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第4章「改めた新たな世界」
第49話「嬉しくない歓迎」
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目が覚めると夕方であった。
多分ハジメ副団長と話して数時間寝てしまったのだ。
「おきたか?」
「はい!」
汗臭い服は脱ぎ去りそばに用意されてあった服を着る。
やはり同年代の男性用の服らしく少し大きい。
「もう夕食の時間だ。食堂に行けるか?」
「行きます!」
盛大におなかを荒らしながらドアに手をかけた。
勢いよくドアを開けるとラフな袴に着替えたお侍さんが出迎えてくれた。
少し会話をした後食堂へ向けて歩き出す。さり気なく歩幅の小さい私にスピードを合わせてくれる当たり、相当の数の女性を虜にしたのだろう。
「あ、そういえばお名前聞いてませんでした。私はアスと言います。」
「ああ。俺はハジメという者だよろしく頼む。第十三傭兵団の副団長を務めている。」
「副団長?あの坊主フェードカットの男じゃないんですか?」
「ボウズフェ……?あーウォレッドのことか?
この第十三傭兵団は特例で副団長が二人いる。
何かと問題が多いからな……。」
そう言ってハジメ副団長は胃を擦る。
多分全部の面倒事を抱えているのだろう。
食堂に着くと先程まで大騒ぎだった食堂が私を見るなり一斉に静かになった。
え、なに??私なんか変だった?
慌ててフードを被るが相変わらず目線が八方から注がれる。
「よお小僧!昨日は災難だったなあ。」
「あ、えっとメカ・・・ドグロさん?」
「正解。なんだハジメ副団長もこの食堂に来たのか?珍しいなー。いつもは騒がしいところは気に入らないって飯は部屋で食ってたのに。」
「今日はこいつがいるから仕方が無い。貴様らに任せておけないのでな。」
「なんだ?やっぱソッチの趣味がおありか?」
「言っておけ。」
煩わしそうにハジメ副団長はドグロさんの顔を押し退けカウンター席に座る。
「アス。覚悟しておけよ。」
「は?」
急に私に背を向け意味不明なセリフを言うハジメ副団長。
その瞬間……。
「「「「第十三傭兵団にようこそ!」」」」」
という言葉とともに頭から赤ワインを樽でぶっ掛けられる。
「えええええええ!?」
あっという間に食堂の人々に囲まれて口々に昨日の殴り合いは痺れただの、意外とやるじゃんだの賞賛の声を掛けられる。
無理やり掴まされたジョッキにはなみなみと酒が注がれ乾杯を何度もされる。
歓迎会、のようなものだと思う。
「な、そんな簡単に受け入れられていいのか?」
ドグロさんに思わず疑問を投げかけてしまった。
「なに言ってやがる!アノバロウ団長の血を流させた英雄だぞお前は。」
どうやらあの殴り合いは入隊の試験のようなもので、普通の人はバロウ団長に触れることすら出来ずに最後には降参してしまうらしい。少しでも彼に傷をつけることができれば晴れて入隊を許可される。
ましてや今回はあのブチ切れたバロウ相手に果敢に挑み、図付きをもろに食らわせた新人が入ったらしいと聞きつけた団員達は興味津々。
また数人はその試験を眺めていたので私が入ることを大歓迎しているらしい。
「でも、あれはなんていうか偶然というか。」
「勿論それは全員知ってる。だが、俺達のような特殊な奴らは常に刺激を求める傾向にあってだな……面白そうなものが大好きなんだ。」
つまり、私は面白そうな玩具として歓迎されていると……。
嬉しくねええええええ。
数時間後。
主役であるはずの私を頬って置いて団員達は酒や料理を頬張っていく。
多分歓迎会といって酒を飲んで暴れただけだったのだろう。
浴びせられた赤ワインに火を着火させられそうになったり、喧嘩に誘われたりしてヘトヘトになってカウンター席に座る。
「お疲れ。すまねえな毎年恒例なんだ。」
「コレがですか??……はあ。」
「まあ喜べ!例年よりも歓迎会に参加している人数が多いしすぐ馴染めるだろ。」
ハジメ副団長とドグロさんからそれぞれ言葉を掛けてもらう。納得いかんし喜べん。
「……なんで僕、ここに入ることを許可されたんですか?」
「「今更??」」
「だってバロウ団長から明らかに殺意感じてたし。」
「そうだった。今後の話を一切していなかったな。君が意識を失っている間にバロウ団長を含めもう一度話し合った。
その結果、アス、君はここの第十三傭兵団の新人として受け入れることになった。
理由は2つある。
1つ目に入隊試験を通過したからだ。偶然であろうがなかろうが、その機会を生かして足掻いたのは称賛できる。
2つ目に君の過去が関係する。」
私の、過去??
多分ハジメ副団長と話して数時間寝てしまったのだ。
「おきたか?」
「はい!」
汗臭い服は脱ぎ去りそばに用意されてあった服を着る。
やはり同年代の男性用の服らしく少し大きい。
「もう夕食の時間だ。食堂に行けるか?」
「行きます!」
盛大におなかを荒らしながらドアに手をかけた。
勢いよくドアを開けるとラフな袴に着替えたお侍さんが出迎えてくれた。
少し会話をした後食堂へ向けて歩き出す。さり気なく歩幅の小さい私にスピードを合わせてくれる当たり、相当の数の女性を虜にしたのだろう。
「あ、そういえばお名前聞いてませんでした。私はアスと言います。」
「ああ。俺はハジメという者だよろしく頼む。第十三傭兵団の副団長を務めている。」
「副団長?あの坊主フェードカットの男じゃないんですか?」
「ボウズフェ……?あーウォレッドのことか?
この第十三傭兵団は特例で副団長が二人いる。
何かと問題が多いからな……。」
そう言ってハジメ副団長は胃を擦る。
多分全部の面倒事を抱えているのだろう。
食堂に着くと先程まで大騒ぎだった食堂が私を見るなり一斉に静かになった。
え、なに??私なんか変だった?
慌ててフードを被るが相変わらず目線が八方から注がれる。
「よお小僧!昨日は災難だったなあ。」
「あ、えっとメカ・・・ドグロさん?」
「正解。なんだハジメ副団長もこの食堂に来たのか?珍しいなー。いつもは騒がしいところは気に入らないって飯は部屋で食ってたのに。」
「今日はこいつがいるから仕方が無い。貴様らに任せておけないのでな。」
「なんだ?やっぱソッチの趣味がおありか?」
「言っておけ。」
煩わしそうにハジメ副団長はドグロさんの顔を押し退けカウンター席に座る。
「アス。覚悟しておけよ。」
「は?」
急に私に背を向け意味不明なセリフを言うハジメ副団長。
その瞬間……。
「「「「第十三傭兵団にようこそ!」」」」」
という言葉とともに頭から赤ワインを樽でぶっ掛けられる。
「えええええええ!?」
あっという間に食堂の人々に囲まれて口々に昨日の殴り合いは痺れただの、意外とやるじゃんだの賞賛の声を掛けられる。
無理やり掴まされたジョッキにはなみなみと酒が注がれ乾杯を何度もされる。
歓迎会、のようなものだと思う。
「な、そんな簡単に受け入れられていいのか?」
ドグロさんに思わず疑問を投げかけてしまった。
「なに言ってやがる!アノバロウ団長の血を流させた英雄だぞお前は。」
どうやらあの殴り合いは入隊の試験のようなもので、普通の人はバロウ団長に触れることすら出来ずに最後には降参してしまうらしい。少しでも彼に傷をつけることができれば晴れて入隊を許可される。
ましてや今回はあのブチ切れたバロウ相手に果敢に挑み、図付きをもろに食らわせた新人が入ったらしいと聞きつけた団員達は興味津々。
また数人はその試験を眺めていたので私が入ることを大歓迎しているらしい。
「でも、あれはなんていうか偶然というか。」
「勿論それは全員知ってる。だが、俺達のような特殊な奴らは常に刺激を求める傾向にあってだな……面白そうなものが大好きなんだ。」
つまり、私は面白そうな玩具として歓迎されていると……。
嬉しくねええええええ。
数時間後。
主役であるはずの私を頬って置いて団員達は酒や料理を頬張っていく。
多分歓迎会といって酒を飲んで暴れただけだったのだろう。
浴びせられた赤ワインに火を着火させられそうになったり、喧嘩に誘われたりしてヘトヘトになってカウンター席に座る。
「お疲れ。すまねえな毎年恒例なんだ。」
「コレがですか??……はあ。」
「まあ喜べ!例年よりも歓迎会に参加している人数が多いしすぐ馴染めるだろ。」
ハジメ副団長とドグロさんからそれぞれ言葉を掛けてもらう。納得いかんし喜べん。
「……なんで僕、ここに入ることを許可されたんですか?」
「「今更??」」
「だってバロウ団長から明らかに殺意感じてたし。」
「そうだった。今後の話を一切していなかったな。君が意識を失っている間にバロウ団長を含めもう一度話し合った。
その結果、アス、君はここの第十三傭兵団の新人として受け入れることになった。
理由は2つある。
1つ目に入隊試験を通過したからだ。偶然であろうがなかろうが、その機会を生かして足掻いたのは称賛できる。
2つ目に君の過去が関係する。」
私の、過去??
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