異世界転生少女奮闘記

第2章「慌ただしい日常」

第31話「……。※」

グラデウス目線

　疲れ果てたのか意識が飛んでしまった主を見つめる。
　確かにこの方法は最も早くて効率が良いがモラル的に問題がある。
　アスチルベにとってはきっと我は異性としてではなく、兄や奴隷であっただろう。
　今日の事を覚えていたならその考え方を根本的に覆すことになる。

「っ……は。」
「落ち着いたか若造。」
「……ッス。」
「なんだその落ち込みようは。」

　アスチルベに背を向け、自分のモノを慰めた・・・若造は、一切彼女を見ようとしない。

「俺は、、こんな形で彼女に愛を伝えたくはなかったッスね。」
「ハン。もう過去の事をいくら後悔したってどうにもならん。
　戻るぞ。街へ。」

　アスチルベの衣服を着せ、そっと包み込むように抱き上げる。
　
「……グラデウスさんは、アスチルベの事をどう思っているッスか?」
「…………さぁ、な。」

　我にもわからぬと言いたいが、いい歳をした男の姿として格好がつかないゆえ、言葉を濁した。



　不純物がない水槽で育った綺麗な人魚のように眠る我が主。
　薄々と気づいている自身の想いは深く心の奥底に眠らせる。









「……帰ろう。」