異世界転生少女奮闘記

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第1章「今の故郷」

第16話「おっとー?※」

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ジャック目線
_________________________________________________


 疲れた。何もかもが疲れた。
疲労が溜まると考えがまとまらない。

 なにも考えたくない。







「……ジャック、ジャック?」

 
 好奇心旺盛な仔猫のようにくりくりとした瞳が俺を心配そうに覗き込む。
 

「ねぇ、聞いてた?だからマスターがねグチグチ……」


 またこの子にまとわりつく男がいるらしい。さっきからずっと愚痴を聞かされている。

 今日は久しぶりの休みで、ゆったりと鈴のような聴き心地の良いアスチルベの声を聞き流しながら本を読む。
 木陰から差し込む斑模様の日の光。

 身体のどす黒い何かが溶けていく感覚。


「ジャックは?傭兵ギルドの仕事どんな感じ?」

「ん?ああ、結構忙しい。18はまだ若者扱いで雑用押し付けられてる。」

「へぇー!私も同じ!あんのクソマスターのせいで、身体のあちこちが痛いよ……」


 そう言って首を痛そうに回す少女。
いや、もう女性として発育し始めたのか胸の膨らみや骨格が目立ってくる。
 きっとこの子は将来絶世の美女になるのだろう。

 
 まだ稚さを醸し出す艷やかな頬。
産毛が太陽に照らされ、煌めく霧のようだ。


「アスチルベ。」

「なに?」


 温かみを帯びる柔い唇に吸い寄せられるように、顔を近づける。








アスチルベ目線
____________________________________________________


 唇にカサついた感覚がつく。
疲労しきったジャックの唇だ。

 木の幹に体重をかけ倒れ込むように私を覆いかぶさる彼。
 目には意識があるのか分からない。怪しく揺らいでいて、不安定。

 
 い、いやいやいや?!どうしたジャック!!

 一度ジャックの顔が離れたので口を開き、何があったのか聞こうとした…。

 すぐ後悔した。


 ヌルリと湿った物が唇を舐めるないなや、口内に侵入してきたのだ。
 歯茎・歯並びをなぞるように舌を這よわせ、味を確かめるかのように何度も往復を繰り返す。

 うまく息ができない。

 
 吐息や唾液が絡まり合い、頬に自然と熱が集まる。身体が火照りだし意識がほんやりとしてきた。


「ジャっ……っク?」

「……っん、アス、チルベ。
ごめん。止まんないわこれ。」


 申し訳なさそうに眉を下げ、苦笑い。
額には彼も暑いのか前髪が張り付くほど汗が滲み出ている。

 乾いていたはずの彼の唇が湿りを帯び、艷やかな笑みを浮かべる。
 張り付いてしまった前髪を掻き揚げると同時に私の見える景色は反転した。
 押し倒されたのだと気づくには太ももを持ち上げられた後だった。

「ちょ、ジャック!待って!!外はいや!!」

 ピクッと動きが止まった。


「中ならいいのか?」

「いや、それも駄目。」

「じゃあいいじゃん何処でも。」


 そしてまた動きが再開される。
どうしたのジャックさんは!?

 彼の瞳は不安定で、何かから逃げ出したいと訴えかけている。
 そうだとしても逃げ出す方向が可笑しくないですか?!
 女性に走るのはいいけど、幼女は駄目でしょ……色んな意味で。
 
 どうしよう……グラデウスを呼び出したい。でもジャック何故こんなにも追い詰められているのかを知りたい。
 
 ………ええい、細かいことは考えたくない主義じゃい!ほ、本番までに聞き出せたら呼ぼう。意識飛んだら……やばいけど。
 まぁ、大丈夫でしょ。

「なに、考えてるの?」

 ゴリッと何か硬いものを太ももの付け根あたりに押し付けられる。

「っん!」


 わ、恥ずかし!変な声出た!


「 ……そうか、君はもう立派な女のコなんだね。そっか……」


 段々と怪しくなってきた彼の腰の動作。
スリスリと擦りつけられ、舌は私の足先を刺激する。
 
「なんで、こんなこと、するの?」

「……なんで?……分からない。
けど、したかった。君に触れたかった。」

 足をゆっくりと広げられ、身体を器用に滑り込ます彼は、私を見る。
 自分のものより数倍の大きさで角ばった長い指が、唇に触れる。

「アスチルベは、好きな人はいるのか?」

 そう問いかける震えそうな声。
今まで聞いたことのない程、か細い。

「い、ない。」


 スススと指が鎖骨へめがけて傳っていく。
くすぐったさと恥ずかしさ、でムズムズする感覚が肌から脳へと伝わる。

 これが、快楽なのだろうか。脳が、理性が少しずつ解けていく。

 ゆっくり、ゆっくりと確実に私の何かを刺激するように唇が顎から下に降りていく。
 口、首筋、手首、足首。

 スルスルと手が私の衣服を見出していく。軽い触りから、深い愛撫へと変化していく。







 ちょ、やばい……グラデウス!!


((あい、分かった。))

 黒いひよこちゃんがいきなりジャックの頭上に現れたかと思うと、人間の姿に変わった。


「おい、若造。我の物に盛るな。」

 ガッ!とジャックを思い切り蹴り上げたグラデウス。


「グッ……てめぇ、何をしに来たんですか?」


「若像が手を出していい程アスチルベは落ちぶれていないぞ。中途半端な気持ちで汚すな。」


 冷たく突き放すような言い方。
ジャックは初めこそグラデウスを睨んでいたが、直に何を自分はしたのかを理解し始めたのか顔色が悪くなっていく。


「ごめんオチビちゃん。俺……暫く会えないわ。本当にごめんね………。」


 目線が合わないまま、フラフラと去っていく姿が見ていて辛い。


「おい、もっと早く呼べ。」

「ご、ごめんて!でも何があったのか原因が知りたくって………」

「最後まで行っていたらどうするつもりだったのだ?」

「え、と。何も考えて無かったデス…。」


 ゴスっとグラデウスから拳骨頂きました。ついでにもうしないという契約までさせられた。








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