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■第3章: 幼な妻
【 第7話: 婚礼の儀 】
しおりを挟む『コンコン……』
「どうぞにゃ」
『ガチャ、キィ~ッ』
「タロー様、ミャー様、婚礼のご用意が整いましたので、まずはお着替えの方を」
「グリフ、ありがとにゃ」
俺は、薄れ行く意識の中で、ベッドにうつ伏せになり、虚ろな目で口を半開きにしながら、二人の会話を聞いていた……。
『パンパカパパパパパーーーーンッ!♪』
「それでは、只今より、タロー王子とミャー姫の婚礼の儀を執り行う」
付き添いのグリフが俺たちに、小声でこう囁いた。
「タロー様、ミャー様、それでは、二人揃って、ダガヤ様の元へお願いします」
「あ、ああ、分かった……」
俺は緊張していた。
いきなり、朝から無理矢理、白の婚礼服に着替えさせられ、何やら大きな礼拝堂のようなところに連れて行かれ、扉が開いたと思ったら、急に『婚礼の儀』とやらが始まってしまったのだ。
会場には、王族と思われる高そうな礼服を着た人たちが、俺とミャーの行方をジッと見つめていた。
真ん中に赤い絨毯が敷かれ、その両サイドにベンチ風の椅子がある、いわゆる教会スタイルの結婚式のようだ。
正面には、パイプオルガンがあり、そこからは、聞いたこともない厳かで壮大なメロディが奏でられていた。
そして、正面奥に『ダガヤ王』が、真剣な面持ちで俺たちを待っている。
ふと、我に返り、横を見ると、純白のウエディングドレスを着たミャーがいつの間にか立っていた。
やばい、実にかわいい……。
胸元がはっきり分かる肩を出した、ボリュームのある純白のドレス。
手には、純白の透けたグローブに、オフホワイトのブーケを持ち、頭には美しくキラキラ輝く高級そうなティアラと、白く透けて見えるベールが、ミャーの魅力を一段と輝かせていた。
胸元に輝く無数のダイヤモンドらしきネックレスと、昨日外さないと言っていた不思議に輝く『紫色の鈴』。
何故か、猫耳にもかわいらしいキラキラ光るイヤリングが付いている。
そして、後方に続いている、無駄に長い長いウエディングドレスの裾。
どこまで続いているのだろう……。後ろの召使いたちも大変だ。
しっぽはドレスから出ているのか?
あった、しっぽはUの字に立っている。
ミャーも緊張しているようだ。
しかし、かわいい……。
本当に、こんな幼い子猫ちゃんと結婚しちゃってもいいんだろうか……。
そんなことを考えながら、俺たちはダガヤ王の元へと歩いていった。
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