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第1章「今の故郷」
第11話「やっぱ肉ですな」
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アスチルベ目線
__________________________________________________
うーん、何作ろっかなー。
((ヤギ畜生が舐める岩塩で何を作るというのだ?))
只今、キッチンにて頭を抱えております。えー、いきなり何を作れと言われましても……料理人じゃないよ私は。
お腹減ったな……肉、肉……
「ステーキ食べたい!!今の私のお腹はステーキを欲している!!」
((すてーき?))
「ふっふっふ。よく見てなさい!」
急いでステーキの作り方を思い出そうとした。……分からん。
えー、どうしよう。確か……
……………………………
……………
……
「き、奇跡だ!私天才!?」
((驚いた…。いきなり魔物討伐用の刃物を取り出し始めたから失敗すると思っていたんだが……))
「なんか、できた。」
奇跡的なステーキは、焼き色がしっかりと付いていて食欲を唆る香しい香り。
竹串のような細い調理器具で刺してみるとジュワリと肉汁が吹き出てくる。
「あ、レシピ!!」
((手順は我が覚えた。安心するといい))
「ナイス!大好きグラデウス!」
ドヤ顔をするひよこちゃんを撫でながらステーキを味見。
皆が日常で食べている兎と鼠をかけ合わせたような『ラビッス』は、猪程の大きさで油が十分に乗っている。
そこに塩や香辛料をかけることで更に美味しくなった。(少なくともこの世界では)
あ、料理人の神様ここに見参って感じ。
「どれ。我が味見してやろう。」
勝手に肉の端切れを口に放り込む人間姿のグラデウス。
ピタッと動きが止まった。
「……美味い。」
「よし。早速この目で項垂れるアシュレイを見に行こう!!」
あのグラデウスが褒めたんだ!絶対この勝負勝つに決まってる!!
___翌日____
二度目の定期市場にて、今回はグラデウスと私の二人できた。
ジャック達は2日連続で貴重な労働力が買い出しに行くのは勿体ないという話になり、お留守番。
悔しがる三人をおいて、全く労働力にならない私と近所のお兄さんという立ち位置でいるグラデウスで来たのだった。
「よ。待ってたぜ狂れた親子。まさか本当に一日で作り上げてくるとは……。
よっぽど自信がおありだなぁ?」
皮肉げに私達を睨みつけ、料理を出せと催促させる。
ドンッ!っと例のステーキをアシュレイの前に置くと、片眉を潜め訝しげに此方を見つめた。
そして肉の香り、肉汁、恐らく彼の頭にある合格項目をチェックしているにだろうか。
「……。」
やっと口に欠片を運び、数口噛むと、動きを止めチラリと此方を見る。
「……不味いな。」
「え?」
冷徹に言い放たれた言葉が私の心を突き刺した。時間はそんなに掛かってはいないが、自分の作ったものを他人に汚されるのは、やはりいいものとは言えない。
「…….そ、んな……。」
でも、確かに前世の職人が精一杯料理を勉強した物をそっくりそのまま表現するのは不可能だ。
「俺の勝ちだな。」
アシュレイの手元には契約書があり、灰のように崩れ消えていった。
「……っ!なにこの文様?!」
崩れたと同時に首に文様が浮かび上がり、触っても変化はないが、首輪のように見える。
「契約の能力だ。負けた奴に文様がつき、絶対に約束を守りきるまで離れない。」
「ウウ……最悪。」
「ふむ。見た目は悪くないぞアスチルベ。」
「グラデウスのたまに出るSは何なの?」
「お前ら親子じゃねぇよな。前から思ってたけどよ。」
「な、なんで分かった?」
「当然だ。俺様がどんだけ日々人間の観察してると思ってんだ?これ位見抜けねぇと商売出来ねぇよ。」
ゆっくりとカウンターから出て来たアシュレイ。私の目の前に来ると顎を乱暴に捕まれる。
「お前、いくつだ?」
「……11歳。」
「ほぉ……未来があるな。おい、あの肉売るぞ。」
………。
「はぁ?!」
「あ"ん?聞こえなかったのか?
あの肉売るぞ。」
「え、だって不味いって……」
「クックック ……。」
え、なんでグラデウスも笑ってるの?!
「おいおい、お嬢さん。よく契約書の内容を思い出してみろよ。」
「え?別に何も変な所はなかったはず…」
「何が勝敗を決めるかを明記して無かっただろ?その場合、契約書を保持していた俺様が決着方法を決めれる。
どっちにしろお前は負けてたって訳だ!」
「そ、そんなのズルだ!!」
「喧しい!いい勉強なったと思え。
よかったなぁ、平和ボケの糞ガキ。」
「グラデウスはなんで教えてくれなかったの?!」
悔し紛れにグラデウスに当たると、不思議そうに目を開け、首を傾げる。
「気分?」
貴方と契約した意味が御座いません。
おーい、血を返してー……
「おい、これから3ヶ月。俺の奴隷な」
上から新しい玩具を見つけたようなゲスな笑みが降ってくる。
うわー、最悪な人に捕まった……
「離さないぜ?
宝石の原石様よぉ…。」
To be continue⇨
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うーん、何作ろっかなー。
((ヤギ畜生が舐める岩塩で何を作るというのだ?))
只今、キッチンにて頭を抱えております。えー、いきなり何を作れと言われましても……料理人じゃないよ私は。
お腹減ったな……肉、肉……
「ステーキ食べたい!!今の私のお腹はステーキを欲している!!」
((すてーき?))
「ふっふっふ。よく見てなさい!」
急いでステーキの作り方を思い出そうとした。……分からん。
えー、どうしよう。確か……
……………………………
……………
……
「き、奇跡だ!私天才!?」
((驚いた…。いきなり魔物討伐用の刃物を取り出し始めたから失敗すると思っていたんだが……))
「なんか、できた。」
奇跡的なステーキは、焼き色がしっかりと付いていて食欲を唆る香しい香り。
竹串のような細い調理器具で刺してみるとジュワリと肉汁が吹き出てくる。
「あ、レシピ!!」
((手順は我が覚えた。安心するといい))
「ナイス!大好きグラデウス!」
ドヤ顔をするひよこちゃんを撫でながらステーキを味見。
皆が日常で食べている兎と鼠をかけ合わせたような『ラビッス』は、猪程の大きさで油が十分に乗っている。
そこに塩や香辛料をかけることで更に美味しくなった。(少なくともこの世界では)
あ、料理人の神様ここに見参って感じ。
「どれ。我が味見してやろう。」
勝手に肉の端切れを口に放り込む人間姿のグラデウス。
ピタッと動きが止まった。
「……美味い。」
「よし。早速この目で項垂れるアシュレイを見に行こう!!」
あのグラデウスが褒めたんだ!絶対この勝負勝つに決まってる!!
___翌日____
二度目の定期市場にて、今回はグラデウスと私の二人できた。
ジャック達は2日連続で貴重な労働力が買い出しに行くのは勿体ないという話になり、お留守番。
悔しがる三人をおいて、全く労働力にならない私と近所のお兄さんという立ち位置でいるグラデウスで来たのだった。
「よ。待ってたぜ狂れた親子。まさか本当に一日で作り上げてくるとは……。
よっぽど自信がおありだなぁ?」
皮肉げに私達を睨みつけ、料理を出せと催促させる。
ドンッ!っと例のステーキをアシュレイの前に置くと、片眉を潜め訝しげに此方を見つめた。
そして肉の香り、肉汁、恐らく彼の頭にある合格項目をチェックしているにだろうか。
「……。」
やっと口に欠片を運び、数口噛むと、動きを止めチラリと此方を見る。
「……不味いな。」
「え?」
冷徹に言い放たれた言葉が私の心を突き刺した。時間はそんなに掛かってはいないが、自分の作ったものを他人に汚されるのは、やはりいいものとは言えない。
「…….そ、んな……。」
でも、確かに前世の職人が精一杯料理を勉強した物をそっくりそのまま表現するのは不可能だ。
「俺の勝ちだな。」
アシュレイの手元には契約書があり、灰のように崩れ消えていった。
「……っ!なにこの文様?!」
崩れたと同時に首に文様が浮かび上がり、触っても変化はないが、首輪のように見える。
「契約の能力だ。負けた奴に文様がつき、絶対に約束を守りきるまで離れない。」
「ウウ……最悪。」
「ふむ。見た目は悪くないぞアスチルベ。」
「グラデウスのたまに出るSは何なの?」
「お前ら親子じゃねぇよな。前から思ってたけどよ。」
「な、なんで分かった?」
「当然だ。俺様がどんだけ日々人間の観察してると思ってんだ?これ位見抜けねぇと商売出来ねぇよ。」
ゆっくりとカウンターから出て来たアシュレイ。私の目の前に来ると顎を乱暴に捕まれる。
「お前、いくつだ?」
「……11歳。」
「ほぉ……未来があるな。おい、あの肉売るぞ。」
………。
「はぁ?!」
「あ"ん?聞こえなかったのか?
あの肉売るぞ。」
「え、だって不味いって……」
「クックック ……。」
え、なんでグラデウスも笑ってるの?!
「おいおい、お嬢さん。よく契約書の内容を思い出してみろよ。」
「え?別に何も変な所はなかったはず…」
「何が勝敗を決めるかを明記して無かっただろ?その場合、契約書を保持していた俺様が決着方法を決めれる。
どっちにしろお前は負けてたって訳だ!」
「そ、そんなのズルだ!!」
「喧しい!いい勉強なったと思え。
よかったなぁ、平和ボケの糞ガキ。」
「グラデウスはなんで教えてくれなかったの?!」
悔し紛れにグラデウスに当たると、不思議そうに目を開け、首を傾げる。
「気分?」
貴方と契約した意味が御座いません。
おーい、血を返してー……
「おい、これから3ヶ月。俺の奴隷な」
上から新しい玩具を見つけたようなゲスな笑みが降ってくる。
うわー、最悪な人に捕まった……
「離さないぜ?
宝石の原石様よぉ…。」
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