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第2章「慌ただしい日常」
第33話「犯人は??」
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アスチルベ目線
_________________
「正体は分からなかった。」
いや、分からなかったんかい!!っと思わず心でツッコんでしまった。
マスターのギルド店に一旦戻り、調査の結果を聴いている真っ最中。
結局犯人は明確には分からなかったらしい。
「でもこの装置はアシュレイの言っていた通り記憶を蓄積させる装置だ。そして仕掛けた人は多分相当のやり手かアシュレイが馬鹿なのかって事。」
後ろから凄いオーラが……。
「おっと怒らないでくれよ。俺だってこんな事は言いたくなかったさ。
でも、この装置はアシュレイがかき集めたSS級の防犯魔法具が反応しなかった。少なくともこの事実だけは揺るがない。」
確かに……国宝、いや世界の宝と言われるほど精度がいい魔法具がSS級でもない(らしい)謎の装置に反応しないはずがない。
魔法具は自身の主人の命令の通りに動くようになっているがSS級ともなると自我が生まれる(らしい)。
気まぐれ故の失態なのかもしれないという可能生は…。
「ないね。この防犯魔法具はよっぽど気に入った人間じゃないと機能してくれない。何故か知らないけどアシュレイに凄い懐いていてね。
ゾッコンさ。」
「おい、ふざけた事抜かすんじゃねぇ。頭蓋骨変形してやろうか?」
あの痛い拳骨を思い出して私が頭を手で覆ってしまう。
マスターの拳骨本当に痛いのだ。黒曜石で殴られた感じ。
「おーコワイコワイ。」
ほぼ感情が籠もっていない様子で私の後ろに隠れる。
いや、わざとらしい仕草ではマスターをさらに苛つかせるだけだって…。
「そんなことよりアスチルベちゃんはどうしたい?」
背後から長い腕が伸びて顎を上げられ、覗き込まれる。
いや、顔めっちゃ整ってるなこの人!!普段帽子を被ってたし細めだから気が付かなかった。
「黙ってても分からないよ?」
…悪寒が走る。このまま黙っていると何をされる気がする。
「チュー……するよ?」
「私は犯人を捕まえて政府に突き出すのがいいと思います!」
これ以上は言わせねぇ!まだ未成年だこっちは!!
「なるほどねー。アスチルベちゃんらしいね。僕だったら闇に葬るけどね!」
さらりと笑顔で言っていいセルフじゃないでしょ。
唐突に塩のお兄さんから開放された。代わりに逞しい腕が私のお腹辺りに回され、勢いよく彼から引き剥がされた。
「マスター!」
「アスチルベに気安く触るんじゃねぇ。俺の許可を取れ。」
本人の意志とは??
「……ふぅん?アシュレイってまさか……無自覚系??」
「あ’’??」
「この子を他の誰にも渡したくない。結婚もさせたくない。ずっとそばに置いておきたい。父でありたい。しかしその反面……」
「もうやめろ。これ以上…口に出したら本気で殺す。」
今まで一緒に仕事をしてきた中で経験した事のないほど彼は怒っていた。
首やこめかみに浮き出る青い血管がくっきりと陰影をつけ、お腹に回された腕にも段々と力が加わっていく。
「……気づいているクセに気づかないふりをして何が幸福?今のアシュレイはアシュレイじゃない。大体君は_________。」
へ?何を言ってるのか何も聞こえない……。まるで消音にした映像を見ているみたい。
マスターの顔を見ようとすると視界も手で塞がれてしまう。
その手は少し震えていて何かに怯えている様子だった。
「_____。」
「____!!」
「__________。」
「___……。_____。」
暫く口論があった後、いきなり周りの騒がしさが戻ってきた。
「アシュレイ。この子の聴覚を奪ったでしょ。」
「聞かせるまでもねぇ会話だからな。」
「……まあ君がそういうことなら、僕はもう何も言わない。ただ、もう後悔はするなよ。」
塩のお兄さんはうんざりした様子で帰っていった。
「おいガキ。今日はもういいから帰れ。」
「え、あ、はい!帰らせていただきます!!」
珍しいなこんなに早く返してくれるなんて……怖っ。
お祭り騒ぎな人々の合間を縫うように避け、家路につく。
「アスチルベ。」
「あ、グラデウス!今日はもう帰ろう。明日も早いしね!」
「了解した。」
私の日常。私の生活。これはずっと変わらないでほしい。毎日が楽しいこの暮らしは誰も壊さないでください。
また明日……ね。
To be continue ➡
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「正体は分からなかった。」
いや、分からなかったんかい!!っと思わず心でツッコんでしまった。
マスターのギルド店に一旦戻り、調査の結果を聴いている真っ最中。
結局犯人は明確には分からなかったらしい。
「でもこの装置はアシュレイの言っていた通り記憶を蓄積させる装置だ。そして仕掛けた人は多分相当のやり手かアシュレイが馬鹿なのかって事。」
後ろから凄いオーラが……。
「おっと怒らないでくれよ。俺だってこんな事は言いたくなかったさ。
でも、この装置はアシュレイがかき集めたSS級の防犯魔法具が反応しなかった。少なくともこの事実だけは揺るがない。」
確かに……国宝、いや世界の宝と言われるほど精度がいい魔法具がSS級でもない(らしい)謎の装置に反応しないはずがない。
魔法具は自身の主人の命令の通りに動くようになっているがSS級ともなると自我が生まれる(らしい)。
気まぐれ故の失態なのかもしれないという可能生は…。
「ないね。この防犯魔法具はよっぽど気に入った人間じゃないと機能してくれない。何故か知らないけどアシュレイに凄い懐いていてね。
ゾッコンさ。」
「おい、ふざけた事抜かすんじゃねぇ。頭蓋骨変形してやろうか?」
あの痛い拳骨を思い出して私が頭を手で覆ってしまう。
マスターの拳骨本当に痛いのだ。黒曜石で殴られた感じ。
「おーコワイコワイ。」
ほぼ感情が籠もっていない様子で私の後ろに隠れる。
いや、わざとらしい仕草ではマスターをさらに苛つかせるだけだって…。
「そんなことよりアスチルベちゃんはどうしたい?」
背後から長い腕が伸びて顎を上げられ、覗き込まれる。
いや、顔めっちゃ整ってるなこの人!!普段帽子を被ってたし細めだから気が付かなかった。
「黙ってても分からないよ?」
…悪寒が走る。このまま黙っていると何をされる気がする。
「チュー……するよ?」
「私は犯人を捕まえて政府に突き出すのがいいと思います!」
これ以上は言わせねぇ!まだ未成年だこっちは!!
「なるほどねー。アスチルベちゃんらしいね。僕だったら闇に葬るけどね!」
さらりと笑顔で言っていいセルフじゃないでしょ。
唐突に塩のお兄さんから開放された。代わりに逞しい腕が私のお腹辺りに回され、勢いよく彼から引き剥がされた。
「マスター!」
「アスチルベに気安く触るんじゃねぇ。俺の許可を取れ。」
本人の意志とは??
「……ふぅん?アシュレイってまさか……無自覚系??」
「あ’’??」
「この子を他の誰にも渡したくない。結婚もさせたくない。ずっとそばに置いておきたい。父でありたい。しかしその反面……」
「もうやめろ。これ以上…口に出したら本気で殺す。」
今まで一緒に仕事をしてきた中で経験した事のないほど彼は怒っていた。
首やこめかみに浮き出る青い血管がくっきりと陰影をつけ、お腹に回された腕にも段々と力が加わっていく。
「……気づいているクセに気づかないふりをして何が幸福?今のアシュレイはアシュレイじゃない。大体君は_________。」
へ?何を言ってるのか何も聞こえない……。まるで消音にした映像を見ているみたい。
マスターの顔を見ようとすると視界も手で塞がれてしまう。
その手は少し震えていて何かに怯えている様子だった。
「_____。」
「____!!」
「__________。」
「___……。_____。」
暫く口論があった後、いきなり周りの騒がしさが戻ってきた。
「アシュレイ。この子の聴覚を奪ったでしょ。」
「聞かせるまでもねぇ会話だからな。」
「……まあ君がそういうことなら、僕はもう何も言わない。ただ、もう後悔はするなよ。」
塩のお兄さんはうんざりした様子で帰っていった。
「おいガキ。今日はもういいから帰れ。」
「え、あ、はい!帰らせていただきます!!」
珍しいなこんなに早く返してくれるなんて……怖っ。
お祭り騒ぎな人々の合間を縫うように避け、家路につく。
「アスチルベ。」
「あ、グラデウス!今日はもう帰ろう。明日も早いしね!」
「了解した。」
私の日常。私の生活。これはずっと変わらないでほしい。毎日が楽しいこの暮らしは誰も壊さないでください。
また明日……ね。
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