コロコロロ……

星野 未来

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【 ご主人様 】

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「んっ? 来たか」

 ボクは、ピンク色に光るえびさんのようなものに、体を引っ掛けられた。

 そして、どんどん陸へと引っ張られる。

 真っ暗な海で、引っ張られる。

 どんどん、どんどん、どんどこどん……。

 やがて、ボクは引き上げられた。

 ぷらんぷらんと、体が宙に浮いている。

 引き上げた人が、ボクに言う。

「今日は、ぼうずだったな。ま、これでも持って帰るか」

 その人が、ボクのキズだらけの体を見ている。

 その人は、黒いハットをかぶり、おひげを生やしている。

 少し怖そうに見えたけど、帽子の下からのぞくその目は、やさしくボクを見つめていた。


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