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第3章「不幸の連続」
第38話「喧嘩だ喧嘩」
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『………。』
『また目線を反らせた。
本当に、あなたは昔から私に嘘を付くのが苦手ね。』
『そうか?』
『会話をずらそうとしないで。』
『……俺様があいつに何を思おうとお前には関係ねぇ。』
『関係あるわよ!!』
緊迫した店内。
『貴方は、思ったことないわけ?昔からの幼馴染みで、いつも守ってくれて他のどんなことより優先してくれる人に対して、友人止まりの感情になるわけ??』
『…何か勘違いしてねぇか?』
『え?』
『俺様は一度も、お前のことを女として見たことはない。』
は?え?ちょっとまって、マスター!!
アイリスさんとラブラブだったじゃん!!どういうこと?!
『___っ嘘、じゃあ、貴方のその心を焦がすような目線はなんなのよ!』
『お前は昔変わらずの、大切な妹……だ。』
『_________嘘つき!!!!貴方がこの地獄から救ってくれると思っていたのに!!!!』
耳を劈くような甲高い声で叫んだかと思うと、勢い良く飛び出してきた。
「アイリス!」
「来ないで!!…もう、会えないわ。_____さようなら。」
やけに晴れた昼間。リアル昼ドラが目の前で繰り広げられた。
「……チッ。おい、アスチルベ。」
「っ?!はい!!」
まさか名前を呼ばれるとは思っていなかったのでバカ正直に隠れていた生垣から飛び出してしまった。
「カウンターを見ろ。」
てっきり叱られると思っていたが、予想に反し冷静な一言。
言われた通り木目の綺麗な表面を見たがなんともない。
しかし、嫌な予感がして例の場所に手を伸ばした。
「……盗聴器。昨日の夜取り外して置いたのに……。」
「やっぱり、な。」
「その様子だと気づいていたんですね?デニスの共犯者が______『アイリス』さんだってことに。」
「…ああ。俺様自慢のアイテムが反応しねぇってことは俺が信頼してる奴しかいねぇ。
生憎疑い深い性格だからよ。序盤から疑ってた。
………糞が。」
家族だと思っていた人物からの裏切り行為。相当のショックだと思う。
思わず小さく見えたマスターの背中に抱きつき腰に手を回す。
身長差があるので下から見上げる形になってしまったが仕方がない。
かける言葉が見つからないので、只々マスターと声がけするだけだった。
「__っおい、もういい。離れろ。」
「離れません!マスターの心が泣き止むまで、離れません!」
「あ? なに寒いこと抜かしてんだ。…クソ餓鬼のくせに。」
マスターの代わりに涙が出てきた。返せこの野郎ー。乙女の涙は貴重なんだぞ。
「何でお前が泣いてんだよ。」
いつの間にか此方と向き合う形になり、見下される。自然と恋人の距離感となり、今更ながらやらかしたと反省。
「いいじゃないですか…。………あの、離してくれません?」
昔からのお決まり顎つかみ。お陰で首が痛い。
「…アスチルベ。」
近づいてくるマスターの瞳は真剣そのもので、体に甘い痺れるを促す。
「あ、えと、マスター?」
「アシュレイ。」
「アシュレイさん?」
もう目と鼻の先にいるマスターの顔。何かと葛藤しているのか迷うように目線が彷徨い始めた。
「……ありがとうな。」
「え?」
初めてかもしれない程久し振りに聞いたマスターからの感謝の言葉。
そして急に離れる熱。
「これで犯人は特定出来た。後は証拠を見つけねぇとな。」
また普段通りのマスターの声色と共に止まっていた時間が動き始めた。
何を思っていたのか聞きたかったが、入り込んではいけないような気がして無かったことにした。
to be continue ➡
『また目線を反らせた。
本当に、あなたは昔から私に嘘を付くのが苦手ね。』
『そうか?』
『会話をずらそうとしないで。』
『……俺様があいつに何を思おうとお前には関係ねぇ。』
『関係あるわよ!!』
緊迫した店内。
『貴方は、思ったことないわけ?昔からの幼馴染みで、いつも守ってくれて他のどんなことより優先してくれる人に対して、友人止まりの感情になるわけ??』
『…何か勘違いしてねぇか?』
『え?』
『俺様は一度も、お前のことを女として見たことはない。』
は?え?ちょっとまって、マスター!!
アイリスさんとラブラブだったじゃん!!どういうこと?!
『___っ嘘、じゃあ、貴方のその心を焦がすような目線はなんなのよ!』
『お前は昔変わらずの、大切な妹……だ。』
『_________嘘つき!!!!貴方がこの地獄から救ってくれると思っていたのに!!!!』
耳を劈くような甲高い声で叫んだかと思うと、勢い良く飛び出してきた。
「アイリス!」
「来ないで!!…もう、会えないわ。_____さようなら。」
やけに晴れた昼間。リアル昼ドラが目の前で繰り広げられた。
「……チッ。おい、アスチルベ。」
「っ?!はい!!」
まさか名前を呼ばれるとは思っていなかったのでバカ正直に隠れていた生垣から飛び出してしまった。
「カウンターを見ろ。」
てっきり叱られると思っていたが、予想に反し冷静な一言。
言われた通り木目の綺麗な表面を見たがなんともない。
しかし、嫌な予感がして例の場所に手を伸ばした。
「……盗聴器。昨日の夜取り外して置いたのに……。」
「やっぱり、な。」
「その様子だと気づいていたんですね?デニスの共犯者が______『アイリス』さんだってことに。」
「…ああ。俺様自慢のアイテムが反応しねぇってことは俺が信頼してる奴しかいねぇ。
生憎疑い深い性格だからよ。序盤から疑ってた。
………糞が。」
家族だと思っていた人物からの裏切り行為。相当のショックだと思う。
思わず小さく見えたマスターの背中に抱きつき腰に手を回す。
身長差があるので下から見上げる形になってしまったが仕方がない。
かける言葉が見つからないので、只々マスターと声がけするだけだった。
「__っおい、もういい。離れろ。」
「離れません!マスターの心が泣き止むまで、離れません!」
「あ? なに寒いこと抜かしてんだ。…クソ餓鬼のくせに。」
マスターの代わりに涙が出てきた。返せこの野郎ー。乙女の涙は貴重なんだぞ。
「何でお前が泣いてんだよ。」
いつの間にか此方と向き合う形になり、見下される。自然と恋人の距離感となり、今更ながらやらかしたと反省。
「いいじゃないですか…。………あの、離してくれません?」
昔からのお決まり顎つかみ。お陰で首が痛い。
「…アスチルベ。」
近づいてくるマスターの瞳は真剣そのもので、体に甘い痺れるを促す。
「あ、えと、マスター?」
「アシュレイ。」
「アシュレイさん?」
もう目と鼻の先にいるマスターの顔。何かと葛藤しているのか迷うように目線が彷徨い始めた。
「……ありがとうな。」
「え?」
初めてかもしれない程久し振りに聞いたマスターからの感謝の言葉。
そして急に離れる熱。
「これで犯人は特定出来た。後は証拠を見つけねぇとな。」
また普段通りのマスターの声色と共に止まっていた時間が動き始めた。
何を思っていたのか聞きたかったが、入り込んではいけないような気がして無かったことにした。
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