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■第6章: ニヤ国を守れ!
【 第3話: エイト公の企み 】
しおりを挟む俺とそのしゃべる図々しい馬は、この分かれ道の側で焚き火をしながら、一夜を明かすことにした。
俺は、この図々しい馬と火を囲うように座り、食事を取っていた。
「ヨウヨウ、タロー」
「(なっ……、いきなり俺を呼び捨てか……)な、何だ……」
「あんたさぁ、本気でヤーシブのやつらを一人で説得させられると思ってんの?」
「そ、それは分からないが、やれるだけのことはやってみる……」
「エイト公のプロポーズを断った国がその先どうなったか、あんた知らないからそんなこと言ってられるんだな」
「それはどういうことだ」
「あんたが知らないから教えてやるが、エイト公は3人生きた嫁がいるところまでは知っているよな」
「ああ、ミャーがそう言ってたが……」
「実は、エイト公のプロポーズを断った国の王女が過去に2人いて、その国はエイト公によって全て滅んでるんだよ」
「何っ? 国が滅んだ……?」
「ああ、そうだ。エイト公はそうやって領土を広げてきている。しかも、そのプロポーズを断った王女2人は、ヤツの城に監禁されて、それ以外の国民は全てヤツに殺された」
「な、何だと!? 全ての国民を殺しただと……!? じゃあ、ニヤ国もそうなるということか!?」
「ああ、多分な。エイト公は容赦ないからな」
「ミャーもエイト公の城に監禁されるというのか……!?」
「だろうな。ミャー様には可哀想だが……。エイト公は、そういうヤツさ」
俺は、初めて知った……。
エイト公の残忍さを……。
ミャーはそうなると分かっていても、こんな俺を選んでくれたということなのか……。
「そういえば、お前、名前何て言うんだ?」
「俺様の名前は、『ジョセフ』ってみんな呼んでるよ」
「『ジョセフ』か……。馬のくせに、立派な名前だな」
「『馬のくせに』は、余分だろ。グリフが俺様に、そう名付けてくれたんだ」
「これは失礼……、『ジョセフ』。ヤーシブまで、よろしくな」
「ああ、タロー。こちらこそ、よろしく頼むぜ」
「お前は、本当に面白いヤツだな、ジョセフ」
「あんたもな。はははは……」
この馬、ジョセフはすごく変わったヤツだが、頼りにはなりそうだ。
俺とジョセフは、明日のヤーシブとの交渉に備えて、その晩はここでゆっくりと休むことにした。
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