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■第6章: ニヤ国を守れ!
【 第1話: 最後の口づけ 】
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ミャーは、俺の服を握りしめ、背中で震えて泣いていた。
「ミャー、君を連れて行くわけにはいかない。君の命の危険もあるから」
「ミャーはタローと一緒だったら、それでもいいにゃ……。だから、ミャーも連れてって!」
俺は、やさしくミャーの手を取り、振り返ると、ミャーにこう伝えた。
「ミャー、聞いて欲しい。君は、この国に必要な人だ。君の身に万が一何か起きた場合、ダガヤ王や民衆が悲しむ。だから、俺一人で行かせて欲しい。俺は、この国の人、一人も死なせたくないんだ」
「ミャーは、タローがもし死んだら、私もその時は、一緒に死ぬにゃ……」
それは、俺が一番恐れていた言葉だった……。
そう言ってくれるのは、嬉しいのだが、ミャーを死なせてしまっては、この作戦の意味はない……。
だから、俺はこう言ったんだ。
「ミャー、安心して。俺は、絶対に死なないよ。生きてまた帰ってくる。それを約束する」
「本当に……?」
「ああ、絶対に生きて帰ってくるよ。約束する」
「タロー……、ふぅぅ……」
俺は、ミャーと見つめ合う。
そして、ミャーはそっと瞳を閉じる。
二人の唇がゆっくりと近づいていく……。
「(んっ? ちょっと待てよ……。この展開は、マズイんでないかい……?)」
俺は、咄嗟にミャーから離れる。
でも、ミャーは再び目を開けると、近づきそのかわいらしいプルンとした唇を、俺に差し出してくる……。
まるで吸い込まれそうな、艶のあるピンク色の実にかわいい唇だ。
もう、距離にして10cmあまり……。
やがて二人の唇は、磁石のように引き合い、くっつきそうだ……。
「ダメだ、ダメだ……」
「ど、どうしたにゃ……? タロー……?」
ミャーは、不安そうな顔をしている。
でも、そのかわいらしい唇に触れれば、ミャーは確実に俺の生き血を吸うだろう……。
そうしたら、俺は民衆の前で、無様に倒れてしまう……。交渉どころではない……。
ミャーのそのブルーの大きな瞳に、涙がどんどん溜まっていくのが見えた……。
これは、マズイ……。
その甘い誘惑に、俺の心は負けてしまいそうだ……。
俺は首をぷるんぷるんと横に振ると、代わりに、ミャーの額にやさしく軽いキスをした。
「ミャー、行ってくるよ」
「タロー、絶対に生きて帰ってくるにゃ……」
「ああ、じゃあ、行ってくる」
俺は颯爽と馬に乗って、城の門を出た。
振り返ると、ミャーや大勢の民衆が、俺の背中を押してくれていた。
もう、引き返すことはできない。俺の心は決まった。
でも……。
「(ああ~、このまま死んだら、ミャーと最後口づけしなかったことを後悔するかも……)」
そんな、不純なことを思いながら、俺はヤーシブ国を目指し始めた……。
「ミャー、君を連れて行くわけにはいかない。君の命の危険もあるから」
「ミャーはタローと一緒だったら、それでもいいにゃ……。だから、ミャーも連れてって!」
俺は、やさしくミャーの手を取り、振り返ると、ミャーにこう伝えた。
「ミャー、聞いて欲しい。君は、この国に必要な人だ。君の身に万が一何か起きた場合、ダガヤ王や民衆が悲しむ。だから、俺一人で行かせて欲しい。俺は、この国の人、一人も死なせたくないんだ」
「ミャーは、タローがもし死んだら、私もその時は、一緒に死ぬにゃ……」
それは、俺が一番恐れていた言葉だった……。
そう言ってくれるのは、嬉しいのだが、ミャーを死なせてしまっては、この作戦の意味はない……。
だから、俺はこう言ったんだ。
「ミャー、安心して。俺は、絶対に死なないよ。生きてまた帰ってくる。それを約束する」
「本当に……?」
「ああ、絶対に生きて帰ってくるよ。約束する」
「タロー……、ふぅぅ……」
俺は、ミャーと見つめ合う。
そして、ミャーはそっと瞳を閉じる。
二人の唇がゆっくりと近づいていく……。
「(んっ? ちょっと待てよ……。この展開は、マズイんでないかい……?)」
俺は、咄嗟にミャーから離れる。
でも、ミャーは再び目を開けると、近づきそのかわいらしいプルンとした唇を、俺に差し出してくる……。
まるで吸い込まれそうな、艶のあるピンク色の実にかわいい唇だ。
もう、距離にして10cmあまり……。
やがて二人の唇は、磁石のように引き合い、くっつきそうだ……。
「ダメだ、ダメだ……」
「ど、どうしたにゃ……? タロー……?」
ミャーは、不安そうな顔をしている。
でも、そのかわいらしい唇に触れれば、ミャーは確実に俺の生き血を吸うだろう……。
そうしたら、俺は民衆の前で、無様に倒れてしまう……。交渉どころではない……。
ミャーのそのブルーの大きな瞳に、涙がどんどん溜まっていくのが見えた……。
これは、マズイ……。
その甘い誘惑に、俺の心は負けてしまいそうだ……。
俺は首をぷるんぷるんと横に振ると、代わりに、ミャーの額にやさしく軽いキスをした。
「ミャー、行ってくるよ」
「タロー、絶対に生きて帰ってくるにゃ……」
「ああ、じゃあ、行ってくる」
俺は颯爽と馬に乗って、城の門を出た。
振り返ると、ミャーや大勢の民衆が、俺の背中を押してくれていた。
もう、引き返すことはできない。俺の心は決まった。
でも……。
「(ああ~、このまま死んだら、ミャーと最後口づけしなかったことを後悔するかも……)」
そんな、不純なことを思いながら、俺はヤーシブ国を目指し始めた……。
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