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第1章「今の故郷」
第21話「終止符」
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アスチルベ目線
____________________________________________________
非常に憂鬱な気分。なんで自分でフッたのに落ち込んでいるんだろう?
情緒不安定かよ。
「おい、着いたぞ。」
何でこんな気分で働かないならんのだ!普通に一週間くらい休みたい。
「ありがとう…。」
((そんなに好いていたのか?))
黒いひよこがつんつんと頬を突く。
「…らしいね。私もこんな落ち込むとは思ってなかった。」
((お主らしくない。もっと馬鹿騒ぎするのかと思っていたが…。))
「ええい煩い!いいもん直ぐに立ち直ってやる!!」
半ばやけくそになって、店の扉を勢いよく開く。
「おはようございます!!」
ガンッと顔の横の壁何かが刺さる。よく見てみると、、鉛筆であった。
え、あれって石に刺さるっけ??
「よぉ……昨日はお疲れのようだったじゃねぇか。こんなクソ忙しい時期に休みやがって……」
このブラック企業め。一日休んだだけでこんな怒ります?
もう早く辞めたい~
「あの、えと、寝てましたよ?ちゃんと。」
「寝てなかったら俺はお前を殺してんぞ?」
「ヒャイ……ツギハキヲツケマス。」
しょぼしょぼと店の手伝いを始めようと、掃除道具入れに向かった。
「……おい。これはなんだ?」
先程とは違う腹の底から出てくる唸り声。いきなり服の後ろ襟を摘まれると持ち上げられた。
「うわわ!え、何ですか?!」
「これは何だと聞いている。」
トントンと首筋の後ろを突かれた。
「……あ、それはその、何でもないです!マスターには関係ないというかなんというか、」
ジャックによって付けられた跡だ。よっぽど強くつけたかったのか、まだまだ残っている。
恐らくそれの事だろう。
「関係ねぇ……だぁ?」
顎を掴み取ると、無理矢理マスターの方向へと向かされた。
「誰にされた。俺の知っている奴か?」
何故か異常に引っ掛かるマスター。なんかこの眼差し知ってる……。
あ、お父さんの目だ。異様に私の事を心配してくれる保護者の目。
まぁ、確かにまだ11の子供が性行為の跡がある事がそもそも異常だ。
誰でも気になる。
「関係ないっ!」
それでも言いたくなくてマスターを拒絶しようとしたら、顎を掴む手からの圧力が強くなった。
「少なくとも、俺様は、今、てめぇを、雇っている、側なんだよ。事件に巻き込まれたら面倒くせぇ。いいから、話せ。」
圧力が凄く、呼吸もしにくい。
「……。」
「おし、てめぇの両親のとこ行くぞ。」
「ぇえ?!やだやだ!お願い何も言わないで!同意なの!私とジャックが同意してやったこtっ!」
やっちゃったー、はい言っちゃったー。馬鹿ですか私。慌てて口を抑えたげど意味ないですね。
「ジャック?毎日一緒に来てたあの男か?」
更に機嫌悪くなる。眉頭に皺が集まる。
「同意……ねぇ……。」
嘘は言ってない。いざとなればグラデウスに頼ることだって出来た。
でも、やらなかった…。
「…チッ。」
首後ろを掴んでいた腕の力が急に抜け、強制的に床に降ろされる。
「まだ幼さが残るうちに、大人になろうとすんじゃねぇ。」
「……ごめんなさい。」
マスターの大きな手ががさつに頭を撫でた。
乱暴過ぎて、髪の毛がグシャグシャになったけど、彼のできる精一杯の優しさなのだろう。
「…昔、お前みてぇな年齢の子供が無理矢理働かせられていた。毎日痣作って、糞親父の酒代を稼いでた。」
ボソリと呟く。
「…アイリスさんですか?」
「……ああそうだ。あいつに会ったのは俺様も同じ位の年齢だった。お互い汚ねぇ格好しててよぉ……俺様は裏の子供だったからな。」
裏の子供とは、住む場所もない子供達の事で、発展している町の路地裏に住んでいる。
「知らなかった……」
「言ったこともねぇからな。俺様は運良く商人のじじいに拾われて店を継げた。」
成程。壮絶な人生を歩んだのに、こんな自信満々の俺様系になったんだ……まぁその方がいいのかも?
「アイリスはあの見た目だからな。金持ちの両親に拾われて、見事お嬢様生活を手に入れたってわけだ。」
「…でも全く嬉しそうじゃなかったです…」
「元々礼儀もお上品さも縁がない生活から一変して、いいとこのお嬢様。そりゃ誰でも嫌になる。しかも最近婚約者が決まった。」
「マスターはいいんですか?」
「あ"?なにが?」
「アイリスさんの事。諦めるんですか?」
「……自分の事は鈍感なくせに、人のことに関しては敏感だな。」
「えへへ…」
「褒めてねぇ。」
拳骨が降る。でもいつもよりかは覇気が足りない気がする。
「大人には複雑な事情があんだよ。糞ガキは首を突っ込むな。」
「えぇ……つまんないぃー…いでっ!」
これ以上叩かれたら馬鹿になっちゃうんですけどぉ?!
「本当に両親には言わねぇつもりか?」
「……うん。余計な心配は掛けたくないし、同意だったから。」
「じゃあせめて俺様に話せ。一応ここでは俺様が糞ガキの保護者だからな。」
うわ保護者とか似合わな。
「おい、考えが丸見えだ。もう一回殴られてぇのか?」
「遠慮しときまーす。」
言われるがままマスターにジャックとの間に何が起こったのか洗いざらい話し、結局拳骨を食らった。
どうして食らわしたのかは言わなかったが、何となく分かった気がする。
周りを頼れと言いたいのかもしれない。
こうしてジャック事件は幕を閉じた。
To be continue⇨
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非常に憂鬱な気分。なんで自分でフッたのに落ち込んでいるんだろう?
情緒不安定かよ。
「おい、着いたぞ。」
何でこんな気分で働かないならんのだ!普通に一週間くらい休みたい。
「ありがとう…。」
((そんなに好いていたのか?))
黒いひよこがつんつんと頬を突く。
「…らしいね。私もこんな落ち込むとは思ってなかった。」
((お主らしくない。もっと馬鹿騒ぎするのかと思っていたが…。))
「ええい煩い!いいもん直ぐに立ち直ってやる!!」
半ばやけくそになって、店の扉を勢いよく開く。
「おはようございます!!」
ガンッと顔の横の壁何かが刺さる。よく見てみると、、鉛筆であった。
え、あれって石に刺さるっけ??
「よぉ……昨日はお疲れのようだったじゃねぇか。こんなクソ忙しい時期に休みやがって……」
このブラック企業め。一日休んだだけでこんな怒ります?
もう早く辞めたい~
「あの、えと、寝てましたよ?ちゃんと。」
「寝てなかったら俺はお前を殺してんぞ?」
「ヒャイ……ツギハキヲツケマス。」
しょぼしょぼと店の手伝いを始めようと、掃除道具入れに向かった。
「……おい。これはなんだ?」
先程とは違う腹の底から出てくる唸り声。いきなり服の後ろ襟を摘まれると持ち上げられた。
「うわわ!え、何ですか?!」
「これは何だと聞いている。」
トントンと首筋の後ろを突かれた。
「……あ、それはその、何でもないです!マスターには関係ないというかなんというか、」
ジャックによって付けられた跡だ。よっぽど強くつけたかったのか、まだまだ残っている。
恐らくそれの事だろう。
「関係ねぇ……だぁ?」
顎を掴み取ると、無理矢理マスターの方向へと向かされた。
「誰にされた。俺の知っている奴か?」
何故か異常に引っ掛かるマスター。なんかこの眼差し知ってる……。
あ、お父さんの目だ。異様に私の事を心配してくれる保護者の目。
まぁ、確かにまだ11の子供が性行為の跡がある事がそもそも異常だ。
誰でも気になる。
「関係ないっ!」
それでも言いたくなくてマスターを拒絶しようとしたら、顎を掴む手からの圧力が強くなった。
「少なくとも、俺様は、今、てめぇを、雇っている、側なんだよ。事件に巻き込まれたら面倒くせぇ。いいから、話せ。」
圧力が凄く、呼吸もしにくい。
「……。」
「おし、てめぇの両親のとこ行くぞ。」
「ぇえ?!やだやだ!お願い何も言わないで!同意なの!私とジャックが同意してやったこtっ!」
やっちゃったー、はい言っちゃったー。馬鹿ですか私。慌てて口を抑えたげど意味ないですね。
「ジャック?毎日一緒に来てたあの男か?」
更に機嫌悪くなる。眉頭に皺が集まる。
「同意……ねぇ……。」
嘘は言ってない。いざとなればグラデウスに頼ることだって出来た。
でも、やらなかった…。
「…チッ。」
首後ろを掴んでいた腕の力が急に抜け、強制的に床に降ろされる。
「まだ幼さが残るうちに、大人になろうとすんじゃねぇ。」
「……ごめんなさい。」
マスターの大きな手ががさつに頭を撫でた。
乱暴過ぎて、髪の毛がグシャグシャになったけど、彼のできる精一杯の優しさなのだろう。
「…昔、お前みてぇな年齢の子供が無理矢理働かせられていた。毎日痣作って、糞親父の酒代を稼いでた。」
ボソリと呟く。
「…アイリスさんですか?」
「……ああそうだ。あいつに会ったのは俺様も同じ位の年齢だった。お互い汚ねぇ格好しててよぉ……俺様は裏の子供だったからな。」
裏の子供とは、住む場所もない子供達の事で、発展している町の路地裏に住んでいる。
「知らなかった……」
「言ったこともねぇからな。俺様は運良く商人のじじいに拾われて店を継げた。」
成程。壮絶な人生を歩んだのに、こんな自信満々の俺様系になったんだ……まぁその方がいいのかも?
「アイリスはあの見た目だからな。金持ちの両親に拾われて、見事お嬢様生活を手に入れたってわけだ。」
「…でも全く嬉しそうじゃなかったです…」
「元々礼儀もお上品さも縁がない生活から一変して、いいとこのお嬢様。そりゃ誰でも嫌になる。しかも最近婚約者が決まった。」
「マスターはいいんですか?」
「あ"?なにが?」
「アイリスさんの事。諦めるんですか?」
「……自分の事は鈍感なくせに、人のことに関しては敏感だな。」
「えへへ…」
「褒めてねぇ。」
拳骨が降る。でもいつもよりかは覇気が足りない気がする。
「大人には複雑な事情があんだよ。糞ガキは首を突っ込むな。」
「えぇ……つまんないぃー…いでっ!」
これ以上叩かれたら馬鹿になっちゃうんですけどぉ?!
「本当に両親には言わねぇつもりか?」
「……うん。余計な心配は掛けたくないし、同意だったから。」
「じゃあせめて俺様に話せ。一応ここでは俺様が糞ガキの保護者だからな。」
うわ保護者とか似合わな。
「おい、考えが丸見えだ。もう一回殴られてぇのか?」
「遠慮しときまーす。」
言われるがままマスターにジャックとの間に何が起こったのか洗いざらい話し、結局拳骨を食らった。
どうして食らわしたのかは言わなかったが、何となく分かった気がする。
周りを頼れと言いたいのかもしれない。
こうしてジャック事件は幕を閉じた。
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