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■第7章: 雪上決戦!

【 第1話: クリスマス・イブ 】

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 不思議だった……。
 何故なら、ここは地下帝国のはずなのに、空から雪が降っているのだ……。

 クリスマス・イブの日に、モスグリーン色した見たこともない天からの白い贈り物。
 明日は、この国にも降り積もるのかもしれない。

 もう一つ、不思議なことがある。
 それは、俺の住んでいた世界にもあった、『クリスマス・イブ』というものが、このニヤ国にもあることだ。

 ニヤ国にも、キリストと同じような偉大な人物が、過去にいたということなのか……。
 いや、そんな偶然は、いくら何でも考えにくい。
 俺の住む世界との共通点が多いのは、やはり、この国と何らかの繋がりがどこかにあるからなんだろう……。

「タロー? コモドドラゴンのバター焼き、食べないのかにゃ?」
「あ、ああ……、今日は、コモドドラゴンか……。お、美味しそうだなぁ~……。パクッ、うんうん、美味しいねぇ~……」
「うふふ、良かったにゃ♪ 今日はタローのお口に合ったみたいだにゃ」
「あは、あは、あははははは……」

 俺の胃袋は、日々、こうして鍛えられている……。

 食事を終えると、ダガヤ王がゆっくりと俺の元にやってきて、こんなことを言った。

「タローよ。今までご苦労じゃった。この作戦が成功すれば、ニヤ国にも必ず平和が訪れるであろう。クリスマス・イブの今日くらいは、ゆっくりとミャーと一緒に過ごしておくれ」
「はい、お父様。ありがとうございます」

 ミャーの方を見ると、また顔を赤らめ、胸の前で猫ニャンニャンの手をわちゃわちゃさせて、例の何かを欲しているような仕草をしている。
 これはマズイ……。俺は怖いんだ……。

 ミャーに生き血を吸われることが……。
 今日は最後まで意識を保っていられるのだろうか……。

 そんなことを考えていると、グリフが俺のことを心配して、声をかけてくれる。

「タロー様、大丈夫でしょうか? 休みなく働いて、お疲れのようですので、今日はもう寝室でお休みなられては」

『(ドキッ!!)』

「どうなさいましたか、タロー様……?」
「い、いや、何でもない……。そ、そうだな。今日はもう寝ちゃおうかな……」

 すると、ミャーが突然席を立ち、

「タロー、先に行ってるね……」

 と言うと、真っ赤な顔を隠すように、足早に寝室へと駆け出して行った。

 寝室へ向かおうとする俺の足は、おびえた小さな『チワワちゃん』のように、何故か小刻みに震えていた……。


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