異世界転生少女奮闘記

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第5章「新人傭兵」

第69話「最終試験3」

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 さて一日が終わった。
 情報共有の時間だ。私の部屋に見慣れた二人が窓から訪れた。

「あー糞!あの騎士団長教官と同じくらい鬼畜な訓練しやがる。」
「げ、マジ?良かった僕女子生徒で。」
「雑談する時間はないぞ。野蛮人は進展ないってことでいいのか?]
「ああ。ツマンねぇ訓練を抜け出したら鬼畜な訓練メニューを個人的に渡されて体中が痛てぇ。」
「自業自得だよ。二度と僕に話しかけないでね。怪しまれる。」
「俺も特に、、、あの学園長の娘の右腕の座を勝ち取ったくらいだ。」
「「いや十分進展してんだろ」」
「はいはい!僕も今日頑張りました!なんとジン騎士団長から認知もらいました!」
「すげぇ!」
「当然だ。それくらい進展させないと他のライバルに追い抜かれる。」

 純粋に褒めてくれるヴァドをよしよしし、腹黒を全力無視する。
 小学生男子だから素直な奴だ。そこがいい。

「・・・っ!おい隠れろ。足音が近づいてきた。」

 流石野生人。耳がいい。きっと見回りの女性教師が近づく音だろう。
 実は本物のノエルちゃんはどうやったか知らんけど、ギルドが昼のうちに回収した。
 そのため服はまだしまってないのでクローゼットは空っぽ。絶好の隠れ場所だ。
 成人した二人をそこに押し込み自分はベッドにもぐりこむ。
 がちゃりと部屋を開けられ教師は中をのぞき、去っていった。

「・・・よし。出てきていいっ!」

 グイっと褐色肌の逞しい腕に引っ張られクローゼットに引き入れられる。
 驚いた拍子に叫びそうになり、腕が口をふさぐ。
 何のつもりでヴァドが引き入れたのか知りたかったが、正面にいるユウシャが唇に人差し指を当て静かにするポーズをしていた。
 
 その後すぐに、もう一人分の足音がドアの前を通り過ぎる。
 
「・・・・行ったか。」
「ごめん有難うヴァド。」
「おう。」

 成人した三人がクローゼットに詰まっているという状況。暑苦しい。
 早く抜け出したかったが、、、、ドアが開かない。

「え?なんで?なんで?」
「・・・オートロックか。」
「俺の腕力でも開かねえぞ?」
「各部屋に置かれたこのクローゼットは貴重品を守る役目も持っている。先ほどのように乱暴に出入りするとオートロックという魔法が自動的に発動し鍵がかかる。」
「うわ複雑な魔法かかってる!最悪、どうすればいいの?」
「、、落ち着けアス。解除魔法は習っている。俺が解除しよう。」
「流石天才。神。」
「・・・・。」

 先ほどからヴァドがしゃべらない。
 様子を見ようにも狭すぎて身動きが取れない。
 
 体重は全て前方にいるユウシャに預けている状態だ。後ろにはヴァドがバランスを取り私とユウシャに圧し掛からないよう調節しているが、どうしても密着する。

「なんで黙ってんのヴァド?」

 なるべく周りに声が聞こえないよ小声で問いかける

「それ以上動くな。」
「え?」
「俺からもお願いしたい。アスは何もしなくていいから動かないでくれ。」
「なんで?」

 仕方がなく動きを止めたが、訳が分からない。
 プルプルと震えるヴァドに意識を集中させる。
 ・・・なぜ動いてほしくないのか理解することになった。

「っちょ、ヴァドまさか」
「うるせえ仕方がねえだろ!最近抜いてねえんだよ!」
「ぎゃあやっぱり!この感触君のモノでしょ!」
「女みてえな尻してるお前が悪い!」
「最悪!近づくな獣!ユウシャ早く開けて!」

 身の危険を感じヴァドから離れようとさらにユウシャに近づく。
 、、、そうだった。いくら完璧超人であってもヴァドと同じく男だ。

「最悪は俺のセリフだ。任務終わったら絶対店に行く。」
「甘いマスク王子からそんな言葉聞きたくなかった・・・。」

 私の小さなお腹にも固くなったユウシャのモノが押し付けられている感触がするのだ。
 やばいこれはやばい。バレてたらこんなものでは済まされない。
 彼らの理性は私が男という勘違いによって保たれている。

「えっと、うんこ!うんこうんこ!」
「急になんだよそれ。」
「萎えるかなって・・・。」
「お前時々飛んでもねえ考えするよな。」

 どうとでも言え獣。しかし案外私の作戦は成功している。潔癖症のユウシャのモノが小さくなった気がする。
 ヴァドは何故変化ないんだ。

「やべぇ・・・腕が限界・・・。」
「え、ちょまっ!」
「っ重い・・・。」

 さらに私たちの密着度が高まる。
 ヴァドも何とか体制を戻そうと動く。

「っ、あっ・・ちょ、動かないっで・・・。」

 ごりごりとモノがくすぐったいところに擦れるわけで・・・。
 自分でも驚くほど変な声が出てしまう。

「「「・・・・。」」」

 目を腕で覆い耐えるユウシャ。腕の血管を浮かび上がらせ動こうにも動けないヴァド。恥ずかしすぎて震えてしまう私。

「・・・ぶち犯すぞアス。」
「ぎゃあああヤダヤダ!ユウシャ早く早く!!」

 いろんなところがイライラしているヴァドが限界を迎えたのかべろりと首筋を舐めてきた。
 崖っぷちに立つとはこのこと。
 確実に理性が飛んだヴァドに逃げようと必死に体を捩じるがさらに彼を興奮させるだけであった。

「おい野蛮人!その一線は超えちゃいけない!特にアス相手はやめておけ!抜け出せなくなるぞ!」
「分かってる、わかってるぜ勿論。俺が責任取ればいいんだろ?」
「どう責任取るんだよ!僕のお尻がやばいことになっちゃうって!」

 ゆっくりとパジャマのボタンをはずし始めるヴァドの腕から逃げたいが、腕を動かせるほど隙間はない。
「やだやだやだ!ユウシャ、ユウシャ早く。」

 怖すぎて思わず涙が湧き出てしまう。
 ぼたぼたとしずくがユウシャの端正な顔にへと零れてしまう。

「・・・そんな目で俺を見るなアスっ最悪だ。」
「アス・・・大丈夫優しくする。」
「全然安心できないよ、開けええ!」
「っ糞!後で恨むなよアス!」

 端正な顔が近づいてきたと思ったらもう遅い。
 見た目に反し力強く熱いユウシャの舌が割り込み唾液を全て奪うように口内を犯し始める。
 久しぶりの感触で思わず呼吸の仕方を忘れてしまった。
 溺れるような感触にさらに恐怖し涙が止まらくなる。
「っ、い、いやっ、、、~!!!」
「っ、、、はっ、呼吸しろ馬鹿。」

 ようやく離れたと思った瞬間、扉が開いた。

 ゴロゴロと部屋に転がった私たち。
 何が起こったのか分からない私。
 必死に呼吸を整えるユウシャ。
 完全に理性がぶっ飛び目をランランと光らせアスを舐めるように見るヴァド。

「か、帰れえええええ!!」







 私の叫び声で駆け付けた騎士に寝ぼけましたとウソをつく羽目になった。
 ユウシャの行動はこの時理解できなかったが、のちに私の特性をつかい解除魔法を強化するためという必要な行為であったということで誤解は解けた。
 ヴァドは全く記憶にないらしい。


 
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