上 下
39 / 63
■第5章: ライバル出現!

【 第3話: イケメン?エイト公 】

しおりを挟む

『パッカ、パッカ、パッカ、パッカ……』

 ダガヤ王は、ヤーシブ国のエイト公一行をお城の中に招き入れた。
 近くで見る『エイト公』は、思いの他、背が高く、鼻の高いグリーンの目をしたイケメンだ。
 白馬を華麗に降りると、かぶとを取り、ウェーブの効いたグレーの長髪をなびかせ、切れ長の目でミャーを見つめながら、こう言った。

「ミャー姫、お久しぶりです。今日は、一段とお美しい」

 そう言って、左手に兜を抱えながら、ミャーに近づいていき、右手を出して握手を求める。
 だが、ミャーは、プイッと顔を背け、両手を胸に当てて、握手を拒む。
 その姿を見たエイト公は、すかさず、ニヤリと白い歯を見せながら笑い、こう言った。

「ふふっ、相変わらず、ミャー姫は身持ちがお堅い方だ」
「(な、何っ……!? ミャーは身持ちが堅いだと……。全然そんなことなかったけど……。むしろ、ガンガン自分から求めてたぞ……。どういうことだ……)」

 俺はエイト公の言葉に、ミャーとこいつの顔を交互に2度見する。

「ダガヤ王、お久しぶりでございます。お城に招いて頂きありがとうございます」
「ああ、久しぶりじゃな。エイト公よ。ここでは、なんだから、中に入って話そう」
「ありがとうございます」

 そう言って、俺たちはエイト公一行を受け入れ、お城の中へと入って行った。
 よくよく見ると、こいつにもグレーの髪から、犬のようなピンと立つ耳と、お尻からは、ミャーよりも少し太めの毛並みのいい尻尾がある。

 しかし、エイト公……。こいつ、かなりのいい男だ。
 男の俺でも、あいつのキラリと光る綺麗なグリーンの瞳にやられちまいそうだ……。
 ミャーはこんな美しい男がいるのに、何故、俺みたいなずんぐりむっくりな32歳のおっさんを選んだんだ……。

 応接部屋へ入り、柔らかそうな高級な革張りの応接椅子に座り、話し合うことになった。

「さて、エイト公よ。今日は、どのような用件なんじゃ?」
「はい。今日は、ミャー姫にプロポーズをしに参りました」

 俺が口を開くよりも速く、ダガヤ王が一足先にこう言った。

「エイト公よ。残念ながら、ミャーは既に名古屋国の王子、そこにいるタローと昨日結婚をしておるのじゃ」
「はい。そのことは伝令の者より伝え聞いております。それでも私はミャー姫を愛しております。ミャー姫を是非、私の妻として迎え入れたいのです」

「な、な、俺と既にミャーは結婚しているんだぞっ!」
「それは分かっていますよ。タロー王子。だからこそ、こうやってお願いしにここに来たのです」

『ガバッ!』

 それを聞いたミャーが急に座っていた椅子から立ち上がって、エイト公を怖い顔でにらみつけていた……。
 俺は、全く訳が分らず、口がポカ~ンとだらしなく開いていた……。


しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

とある高校の淫らで背徳的な日常

神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。 クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。 後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。 ノクターンとかにもある お気に入りをしてくれると喜ぶ。 感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。 してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

【本編完結】ヒロインですが落としたいのは悪役令嬢(アナタ)です!

美兎
恋愛
どちらかと言えば陰キャな大学生、倉井美和はトラックに轢かれそうになった黒猫を助けた事から世界は一変した。 「我の守護する国に転生せぬか?」 黒猫は喋るし、闇の精霊王の加護とか言われてもよく分からないけど、転生したこの世界は私がよく知るゲームの世界では!? 攻略対象が沢山いるその中で私が恋に落ちた相手は…? 無事3/28に本編完結致しました! 今後は小話を書いていく予定なので、それが終わり次第完全完結とさせて頂きます。

パンツを拾わされた男の子の災難?

ミクリ21
恋愛
パンツを拾わされた男の子の話。

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

男性向け(女声)シチュエーションボイス台本

しましまのしっぽ
恋愛
男性向け(女声)シチュエーションボイス台本です。 関西弁彼女の台本を標準語に変えたものもあります。ご了承ください ご自由にお使いください。 イラストはノーコピーライトガールさんからお借りしました

今日の授業は保健体育

にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり) 僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。 その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。 ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。

処理中です...