。
デヴィッドもよく葉巻を吸う。何を言ってもやめないためほぼ期待はしていなかった。
「治るか?」
「どの程度までの話だ?完全に絶つってもんは無理だ。一度やりだしたら止まらねえ。だが一つだけ延命する方法がある。」
ドクターは一度話を切るとこつこつとブーツを鳴らしステラに近づいてきた。
警戒したガッドは静かにステラを背中に回し間合いに立つ。
「その方法、知りたいか?、、、ウォッカ」
「、、、っウォッカ。あなた、まさかあの時の?」
ガッドは目を疑った。
先ほどまで彼はガッドの目の前にいた。が、今はステラの背後に立ち、彼女の顔をうつろな目でのぞき込んでいたためだ。
「思い出してくれたか?まさか生殺しのままお預けを食らうとはおもわなかったぜ。」
にたりと薄い唇が吊り上がり、ふうっと煙をステラの顔に吹き付ける。
彼女の顔からどんどん血の気が引いていく。
「ステラ。知り合いなのか?」
「・・・いいえ思い出したくもないわ。」
「なはは。俺は忘れねえよ?ウォッカ。いや、ステラだったな本名は。」
ステラは一度自ら男に身体を預けたことがある。
この二人の出会いは全くの偶然だった。
ステラがまだ15歳のころだった。
右も左もわからぬ不安定の状況から脱却しようと奮闘しているときに彼、「ドクター」と出会った。
一回りも二回りも上の男性と婚姻を結ばされたため自身が死ぬか、相手を呪い殺すか本気で考えていた。
両親に都合のいい道具として育て上げられたことに愛が隠れていると期待し、精一杯期待に応えようと努力してきた日々が頭で渦を巻く。
結局は何も成し遂げられなったのだ。
いつの間にか彼女は城下町の西端に位置する賑やかな居酒屋に入っていた。
「・・・。」
「お‼嬢ちゃんこんな夜更けになんの用か?」
ステラの美麗な容姿に惹かれ、下卑た笑みを浮かべた大人が群がり始める。
慣れた態度であしらう15という若さの少女に興味を惹かれるものは少なくない。
「ウォッカを頂戴。」
「あいよ。」
店主は慣れた様子で酒の準備をし始める。
実はステラはこの酒場に行くのは初めてではない。
容姿のおかげで注目が集まらぬよう変装してきていた。しかし今日は疲れ果てていたためか変装も最低限度のもので顔を隠すフードもない。
この酒場の常連客でさえも彼女がウォッカを頼むまで気づかないほどであった。
「・・・ウォッカ。あんたそんな若かったんだな。長生きしないぞ。」
「こんばんわドクター。生憎長生きする予定がないわ。」
カウンターに突っ伏していたぼさぼさ頭の男がのそりと起き、ステラに声をかけた。
数か月前にこの酒場を音連れた時に声を掛けられ、そこからたびたび出会ったら話す仲になった。
「また目の隈濃くなったな。」
彼の声はすっと耳に入る心地よい低音である。
ステラも一人の女性であり、まだ心が揺らぐお年頃だ。彼の声や動作でいちいち顔が赤くなってしまう。
日々日々濃くなっていく目の隈を彼の細い指がさすった。
「あら。貴方少女愛好家だったかしら。」
「おいおい、もう15だろあんた。もう成人している。」
「貴方がそのつもりで近づいていたのならもう話しかけないでくれる?」
パシリと手を跳ね除けるたステラは不貞腐れたようにカウンターに向き直る。
「ハンッ。そりゃ困る。体の関係までしか行かない相手にはしたくないんでね。」
サラリと甘い言葉を呟く彼に心を惑わされた女性は何人居るだろう。
誰に対しても態度は変わらないと分かっていながらも、期待してしまう乙女心がステラをくすぐる。
赤く染まる頬を誤魔化すためいつもよりもハイスペースで飲み進める。
日々押し殺していたまだまだ幼い心が荒れ始める。彼女の努力はあの下卑た男のためだったのか。何故自身だけ不幸が積み重なっていくのか。生きている意味は何なのか。
飲めば飲むほど沈み込んだ思考がぼやけてくる。徐々に何に悩んでいたのかも分からなくなってきた。
再度意識が浮上してきたとき、骨の角ばった男性の背中に揺られているときであった。
「起きたか?飲み過ぎだ。」
「、ドクター。頬っておいてよかったのに。」
「あんたに疚しい目線を向けた男どもの群れに身を委ねるとは、、、どうなるか分かってるだろう?」
「、、、はっ。いっそそうなったほうがいいのかもしれないわ。」
ぴくっと背中が動く。
顔は見えないが明らかに強張っている様子のドクターを不思議に思ったステラは顔を挙げる。
ドクターは突然くるりと方今転換をするととある宿やの受付を無視し部屋に連れ込んだ。
「ドクター?」
「そういうことになるのが良ければ俺がしてやる。」
部屋に入るやいなや、ドサリと寝具にステラを下ろすと、逃さないよう覆いかぶさり閉じ込める。
薄灰色の瞳に隠していた熱く燃えるような輝きが混じりっており、ステラは目が離せなかった。
「そういえば、こうやってウォッカに悪いことを教えてきたのは全部俺だったな。」
「そうね。お酒も夜遊びも全部貴方に教えてもらった。お陰でこのザマよ。」
静かに首筋に顔を埋めた彼は小さなリップ音を立てて白い肌に跡をつける。
ピリッとした甘い刺激に驚き、ステラは跡を少しこする。
「初めてか?」
「ええ。」
その様子がおかしいのか口角を上げてステラを眺める。
それ以降会話はなく、静かにゆっくりとコトが進められた。悪酔いしたステラは意識をふわふわさせ外を眺める。
「ちゅっ、、おい、ウォッカ。そろそろ、、、あ?」
「、、、。」
今まで無視し続けた疑問、憤り、やり場のない感情が波のように押し寄せステラを支配する。今までせき止めていた理性もお酒に酔って脆くなり、ついに崩壊してしまった。彼女の大きな瞳から真珠のように涙がこぼれ落ちている。
「…ウォッカ。もう寝ろ。何もしないから。」
湧き上がる欲望を押さえつけたドクターは泣き続けるステラを抱き上げ頭を撫でる。初めて見る彼女の涙が予想以上に彼の心をかき乱し、保護欲がわいてきたのだ。
その後夜通しあやしてくれたことを、ステラは今でも覚えている。
だからなるべく関わりたくなかったのである。若さゆえの過ち立ちはいえだ。
あまりにも恥ずかしい失態を目の前の信用できない医者に見られたことが彼女にとって屈辱なのである。
「つくづく何もなくてよかったと思うわ。」
「・・・どういうことだステラ?この人と何かあったのか?」
青筋を立てて不穏な空気をまとったガットを無視し、ドクターはニヒルの笑みを浮かべて彼女を見ている。
ステラはどう説明するべきか頭をかかえた。
休暇によってたまり切った仕事を終わらせるためしばらく顔を見せていなかったガットが帰ってきた。
彼女の疲労した顔を見るなり抱き着き頬を自身の手で覆う。
急いできたのだろう。額には汗がにじんでおりいつもはまとまっている蒼色の髪の毛が乱れている。
「会いたかった・・。」
「、、やめて。」
「っ・・・、可笑しいことか?愛しい人に触れたいと思うのは。」
ステラは必死に胸を押してガッドと離れる。
あれ以来会話もろくに交わしていなかったため気まずい雰囲気が流れるのも無理はない。
急いで話題を変えるため食いつくように話す。
「デヴィッドの容態はどうかしら?」
「・・・ああ。それについてあなたに話しておきたいことがある。」
先ほどまで子供のようにすねた顔をしていたガッドが騎士団長にふさわしい表情に戻った。
「ドクターという闇医者の名前を知っているか?」
「ええ。世界でもトップクラスの腕前を持つ反面、貴族でも出し渋るような高額を請求してくる医者で有名だったわよね?」
「つい一週間前に皇帝相手に高額請求したため不敬罪としてとらわれた。そのドクターがこの政府の犬に入るそうだ。」
「・・・。」
ステラは頭を鈍器で殴られたような感覚に襲われた。
ドクターの腕前は世界でも認められるが、少々サディスティックな性格がある。表向きは高額さえ出せば治療を施してくれると言われているが、実は裏で人体実験をしていると噂されている。
不敬罪として捕まってはいるが、世界では彼を危険視していたため、捕まえるのにはちょうどいい機会だったのだろう。
ステラは首を傾げた。
ではなぜこのような小さな国の政府の犬にわざわざ来るのか。他国にもいくつか有名なグループがある。
「なぜここに来るのか疑問だろう?」
「ええ。」
「ドクター自身が興味を持ったと言い放ったからだ。彼はとらえられたと言っても、彼の腕前は本物だ。よって鎖につなぎつついい汁を吸うにはできる限り彼の要望に合った場所に落ち着かせて機嫌を取ろうと話し合っていた。その結果彼は政府の犬の中でも一番興味が引かれるここを選んだ。」
「興味・・・、まあどういう理由であれ来る人は拒めないしどうでもいいわ。彼はいつ来るの?」
「それが今日の話へとつながる。今回デヴィッドの容態を見るのは彼だ。」
丁度ガッドの話し終わった時、ようやく部屋のドア付近に私たちの様子を観察していた男の存在に気づいた。
「とっくの昔から見終わっている。残念だがあの薬中は末期症状に近い。このままだと死ぬぞ。」
色褪せた黄金の猫髪は無造作に跳ね、彼の端正な顔にかかる。
薄灰色の瞳は濁り光がともっていない。肌が白いためか濃い隈が際立つ。
そげた頬は彼の年齢をさらに高く見せている。
手に装着していた白い手袋を外し徐に煙草を吸い始めようとした。
「ここは喫煙しないでもらえるかしら。ドクター。」
「、、、悪いが俺と煙は突き放せないんでね。」
ぱちんとライターの音を出し、お構いなしに吸い始める。
ステラは慣れたようすでため息をついた。
デヴィッドもよく葉巻を吸う。何を言ってもやめないためほぼ期待はしていなかった。
「治るか?」
「どの程度までの話だ?完全に絶つってもんは無理だ。一度やりだしたら止まらねえ。だが一つだけ延命する方法がある。」
ドクターは一度話を切るとこつこつとブーツを鳴らしステラに近づいてきた。
警戒したガッドは静かにステラを背中に回し間合いに立つ。
「その方法、知りたいか?、、、ウォッカ」
「、、、っウォッカ。あなた、まさかあの時の?」
ガッドは目を疑った。
先ほどまで彼はガッドの目の前にいた。が、今はステラの背後に立ち、彼女の顔をうつろな目でのぞき込んでいたためだ。
「思い出してくれたか?まさか生殺しのままお預けを食らうとはおもわなかったぜ。」
にたりと薄い唇が吊り上がり、ふうっと煙をステラの顔に吹き付ける。
彼女の顔からどんどん血の気が引いていく。
「ステラ。知り合いなのか?」
「・・・いいえ思い出したくもないわ。」
「なはは。俺は忘れねえよ?ウォッカ。いや、ステラだったな本名は。」
ステラは一度自ら男に身体を預けたことがある。
この二人の出会いは全くの偶然だった。
ステラがまだ15歳のころだった。
右も左もわからぬ不安定の状況から脱却しようと奮闘しているときに彼、「ドクター」と出会った。
一回りも二回りも上の男性と婚姻を結ばされたため自身が死ぬか、相手を呪い殺すか本気で考えていた。
両親に都合のいい道具として育て上げられたことに愛が隠れていると期待し、精一杯期待に応えようと努力してきた日々が頭で渦を巻く。
結局は何も成し遂げられなったのだ。
いつの間にか彼女は城下町の西端に位置する賑やかな居酒屋に入っていた。
「・・・。」
「お‼嬢ちゃんこんな夜更けになんの用か?」
ステラの美麗な容姿に惹かれ、下卑た笑みを浮かべた大人が群がり始める。
慣れた態度であしらう15という若さの少女に興味を惹かれるものは少なくない。
「ウォッカを頂戴。」
「あいよ。」
店主は慣れた様子で酒の準備をし始める。
実はステラはこの酒場に行くのは初めてではない。
容姿のおかげで注目が集まらぬよう変装してきていた。しかし今日は疲れ果てていたためか変装も最低限度のもので顔を隠すフードもない。
この酒場の常連客でさえも彼女がウォッカを頼むまで気づかないほどであった。
「・・・ウォッカ。あんたそんな若かったんだな。長生きしないぞ。」
「こんばんわドクター。生憎長生きする予定がないわ。」
カウンターに突っ伏していたぼさぼさ頭の男がのそりと起き、ステラに声をかけた。
数か月前にこの酒場を音連れた時に声を掛けられ、そこからたびたび出会ったら話す仲になった。
「また目の隈濃くなったな。」
彼の声はすっと耳に入る心地よい低音である。
ステラも一人の女性であり、まだ心が揺らぐお年頃だ。彼の声や動作でいちいち顔が赤くなってしまう。
日々日々濃くなっていく目の隈を彼の細い指がさすった。
「あら。貴方少女愛好家だったかしら。」
「おいおい、もう15だろあんた。もう成人している。」
「貴方がそのつもりで近づいていたのならもう話しかけないでくれる?」
パシリと手を跳ね除けるたステラは不貞腐れたようにカウンターに向き直る。
「ハンッ。そりゃ困る。体の関係までしか行かない相手にはしたくないんでね。」
サラリと甘い言葉を呟く彼に心を惑わされた女性は何人居るだろう。
誰に対しても態度は変わらないと分かっていながらも、期待してしまう乙女心がステラをくすぐる。
赤く染まる頬を誤魔化すためいつもよりもハイスペースで飲み進める。
日々押し殺していたまだまだ幼い心が荒れ始める。彼女の努力はあの下卑た男のためだったのか。何故自身だけ不幸が積み重なっていくのか。生きている意味は何なのか。
飲めば飲むほど沈み込んだ思考がぼやけてくる。徐々に何に悩んでいたのかも分からなくなってきた。
再度意識が浮上してきたとき、骨の角ばった男性の背中に揺られているときであった。
「起きたか?飲み過ぎだ。」
「、ドクター。頬っておいてよかったのに。」
「あんたに疚しい目線を向けた男どもの群れに身を委ねるとは、、、どうなるか分かってるだろう?」
「、、、はっ。いっそそうなったほうがいいのかもしれないわ。」
ぴくっと背中が動く。
顔は見えないが明らかに強張っている様子のドクターを不思議に思ったステラは顔を挙げる。
ドクターは突然くるりと方今転換をするととある宿やの受付を無視し部屋に連れ込んだ。
「ドクター?」
「そういうことになるのが良ければ俺がしてやる。」
部屋に入るやいなや、ドサリと寝具にステラを下ろすと、逃さないよう覆いかぶさり閉じ込める。
薄灰色の瞳に隠していた熱く燃えるような輝きが混じりっており、ステラは目が離せなかった。
「そういえば、こうやってウォッカに悪いことを教えてきたのは全部俺だったな。」
「そうね。お酒も夜遊びも全部貴方に教えてもらった。お陰でこのザマよ。」
静かに首筋に顔を埋めた彼は小さなリップ音を立てて白い肌に跡をつける。
ピリッとした甘い刺激に驚き、ステラは跡を少しこする。
「初めてか?」
「ええ。」
その様子がおかしいのか口角を上げてステラを眺める。
それ以降会話はなく、静かにゆっくりとコトが進められた。悪酔いしたステラは意識をふわふわさせ外を眺める。
「ちゅっ、、おい、ウォッカ。そろそろ、、、あ?」
「、、、。」
今まで無視し続けた疑問、憤り、やり場のない感情が波のように押し寄せステラを支配する。今までせき止めていた理性もお酒に酔って脆くなり、ついに崩壊してしまった。彼女の大きな瞳から真珠のように涙がこぼれ落ちている。
「…ウォッカ。もう寝ろ。何もしないから。」
湧き上がる欲望を押さえつけたドクターは泣き続けるステラを抱き上げ頭を撫でる。初めて見る彼女の涙が予想以上に彼の心をかき乱し、保護欲がわいてきたのだ。
その後夜通しあやしてくれたことを、ステラは今でも覚えている。
だからなるべく関わりたくなかったのである。若さゆえの過ち立ちはいえだ。
あまりにも恥ずかしい失態を目の前の信用できない医者に見られたことが彼女にとって屈辱なのである。
「つくづく何もなくてよかったと思うわ。」
「・・・どういうことだステラ?この人と何かあったのか?」
青筋を立てて不穏な空気をまとったガットを無視し、ドクターはニヒルの笑みを浮かべて彼女を見ている。
ステラはどう説明するべきか頭をかかえた。
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