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■第7章: 雪上決戦!
【 第5話: 雪上での決戦! 】
しおりを挟む寝室からグリフが出て行くと、ミャーは急に涙ぐみ、俺の胸に飛び込んできた。
俺のガウンを握るその手は、心なしか震えているようだった。
「タロー……、無理しにゃいでね……。絶対に、生きて帰ってきて欲しいにゃ……」
「ああ、大丈夫だよ、ミャー。誰も俺は傷付けたりはしない……。約束するよ……」
「うぅぅ……」
俺はミャーを深く抱きしめると、ミャーの髪にやさしく一回キスをした。
――その後、俺はミャーからもらったブレスレットを左手首に付けて、全身に鎧を纏い、城の外へと飛び出す。
外は、昨日の夜に降った雪が一面に積もっていた。
「グリフ! ヤーシブの隊列はどれくらいの人数なんだ?」
「見張りの者によると、ざっと『2千人』程かと……」
「2千人か……。ニヤ国の兵力が約千人だから、倍の人数だな……」
「2千人のヤーシブに、この作戦は、本当にうまく行くのでしょうか?」
「2千人なら、何とかなると思う……。もう、この作戦を実行するしか手はないんだ。グリフ、俺は門の横の見張り台の天辺に登って指揮を取る。グリフは、下で皆に指示をしてくれ。頼んだぞ」
「タロー様、見張り台の上はとても危険かと……」
「大丈夫だ。そのために全身に頑丈なこの鎧を纏っているんだ。心配するな、グリフ」
「分かりました。タロー様、どうかお気をつけて」
俺は頷くと、木製の見張り台の天辺まで登っていき、見張り役の者と交代させた。
城の壁の高さは、約8mほど。
そして、この見張り台の高さは、およそ10m。
城の外から弓を喰らえば、この見張り台の天辺まで十分に届く距離だろう。
そのため、俺は全身にこの金属製の重厚な鎧を身に付けているんだ。
鎧が凹むことはあっても、おそらく弓が貫通することはないだろう……。
城の外は、遠くの山まで一面雪に覆われていた。
幸いなことに、俺の考えたこの作戦には、この雪はむしろ好都合だ。
何故なら、この大仕掛けの仕組みを、雪が覆い隠してくれていたからだ。
すると、遠くの方からヤーシブの隊列がこちらへ向かってくるのが確認できた。
いよいよ、ヤーシブとのこの『雪上決戦』が始まる……。
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