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■第2章: 名古屋弁とニヤ国弁?

【 第6話: 『あ~ん』だにゃ♪ 】

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「タロー様、お願いです。どうか、ミャー様の『あ~ん』をお受け取り下さい」

 グリフはそう言うと、ひざを付いたまま、俺に深々と頭を下げた。
 もう、ダメだ……。
 逃げられない……。

 皆は俺に注目している……。
 俺が、ミャーの『あ~ん』を受け取るのを期待して、ジ~ッとこっちを見ている……。

 俺は、完全に追い込まれた……。

「さあ、タロー様。ミャー様の『あ~ん』を……」
「あ、ああ……、わ、分かった……。食べるよ……」

「ミャー様、もう一度、タロー様に『あ~ん』を」
「ありがとにゃ……。グリフ……」

 ミャーはそう言うと、涙を拭い、もう一度スプーンにすくった、『』が入っているであろうゼリー状のものを、俺の口へ近付けた。

「タロー、はい『あ~ん』……」

 俺は観念し、渋々しぶしぶ口を開ける。
 やはり、鉄臭い匂いがしている。
 そして、ミャーの持つスプーンから、そのゼリー状のものがスルリと、口の中へ滑り込んでくる。

 呼吸を止めて、とりあえず、噛んでみる。
 甘くもない。予想通り、うまくもない。
 まさに『鉄味てつあじ』のゼリーだ……。

 俺は、皆の視線を浴びながら、一気にそれを飲み込む。

『ゴクリ……』

 そして、俺は一言こう言った……。

「ミャー姫、大変おいしゅうございます……」

 すると、観衆はそれを待っていたかのように、大きな歓声を上げて、俺たちを温かく祝ってくれた。

『ワ~ッ! パチパチパチパチパチ……』

 恥ずかしい……。
 実に、恥ずかしい……。
 俺は、今日ここに来る時に出てきた、時空の『ぽこ』にでも、今すぐ入りたい気持ちだった……。


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