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■第6章: ニヤ国を守れ!

【 第2話: 馬様? 】

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 俺は、ニヤ国の人たちの期待を背負い、馬にまたがりヤーシブ国へ向かっていた。
 グリフからもらっていた地図を頼りに、ニヤ国の丘を越え、川を渡り、奥深い山道を登っていた。
 すると、その先に、二つに分かれている道が……。

「あれっ? 二股に道が分かれている……。どっちへ行けばいいんだ……」

 そこに標識は無い。
 グリフからもらった地図に目を落とす。
 しかし、どっちの道へ行けばいいのか書かれておらず、全く分からない……。

「何だよ、この地図じゃどっちへ行けばいいのか分かんないよ……。え~っ、困ったなぁ~……」

 俺が困っていると、どこからか、間の抜けたような聞き慣れない声が聞こえてきた。

「この道を右だよ」

「はっ?」

 どこか近くで声が聞こえた気がする……。
 周りを見渡すが、誰かいる気配もない……。何か、おかしい……。

「ここだよ。俺様だよ」

「えっ……?」

 その声は、俺のすぐ近くで聞こえる……。そして、その声の振動も感じる……。
 どこから聞こえるのだ……。

「あんたの乗ってる馬様だよ」
「はっ? 馬、様……?」
「ああ、そろそろ休憩しないか? あんたを乗せているのも、いい加減、疲れてきたよ」

「え、ええーーーーっ!?」

 その声は、俺が乗っている馬から聞こえた。
 馬が人間の言葉をしゃべったのだ……。
 俺は、慌てて乗っていた馬から飛び降りた。
 そして、馬の方を見て、俺はこう言った。

「お前……、馬なのに、人間の言葉がしゃべれるのか……?」
「ああ、しゃべりたくはないがな」

「ど、どうして、お前は人間の言葉がしゃべれるんだ……?」
「ミャー様が、『Mecchan Co♪(めっちゃんこ)』とか言って、俺様に魔法をかけて、人間の言葉を聞いたり、しゃべったりできるようにしたらしい。俺様からしたら、いい迷惑だがな」

「ミャーは、『Mecchan Co』の魔法を使ったのか……。ミャーの魔法はそんなこともできるのか……」

 俺は、愕然としていた。
 だってそうだろう……。
 ミャーの魔法がそこまで進化していたとは、思ってもみなかったから。
 せいぜい俺の手を上げさせるくらいしかできないと思っていたから驚きだ……。
 心なしかその馬の表情も、人間のような疲れた表情を見せていた。

「そんなことより、腹へったから何か食べてぇ~よ」
「あ、ああ……、どこかその辺りの草でも食べているか……」
「草ばっかりじゃ飽きたよ。俺様の背中に乗せているニンジンが食べてぇ~よ」

「ニ、ニンジンだと……。これは、俺の食料なのだが……」
「たまにはいいだろ~。俺様は、あんたをここまで乗せてきたんだから」
「しょ、しょうがないな……」

 俺は、この図々しい馬の言う通り、背中に乗せているニンジンを食わせてやるのだった……。

「ボリボリボリ……。ああ~、やっぱニンジンは、最高だなぁ~」

 馬がしゃべるとこんな風なんだと、思い知らされた。
 この先、本当にヤーシブまで辿り着けるか、こいつ次第なのかもしれないが……。


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