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第1章「今の故郷」
第13話「はい。ブラック企業決定!」
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アスチルベ目線
________________________________________________
……あれ、何これ?
身体がない。目だけが暗闇を彷徨い、その他の感覚は存在すら感じ取れない。
手が、足が、耳が、全てない。
誰か!助けて……私、私は……ワタシ?
「----で、---ですので早めに処置を!」
「諦めてください!もう、-----さんは!」
「ああ……----さん。」
ああ、良かった。私、耳はあったみたい。
二人の影が何者かが横になっているベットを囲って話し込んでいる。
壁を隔てて声が聞こえているのでくぐもっており、聞き取りづらい。
ねぇ、私を助けてくれない?ちょっと一人じゃあ起き上がれないの。
「「君は邪魔だ。去れ!」」
急に耳元で叫ばれた、声なのに声ではない音声。
景色が変わる。
「ねぇ、どうして僕から離れてくの?
ねぇ……ねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇ?!」
一人の女性が鎖に繋がれ、一人の男性に覆い被されている。必死に抵抗する女性を殴り、恐らく無理矢理あの『行為』を続けている男性。
彼は何度も何度も……女性に何故愛さないかと語りかけ、狂気じみた笑い声を上げている。
空に浮いている窓には豪雨なのか、雨が打ち付けるように降っている。
でも音はない。
ひたすらに男性の声の行為の音が響き渡る……4畳半の部屋。
「「-----。愛しているよ?」」
また耳元で再生される音声。
脳内に砂嵐のような雑音が流れ、頭が痛い。痛い?痛い。痛い?
痛い痛い痛い痛い痛い!!!!!!!
止めて止めて!!こんなの、、、、知らない。
フワリと、頭に温かい物が触れる。
優しく包むような、大きな手?
撫でてくれる。
感触が戻ってくる。
音が聞こえる。
耳が風の音を拾い上げていく。
「……温かい。」
「オチビちゃん?大丈夫?凄いうなされていたけど。」
「……ジャック?……おはよう。」
「おはよう。約束の時間に間に合うにはもう今出ないと。」
「え?!」
慌てて窓を見ると、眩しいほどの太陽が顔をだし、9時位だろうか。
約束は10時からで、村から街までおよそ1時間。
あ、やばいですね。
「ぬおおおおぉぉおぉ!!!!!!!」
混乱しているなか、あの夢は何だったのだろうと考えたが、忙しすぎて諦めた。
帰ってきたら考えよう。
「おせぇよ。あと一分だったぞ?」
「ご、ごめん……。」
「ごめん『なさい』だろうが!!」
「ヒエ!ごめんなさい!」
仕事の始めは挨拶指導からやりまーす。
「あれとそこと、ここを磨いておけ。
掃除道具はあそこにある。」
こそあど言葉使用しすぎ!次の仕事は雑用でーす。
「客が来た。出てけ。」
きゃー!乱暴な貴方もカッコイイ(ハート)
って、なる訳ねぇだろおおおぉぉ!!!!
およそ3時間こき使われた挙げ句、用済みなのかお店からお小遣いを握らされ追い出された。
「意味分かんない!!あの商売人最低!
人類の底辺だ底辺!!」
((落ち着け。今に始まった事ではなかろう。))
「そうなんだけど!! でもやっぱり納得がいかない! 確かに3ヶ月働くけど、こんなブラックとは思わないじゃない!」
((ファ~ア……それよりも早く何かを腹に詰め込んだ方が良さそうだぞ?))
グウ~~~っとタイミングよくお腹が鳴る。
「そうだね! 街のご飯を漁ろう!」
街は村では見たことがない果物、装飾品が並んでいた。
様々なお店が立ち並び、マーテェとは違う普段の日常的な賑わいを見せている。
「安いよ安いよ~!」
「そこのお兄さんこれなんかどうだ?!」
「いらっしゃいませ~ごゆっくり~」
色々な会話が繰り広げられ、昨日は暑かった話や、魔物の肉の話など。
美味しそうな匂いも立ち込めてくる。
「よ~し!漁るぞー!!」
((腹をくれぐれも下すなよ。))
「おじさん!その果物2つ下さいな!」
「お!初めて見る顔だねぇ!おまけに可愛いいひよこも肩に乗っけてるじゃねぇか!
面白い!おまけにもう一個あげる!」
「ありがと!!」
「はいよー!また来いよ!」
オレンジのような果物は、予想よりとろみのある甘酸っぱさで、頬が溶けそうだった。
その他に様々な果物、料理を食べ、一つ学んだ。
「原材料は凄く美味しいのに、料理にすると全部微妙!
つまり……原材料を美味しく料理する方法を知らないのか……。
多分こういう自然から取れた物が美味しくて、栄養が豊富だから料理する必要が無かったんだ!」
((そうなると、肉を加工するのはつい最近の事ということか?))
「おそらくね。魔法で殺菌をしても余り美味しくなかったんだと思う。
だから偶然火の魔法で焼いてみたら案外いけたから、こうして焼くだけ料理になったんだ。」
((ふむ。他の料理も同じように偶然に出来上がった産物…。))
「うーん、勿体ない!!絶対最も美味しく出来るはず!私が証明してやろう!!」
そう決心しながら、買い漁るのであった。
To be continue⇨
皆様お気づきでしょうか?
実はアスチルベちゃんの年齢を操作しました。
流石に当初の設定にしていた8歳はヤバいのと、色々やりにくいので成長させました……。
こういった細々とした設定変更は少しずつやっていくので、宜しくお願いします。
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……あれ、何これ?
身体がない。目だけが暗闇を彷徨い、その他の感覚は存在すら感じ取れない。
手が、足が、耳が、全てない。
誰か!助けて……私、私は……ワタシ?
「----で、---ですので早めに処置を!」
「諦めてください!もう、-----さんは!」
「ああ……----さん。」
ああ、良かった。私、耳はあったみたい。
二人の影が何者かが横になっているベットを囲って話し込んでいる。
壁を隔てて声が聞こえているのでくぐもっており、聞き取りづらい。
ねぇ、私を助けてくれない?ちょっと一人じゃあ起き上がれないの。
「「君は邪魔だ。去れ!」」
急に耳元で叫ばれた、声なのに声ではない音声。
景色が変わる。
「ねぇ、どうして僕から離れてくの?
ねぇ……ねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇ?!」
一人の女性が鎖に繋がれ、一人の男性に覆い被されている。必死に抵抗する女性を殴り、恐らく無理矢理あの『行為』を続けている男性。
彼は何度も何度も……女性に何故愛さないかと語りかけ、狂気じみた笑い声を上げている。
空に浮いている窓には豪雨なのか、雨が打ち付けるように降っている。
でも音はない。
ひたすらに男性の声の行為の音が響き渡る……4畳半の部屋。
「「-----。愛しているよ?」」
また耳元で再生される音声。
脳内に砂嵐のような雑音が流れ、頭が痛い。痛い?痛い。痛い?
痛い痛い痛い痛い痛い!!!!!!!
止めて止めて!!こんなの、、、、知らない。
フワリと、頭に温かい物が触れる。
優しく包むような、大きな手?
撫でてくれる。
感触が戻ってくる。
音が聞こえる。
耳が風の音を拾い上げていく。
「……温かい。」
「オチビちゃん?大丈夫?凄いうなされていたけど。」
「……ジャック?……おはよう。」
「おはよう。約束の時間に間に合うにはもう今出ないと。」
「え?!」
慌てて窓を見ると、眩しいほどの太陽が顔をだし、9時位だろうか。
約束は10時からで、村から街までおよそ1時間。
あ、やばいですね。
「ぬおおおおぉぉおぉ!!!!!!!」
混乱しているなか、あの夢は何だったのだろうと考えたが、忙しすぎて諦めた。
帰ってきたら考えよう。
「おせぇよ。あと一分だったぞ?」
「ご、ごめん……。」
「ごめん『なさい』だろうが!!」
「ヒエ!ごめんなさい!」
仕事の始めは挨拶指導からやりまーす。
「あれとそこと、ここを磨いておけ。
掃除道具はあそこにある。」
こそあど言葉使用しすぎ!次の仕事は雑用でーす。
「客が来た。出てけ。」
きゃー!乱暴な貴方もカッコイイ(ハート)
って、なる訳ねぇだろおおおぉぉ!!!!
およそ3時間こき使われた挙げ句、用済みなのかお店からお小遣いを握らされ追い出された。
「意味分かんない!!あの商売人最低!
人類の底辺だ底辺!!」
((落ち着け。今に始まった事ではなかろう。))
「そうなんだけど!! でもやっぱり納得がいかない! 確かに3ヶ月働くけど、こんなブラックとは思わないじゃない!」
((ファ~ア……それよりも早く何かを腹に詰め込んだ方が良さそうだぞ?))
グウ~~~っとタイミングよくお腹が鳴る。
「そうだね! 街のご飯を漁ろう!」
街は村では見たことがない果物、装飾品が並んでいた。
様々なお店が立ち並び、マーテェとは違う普段の日常的な賑わいを見せている。
「安いよ安いよ~!」
「そこのお兄さんこれなんかどうだ?!」
「いらっしゃいませ~ごゆっくり~」
色々な会話が繰り広げられ、昨日は暑かった話や、魔物の肉の話など。
美味しそうな匂いも立ち込めてくる。
「よ~し!漁るぞー!!」
((腹をくれぐれも下すなよ。))
「おじさん!その果物2つ下さいな!」
「お!初めて見る顔だねぇ!おまけに可愛いいひよこも肩に乗っけてるじゃねぇか!
面白い!おまけにもう一個あげる!」
「ありがと!!」
「はいよー!また来いよ!」
オレンジのような果物は、予想よりとろみのある甘酸っぱさで、頬が溶けそうだった。
その他に様々な果物、料理を食べ、一つ学んだ。
「原材料は凄く美味しいのに、料理にすると全部微妙!
つまり……原材料を美味しく料理する方法を知らないのか……。
多分こういう自然から取れた物が美味しくて、栄養が豊富だから料理する必要が無かったんだ!」
((そうなると、肉を加工するのはつい最近の事ということか?))
「おそらくね。魔法で殺菌をしても余り美味しくなかったんだと思う。
だから偶然火の魔法で焼いてみたら案外いけたから、こうして焼くだけ料理になったんだ。」
((ふむ。他の料理も同じように偶然に出来上がった産物…。))
「うーん、勿体ない!!絶対最も美味しく出来るはず!私が証明してやろう!!」
そう決心しながら、買い漁るのであった。
To be continue⇨
皆様お気づきでしょうか?
実はアスチルベちゃんの年齢を操作しました。
流石に当初の設定にしていた8歳はヤバいのと、色々やりにくいので成長させました……。
こういった細々とした設定変更は少しずつやっていくので、宜しくお願いします。
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