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学園編

22:騎乗*

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仰向けになった男の腹は筋が伸びて硬さが増す。
爪先つまさきで平たい胸に触れてみれば、親指の下に早鐘の心臓。

勿論、硬くなっている部分はそれだけでないが。
ロキの太腿を吸った時から反応していた。
リヴィアンが触れたのはそれきりの上、先程から脚しか舐めさせていない。
昼間に貪り合ったとはいえ、そろそろ余裕が無くなる頃。


「あ」

声を落としたのはこちら。
そういえば「こっちも」とロキに言われ「脱ぐから退いて」とリヴィアンも言っての踵落としだった。

ちょっと失礼、一旦ベッドから降りて拾い上げたのはロキの寝間着。
ビスチェを外してから袖を通してボタンも留める。
そうして、要望と予告通りにショーツを脱ぎ捨ててみせた。

ワンピースにしては短いシャツ一枚の下は素肌。
ただしグラマラスな身体がこれだけで包み込める訳がなく。
もともとメンズ服は平坦なラインの男性に合わせて仕立ててあるのだ。
ただでさえ豊かな胸元が布を押し上げるので前だけ丈が少し持ち上がってしまい、金色の陰りが見え隠れ。
この格好は全裸よりも却って挑発的。


伸ばされていたロキの脚の間、向かい合わせにリヴィアンが腰を下ろした。
閉じた両膝を立てての三角座り。

何も履いてない足の付根、濃藍の目が離せなくなっているのは知っている。
散々見たり触ったりしているというのに、まだそんな顔をするか。
リヴィアンに手首を掴まれシーツに押し付けられているので、ロキはただ凝視することしか出来ず。

仰向け状態から手首を下に固定されてしまうと、人間は肘を立てられる角度までしか起き上がれない。
体格差はあれど男女。
本来は単純な力比べならロキの方が強いのだろうが、相手が悪い。
閨事に関してリヴィアンは敵無し。


座ったままのリヴィアンが脚を伸ばして、寝そべったロキの身体を素足で撫でる。
体重は掛けず爪先だけで軽く優しく。
控えめな喉仏から鎖骨を辿り、平たい胸の先を弄って、臍の窪みを押す。

「ロキ君、ここ触られるのはあんまり好きじゃないのよね?」

されど、肝心の下腹部だけ避けて素通り。
黒に近い暗褐色は相手を見透かす魔力めいた目。
先程と同じく湿度のある声で、少年の被逆心を甘やかに愛でる。

意地悪のようだが飽くまでも確認。
紛うことなき本音として、リヴィアンもロキの嫌がることはしたくない。


「お、お願いします……リヴィ先輩、踏んでぇ……」

とはいえ、これは焦らし過ぎか。
懇願の一言すら可哀想なくらい息が荒く苦しげ。
眉毛を寄せて朱色に染まり、羞恥や我慢が混じり合った泣きそうな顔。


「踏んで、で良いのかしら?」
「ん……口でされるのは恥ずかしいから嫌なんよ、でも、手とか足なら……」

今度は乙女のように口籠りながらおかしなことを。
足の方が屈辱的だろうに。
妙な拘りが強い辺りも、やはりロキは変態の素質があると思う。

それはそうと、流石に足だけで脱がせるには難しい。
両手で引っ張り下ろした下着の中は劣情の行場が無く、既に先走りで粘着いていた。
天を仰ぎ、水浸しの屹立がやっと姿を現す。

さて、踏む経験はあれど随分と昔なので上手く出来るだろうか。

小さく柔らかな足こそ貴族女性の美しさとされ、魔法や薬で保つ技術が発達していた世界では一般的な性技だった。
あの時は精液で汚れるのが手や口よりまだ良いのだが、エナジーヴァンパイアとして足から生気を吸うのは難しかったものである。
魔法は理論もあるが、何よりも感覚頼み。
植物が根から養分を吸収するイメージを掴むまでになかなか苦労した。


まずは挨拶代わり、片足で形を確かめるように優しく撫でた。
びしょ濡れなので爪先が滑ってしまう。
両足の土踏まずで包むように挟んで、緩やかに扱き始める。
小刻みに震える先端を擦り、根本の袋まで揉む。

デリケートな場所だけに体重を掛けると危険。
力加減に注意しながら圧迫する。

「あッ、なに、これぇ……ンンっ、あぅ、もっとぉ……」

流れで始めてしまった戯れでも、予想外にロキの反応が良い。
単純に技巧の問題だけでもあるまい。
再び手を押さえ付けられて碌に身動きが取れないまま、大事な場所をやんわりと足蹴にされているのだ。
アブノーマルな愛撫は少年に刺激が強かった。
そして、それを見守るリヴィアンの微笑みがまた薄闇の色香。

牙を見せる時は恐ろしさすらある凄まじい艶だが、今のロキも本当に愛らしい。
少女のように喘ぎ、やがて噎び泣きながら達してしまった。


両足が白濁塗れなのでシーツまで汚れてしまう。
ベッドサイドには例の如く洗面器の水とハンドタオル、ハーブティーの用意。
リヴィアンが泥々を拭き取っていると、ロキからの視線に気付いた。

「また足舐めたい?」
「それより……リヴィ先輩のソコ、僕も気持ち良くしたい……」

濃桃の舌を突き出して恥ずかしげに催促。
皆まで言わずとも意味は分かる。


起きようとしたロキを仰向けのまま制して、彼の顔の上にリヴィアンが跨る形。
このまま腰を落とし過ぎると窒息させてしまう。
かといって膝立ちのままずっと足を開いているのは負担になるので、両手も着いた四つん這い。

「……舐めて」

申し出たのはそちらからだが、敢えて言葉を望んでいるなら口にしよう。
命令という許しを得て、蜜に舌先が浸る。


顔面騎乗は女性が優勢のようで、秘部を全て曝け出すのでなかなか羞恥が強い。
支配しているのか、身を任せているのか。
加虐と被虐は快楽の中で逆さまになって、上下が分からなくなる。

「んッ、ふ、うぅ……ひぁ……ッ」

素直に声を上げていたロキに滾って、濡れている自覚はあった。
次はリヴィアンが啼かされる番ではあるのだが思わず奥歯を噛んでしまう。
足だけであれだけ責め立てた手前、今更喘ぐのは後ろめたい気持ち。
それでも吐息は限りなく甘く、水音と混じり合って淫らに響く。

一方のロキもただ舐めるだけではなく、喉を鳴らして貪欲に味わおうとする。
自由になった手で押し開けば深い裂け目から湧き水。
膨らんできた珠も吸い、口元を濡らす滴りを余さず啜る。

舐められるのは「恥ずかしいから」と拒否しておいて、踏まれる方を望む。
加えて、自分はこうして蜜を飲みたがるなんて本当に何なのだろう。


先程リヴィアンもやりたい放題した覚えがあるので、ロキの好きなようにさせねば不平等。
しかし、いつまでもこうして戯れ合っていると夜が明けてしまう。
若干の物足りなさを感じつつも、そろそろ時間。

「も、おしまい……続きはこっち」

緩々と下がり、対面のままロキの膝上にリヴィアンが座り込んだ。
再度硬くなった屹立を撫で上げると粘着く指先。
了承の証はキスで事足りる。


避妊具を装着している間こちらも汗で張り付くシャツを脱ぐ。
広がる発情の匂いに混じり、抱き合うと仄かなラベンダーとシトラス。
ロキの脚を跨ぐ格好のままでリヴィアンが腰を落とし、柔らかくなった花弁が抉じ開けられる。

身長も体重もまだこちらが上。
そこを気にして今まで騎乗位を避けていたので、思わず言い訳じみた呟きが零れた。

「えっと、私、重いからロキ君大変だと思うけど……」
「重くないです」

ゆっくりと突き刺さっていく最中、まだ浮いていた尻を引き寄せられた。
今度こそ深く沈み込んで身体の奥に重い衝撃一つ。


突然だったもので流石のリヴィアンも苦しげな表情になるが、息を整えて顔を上げた。
傍目には少年を押し倒す体勢。
このまま導いてやるべきかと思いきや、ロキも尻を掴んだまま下から打ち付けようとする。
騎乗位も初めてなのでやはり動きは控えめながらも。

昼間の後背位といい、これも重い乳房が揺れる。
違いとしては下からの眺めか。
先程も跨る格好になった訳だが、向かい合わせでグラマラスなリヴィアンが上になると迫力すら伴って堪らなく扇情的。
誘われたロキが手を伸ばしてしまうのも無理なし。

夜、女の尻は髪と同じように冷たくなる。
体液に濡れて血が巡る男の手には一瞬氷のようで、その熱で溶けそうな錯覚すら。


「そろそろ私も動いて良いかしら?」
「あ、はい……僕、また恥ずかしい声出そうだわぁ……」

最初は相手の出方を見て静観していたリヴィアンだったが、本来こちらが主導権を握る体位。
分かっているだけにロキの返事は「お手柔らかに」の意味も含みつつの承知。

それは気分次第。
あやすように銀髪を撫でてから、愛しげに微笑んだ。





「……リヴィ先輩、腕枕って寝にくいって聞くけどどうなん?」

遊び疲れて寝転がれば、いつの間にか深夜。
眠そうな声ながらもロキが質問を一つ。
こちらに片腕を差し出して、リヴィアンを待っている。

そんなこと誰に聞いたのやら。
キスマークといい、半端な知識だからそうなるのだ。


「それ、やり方が間違ってるからよ」

男性が腕を広げて、その上に女性の頭を載せるというのはよくある勘違い。
これでは硬くて痛くて碌なことにならず。

実際にやってみせた方が早いか。
まず始めに、両者が枕に頭を載せた状態から。
枕と女性の首の隙間に、男性が腕を通して肩を抱き寄せる。
横向きで寝ると見合わせた顔が近い。

ただ、今は男女逆の体勢。
リヴィアンがロキを抱き寄せると、豊かに実った乳房に顔が埋まってしまう。

「息出来ない……ていうか、これ、溺れそうなんよ」
「あぁ、ごめんね、離すわ」
「苦しいこと以外は気持ち良いんですけど」
「窒息プレイは上級者向けだからやめましょうか……」


それより明日の話をしよう。

帰ってきてしまったけど、折角なのでサーカスも見たい。
ここの図書館も素敵なので是非とも案内しなくては。
やっぱり狩りにも連れて行ってほしい。
川も釣りの道具もあるので、一食は魚に決めた。

まるで子供のようにあれこれと話しながら眠りに落ちる。
それもリヴィアンにとっては学生最後の夏休み。
こんな8月は一度だけだろうから。

終わるからこそ美しく楽しい日々。
帰ってしまう前に、思い出になる前に、確かに在ったのだと太腿の赤い花に触れる。
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