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第5章「新人傭兵」
第67話「最終試験1」
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「こちらノエル。潜入に成功した。」
ザザッと無線機にノイズが走る。
「こちらキャラベル。少々手間取ったが無事すり替わった」
「えーこちらヴァド、じゃねえウト!あーっと、入団試験の希望書無事提出したぜ。どーぞ。」
本名を言うなとあれほど釘を指していたのにあの小学生……。
まあいいや。取り敢えずここ「白百合学園」に潜入することにそれぞれ成功した。
「入団試験まで一週間。僕達、、、私達は目的を果たさないといけない。くれぐれも慎重に行動してね。」
「「了解」」
学生ピンを装った無線機をブレザーにつけ、ため息をついた。
ノエルという白百合学園に通っている生徒に紛争した私は、潜入捜査するまでに至った経緯を思い出す。
からりと晴れた晴天。木々は生き生きとし始め生命の動きも活発な時期。
……にも関わらずとある傭兵ギルドの一つ広場は静寂と緊張で満ちていた。
今日は一年に一度行われる訓練兵最終試験である。
それぞれの場所で訓練していた訓練兵が広場に集められていた。
皆厳しい訓練に耐えてきた強者のため、目つきが明らかに違う。
その中でもやはり、、ゲルド教官の班が目立つ。
他班と比べ明らかに人数が少ないのに加え、体つきが完成され緊張感が段違いである。どこよりも早く整列し、列の乱れが一切見当たらない。
「やはりゲルド教官殿の訓練兵は質が違いますな。」
「流石です。」
ざわざわ、と試験監督に抜擢された人々が話し合っているのが聞こえる。
若い訓練兵は人気の傭兵団に入団しようと殺気立ち、歳を重ねている熟練訓練兵は冷静に最終試験に向けて精神を統一している。
迷彩柄のベレー帽を目深に被った男が広場の高台に立った。ざわめいていた広場がピタリと静かになる。
「おめでとう諸君。見事糞虫のくせにここまで意地汚く生き残ってきた。俺も感動して震えが止まらない。
今日は待ちに待った最終試験だ。これを無事乗り越えられたものが晴れて人間に近しい存在となれる。」
第13傭兵団所属であり幹部に抜擢されている彼の声はよく通り、一層訓練兵の気を引き締めた。
「さて、今年の最終試験は例年通り個人戦トーナメント・・・と行きたいところだが。今年は違ぇぞ。」
急に数人の訓練生が焦り始めた気配が生まれる。先輩にコネを作って事前に対策を練ってきた者たちだ。
緊張感がさらに高まる。
「今回の危険性はさらに高い。今回のターゲットは敵国の情報だ。それもこのギルドの存続がかかっているレベルのな。」
彼の衝撃的な発言にアスを含め訓練生達は動揺を隠せなかった。
アスside
「まさか敵国の学園に潜入するとはねー。」
「ゲルド教官も相変わらずだよなー。俺ら訓練し始めて三か月しかたってねえっつーの。」
「傭兵ギルドだぞここは。金を積めば何でもやる。良心的なところじゃない。」
「それに対して初任務の相手は国に忠義を尽くす騎士団が学園を守っている。そんな厳重に管理されている情報を盗む任務ね~。」
やる気も経験値も何もかもが天と地の差がある。
「・・・本部にある『騎士団長の部屋』に厳重に保管されているといってもなー。どう中に潜入できるんだろう。」
「近年募集がかけられている騎士団入団試験に合格し内部に侵入し手を考えているグループもいたな。」
「何年かかるのさ。」
「うーん変装が無難じゃない?学園の生徒を拉致してなり替わるとか?」
「・・・・女子学園だぞ。」
え、まじか。
まさか、そうそう女装する日がこようとは、、、。
そして女装で屈辱を味わうことになろうとは・・・。
「うっわすっげ好み。お前本当に腹黒か?」
「うるさい!!なんで俺がこんな目に!」
「すっごい美人じゃん。いいじゃん。僕なんてさ、ただのちんちくりんのモッサい女子学生になっちゃったよ、、。」
私は本当に女なのだろうか。
あの腹黒は見事、麗しい金髪をなびかせ青玉の瞳は美しくゆがめられている。
薄い唇も彼、いや彼女にとっては魅力の一つとなり魅惑的に輝いている。
柔らかいものを胸に詰め込めばナイスバディな第一軍の女子が誕生した。彼は筋肉の肥大がしにくい体質のため実際の力に対して体はスリムだ。何とかごまかしがきく。
うらやましいぞおい。いやちんちくりんな体形だったからこそ私はこのギルドで性別を隠せているのだが、、、。やはり納得がいかない。
「アスもいいじゃねえか!潜入しやすそうだ!」
あー純粋な言葉ほど突き刺さるものはないなこれ。
いたたた・・・。
「君はあまり華がないのがいいのかもね。」
嫌味しかねえなこいつ。一回殴ってみようかな。
「はあ、、、まあいいや。誉め言葉として受け取っておくよ。それで野蛮人は着替えられたんだね。」
「おう!でもなんで騎士っつーもんはこんな邪魔にしかならねえ鎧を着てんだ?」
「騎士団に入るのはお高く留まったお貴族様たちだよ。かすり傷さえつけたくないのかもな。」
「はいはい。とにかくヴァドは新規の騎士として入団試合に参加してほしい。顔は隠してね。」
「分かってるって。潜入期間と丁度重なっている入団試験に参加して,いざとなったらお前らを守ればいいんだろう?簡単すぎねえか?」
「「あんたはそれくらいで十分」」
不満気な小学生男子を放置し改めて自分たちの姿を確認する。
今回の潜入捜査にて準備期間が用意されている。
ゲルド教官や上の者に頼めば必要な情報などを提供してくれた。
ゲルド教官からそれぞれに配られた要注意人物の資料に乗っている女の子。
学園で我が物顔でふんぞり返っている学園長の娘の取り巻きがいる。その一人とユウシャの女装姿が瓜二つであったのだ。
「俺とアスで基本的に団長室に入る機会を探す。俺はこの取り巻きになり替わる。」
「そして僕は目立たない子となり替わって基本隠密行動する。」
潜入期間は明日から一週間。
事前準備配られた資料を熟読したり、なり替わる対象の子の癖やしゃべり方を模倣するためワトさんの協力をえて練習したらいつの間にかその日は終わってしまった。
ザザッと無線機にノイズが走る。
「こちらキャラベル。少々手間取ったが無事すり替わった」
「えーこちらヴァド、じゃねえウト!あーっと、入団試験の希望書無事提出したぜ。どーぞ。」
本名を言うなとあれほど釘を指していたのにあの小学生……。
まあいいや。取り敢えずここ「白百合学園」に潜入することにそれぞれ成功した。
「入団試験まで一週間。僕達、、、私達は目的を果たさないといけない。くれぐれも慎重に行動してね。」
「「了解」」
学生ピンを装った無線機をブレザーにつけ、ため息をついた。
ノエルという白百合学園に通っている生徒に紛争した私は、潜入捜査するまでに至った経緯を思い出す。
からりと晴れた晴天。木々は生き生きとし始め生命の動きも活発な時期。
……にも関わらずとある傭兵ギルドの一つ広場は静寂と緊張で満ちていた。
今日は一年に一度行われる訓練兵最終試験である。
それぞれの場所で訓練していた訓練兵が広場に集められていた。
皆厳しい訓練に耐えてきた強者のため、目つきが明らかに違う。
その中でもやはり、、ゲルド教官の班が目立つ。
他班と比べ明らかに人数が少ないのに加え、体つきが完成され緊張感が段違いである。どこよりも早く整列し、列の乱れが一切見当たらない。
「やはりゲルド教官殿の訓練兵は質が違いますな。」
「流石です。」
ざわざわ、と試験監督に抜擢された人々が話し合っているのが聞こえる。
若い訓練兵は人気の傭兵団に入団しようと殺気立ち、歳を重ねている熟練訓練兵は冷静に最終試験に向けて精神を統一している。
迷彩柄のベレー帽を目深に被った男が広場の高台に立った。ざわめいていた広場がピタリと静かになる。
「おめでとう諸君。見事糞虫のくせにここまで意地汚く生き残ってきた。俺も感動して震えが止まらない。
今日は待ちに待った最終試験だ。これを無事乗り越えられたものが晴れて人間に近しい存在となれる。」
第13傭兵団所属であり幹部に抜擢されている彼の声はよく通り、一層訓練兵の気を引き締めた。
「さて、今年の最終試験は例年通り個人戦トーナメント・・・と行きたいところだが。今年は違ぇぞ。」
急に数人の訓練生が焦り始めた気配が生まれる。先輩にコネを作って事前に対策を練ってきた者たちだ。
緊張感がさらに高まる。
「今回の危険性はさらに高い。今回のターゲットは敵国の情報だ。それもこのギルドの存続がかかっているレベルのな。」
彼の衝撃的な発言にアスを含め訓練生達は動揺を隠せなかった。
アスside
「まさか敵国の学園に潜入するとはねー。」
「ゲルド教官も相変わらずだよなー。俺ら訓練し始めて三か月しかたってねえっつーの。」
「傭兵ギルドだぞここは。金を積めば何でもやる。良心的なところじゃない。」
「それに対して初任務の相手は国に忠義を尽くす騎士団が学園を守っている。そんな厳重に管理されている情報を盗む任務ね~。」
やる気も経験値も何もかもが天と地の差がある。
「・・・本部にある『騎士団長の部屋』に厳重に保管されているといってもなー。どう中に潜入できるんだろう。」
「近年募集がかけられている騎士団入団試験に合格し内部に侵入し手を考えているグループもいたな。」
「何年かかるのさ。」
「うーん変装が無難じゃない?学園の生徒を拉致してなり替わるとか?」
「・・・・女子学園だぞ。」
え、まじか。
まさか、そうそう女装する日がこようとは、、、。
そして女装で屈辱を味わうことになろうとは・・・。
「うっわすっげ好み。お前本当に腹黒か?」
「うるさい!!なんで俺がこんな目に!」
「すっごい美人じゃん。いいじゃん。僕なんてさ、ただのちんちくりんのモッサい女子学生になっちゃったよ、、。」
私は本当に女なのだろうか。
あの腹黒は見事、麗しい金髪をなびかせ青玉の瞳は美しくゆがめられている。
薄い唇も彼、いや彼女にとっては魅力の一つとなり魅惑的に輝いている。
柔らかいものを胸に詰め込めばナイスバディな第一軍の女子が誕生した。彼は筋肉の肥大がしにくい体質のため実際の力に対して体はスリムだ。何とかごまかしがきく。
うらやましいぞおい。いやちんちくりんな体形だったからこそ私はこのギルドで性別を隠せているのだが、、、。やはり納得がいかない。
「アスもいいじゃねえか!潜入しやすそうだ!」
あー純粋な言葉ほど突き刺さるものはないなこれ。
いたたた・・・。
「君はあまり華がないのがいいのかもね。」
嫌味しかねえなこいつ。一回殴ってみようかな。
「はあ、、、まあいいや。誉め言葉として受け取っておくよ。それで野蛮人は着替えられたんだね。」
「おう!でもなんで騎士っつーもんはこんな邪魔にしかならねえ鎧を着てんだ?」
「騎士団に入るのはお高く留まったお貴族様たちだよ。かすり傷さえつけたくないのかもな。」
「はいはい。とにかくヴァドは新規の騎士として入団試合に参加してほしい。顔は隠してね。」
「分かってるって。潜入期間と丁度重なっている入団試験に参加して,いざとなったらお前らを守ればいいんだろう?簡単すぎねえか?」
「「あんたはそれくらいで十分」」
不満気な小学生男子を放置し改めて自分たちの姿を確認する。
今回の潜入捜査にて準備期間が用意されている。
ゲルド教官や上の者に頼めば必要な情報などを提供してくれた。
ゲルド教官からそれぞれに配られた要注意人物の資料に乗っている女の子。
学園で我が物顔でふんぞり返っている学園長の娘の取り巻きがいる。その一人とユウシャの女装姿が瓜二つであったのだ。
「俺とアスで基本的に団長室に入る機会を探す。俺はこの取り巻きになり替わる。」
「そして僕は目立たない子となり替わって基本隠密行動する。」
潜入期間は明日から一週間。
事前準備配られた資料を熟読したり、なり替わる対象の子の癖やしゃべり方を模倣するためワトさんの協力をえて練習したらいつの間にかその日は終わってしまった。
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