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■第1章: 王子さまと王女さま?
【 第4話: にゃ? 】
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俺は、その光景に頭の中が混乱していた。
なぜなら、地下なのに明るく眩しく、息もちゃんと出来ていたからだ。
空は地上とは異なり、少し緑色がかった淡いモスグリーンのような空で、俺の目の前には、お椀をひっくり返したような形の不思議な緑の木々が無数に広がっていた。
その緑の木々には、薄いオレンジ色をした立体的な星のような形の木の実が付いており、どこからか小鳥のさえずりのような鳴き声も聞こえていた。
そして、その先には道ができており、近くでは川が流れ、その川の上にある橋の先にあるその長く続いている道は、地上では見たこともない形をした西洋のお城らしきものが、遠くに見えている。
俺の落ちたこの場所は、小高い丘の上にあるようで、その光景がこの場所からハッキリと見渡すことができた。
試しにゆっくりと深呼吸をしてみる。
うん、息は苦しくない。むしろ、地上よりも新鮮な空気だ。
今度は、匂いを嗅いで見る。
うん、悪くない。地上でいうところの富士山の麓に広がる自然な木々の香りだ。
俺は、ふと先ほど滑り落ちてきた穴の方を振り返って見てみる。
その穴は、上の方から長い草が垂れ下がって隠れてはいるものの、茶色がかった岩のゴツゴツした部分に、その穴は確かに存在していた。
その垂れ下がった草を掻き分けて、穴を覗いてみる。
すると、その穴からは風が吹き出しており、俺の短い髪をフワフワと揺らした。
しかし、穴の先は暗くてよく見えない。
落ちてきたのだから、穴は上方向に向かっているんだろうと思い、手で探ってみるが、手に触れる感覚がない。
何故だ……。
不思議なことに、穴の奥に何も触れられるものがなかった。
「何だ、この穴……? 上に向かっているんじゃないのか……? 落ちてきたんだから、上に伸びているはずなんだが……」
その穴の先は、俺の手では触ることができない未知の空間が広がっているような気がして、急に俺はその穴から地上に戻ることが怖くなった。
「こ、これ……、この穴から、戻れないんじゃないか……?」
俺がそんな不安を抱えていると、あの鈴の音と共に、俺の背後からこんな声がしてきた。
『チリリン……』
「ねぇ、あなたお名前は何て言うにゃ?」
「(にゃ……?)」
俺は、そのイントネーションをどこかで聞いたことがあるような気がした……。
なぜなら、地下なのに明るく眩しく、息もちゃんと出来ていたからだ。
空は地上とは異なり、少し緑色がかった淡いモスグリーンのような空で、俺の目の前には、お椀をひっくり返したような形の不思議な緑の木々が無数に広がっていた。
その緑の木々には、薄いオレンジ色をした立体的な星のような形の木の実が付いており、どこからか小鳥のさえずりのような鳴き声も聞こえていた。
そして、その先には道ができており、近くでは川が流れ、その川の上にある橋の先にあるその長く続いている道は、地上では見たこともない形をした西洋のお城らしきものが、遠くに見えている。
俺の落ちたこの場所は、小高い丘の上にあるようで、その光景がこの場所からハッキリと見渡すことができた。
試しにゆっくりと深呼吸をしてみる。
うん、息は苦しくない。むしろ、地上よりも新鮮な空気だ。
今度は、匂いを嗅いで見る。
うん、悪くない。地上でいうところの富士山の麓に広がる自然な木々の香りだ。
俺は、ふと先ほど滑り落ちてきた穴の方を振り返って見てみる。
その穴は、上の方から長い草が垂れ下がって隠れてはいるものの、茶色がかった岩のゴツゴツした部分に、その穴は確かに存在していた。
その垂れ下がった草を掻き分けて、穴を覗いてみる。
すると、その穴からは風が吹き出しており、俺の短い髪をフワフワと揺らした。
しかし、穴の先は暗くてよく見えない。
落ちてきたのだから、穴は上方向に向かっているんだろうと思い、手で探ってみるが、手に触れる感覚がない。
何故だ……。
不思議なことに、穴の奥に何も触れられるものがなかった。
「何だ、この穴……? 上に向かっているんじゃないのか……? 落ちてきたんだから、上に伸びているはずなんだが……」
その穴の先は、俺の手では触ることができない未知の空間が広がっているような気がして、急に俺はその穴から地上に戻ることが怖くなった。
「こ、これ……、この穴から、戻れないんじゃないか……?」
俺がそんな不安を抱えていると、あの鈴の音と共に、俺の背後からこんな声がしてきた。
『チリリン……』
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