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38.異世界講座・基礎知識編

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「それじゃあ、こちらの世界について一通り教えるね。まずは―――」

 こちらの世界の呼び名について。
 僕達がいるこの世界は「リスティア」と呼ばれている。自然豊かで様々な種族が生活していて、その他にも地球にはいないような珍しい動物や植物も数多く存在する。剣と魔法のファンタジーな世界と言ったほうが伝わりやすいだろうか。
 人族以外の種族で有名なところと言えば、獣人にエルフやドワーフなどの妖精族だろうな。他にもいるが会ったときに説明すれば良いだろう。
 良いことばかりではなく魔獣が蔓延はびこる、危険な世界でもあるけれど。そのため職業によっては生と死が隣り合わせにもなるわけだが…。

 大きな大陸――グリーナウェル大陸と呼ばれている――は複数の国に分かれていて、その大陸の周囲には大小様々な島が点在しているが、それは置いといて良いよね。一度に詰め込んでも覚えられないし。
 大陸の気候は日本に近く、位置による気温差は大雑把に北が寒く南が暑い、東が乾燥していて西は湿度が高い。
 僕達がいるのはグリーナウェル大陸の中でもルーリッド国だ。ここは僕が主に拠点にしている国で、人族が国王だが他種族に対して偏見がなく、友好的なため多くの種族が集まってくる。そして隣国との国境に程近い「ラグアの森」に最初に降り立つこととなった。
 このラグアの森だが最初のビッグボアといいさっきのクローベアとキラーグリズリーといい、高ランクの魔獣がいて実はかなりの危険地帯だが、その分というか見返りも大きいからか無謀な冒険者も数多くいるのは悲しいことだね。
 とはいえ冒険者ギルドとしては注意を喚起することは出来ても、立ち入り禁止を強制することは出来ない。あくまで自己責任だと登録するときの書類に書いてあるからだ。

 ちょっと脱線したから話を戻そう。

 リスティアには7柱の神様がいる。
 彼らがお会いしたのは主神であるグランディオ様。
 その他に太陽神サニアス様。
 月の女神ルナマリア様。
 火神フレイス様。
 水神アクエリア様。
 風神ゲイル様。
 地神ガイア様。
 姿も性格もバラバラの神々だが共通して言えることは、7柱ともリスティアに住む人達を大切に想っているということ。
 神殿に行けば石像や肖像画があるからぜひとも見てほしい。

 それから1日は24時間で6日で1週間。ここは地球とは違うから慣れるまでに時間がかかるかもしれないな。
 1週間は順に光、火、水、風、地、闇となり5週間、つまり30日で1ヶ月。12ヶ月で1年となる。
 先に気候は日本に似ていると言ったように、日本と同じく四季がある。3月~5月が春、6月~8月が夏、9月~11月が秋、12月~翌年2月が冬。これは日本の新暦と同じじゃないかな。

 次にお金についてだけど、単位はGで一番金額の少ない硬貨が銅貨になる。
 銅 貨=10G
 大銅貨=100G
 銀 貨=1000G
 大銀貨=1万G
 金 貨=10万G
 大金貨=100万G
 白金貨=1000万G
 こういった具合に十進法で硬貨は変わり、銅貨=10円で、お店の人は代金を硬貨で言ったりGで言ったりと人それぞれだ。

 昨夜は説明を省いたけれど、スキルレベルについても話しておこう。
 スキルレベルは上限が10となっている。
 レベル1~2=初心者
 レベル3~5=一人前
 レベル6~7=熟練者
 レベル8~9=達人クラス
 レベル10=神業もの
 という風に区分けされていて、スキルとして使い物になるのは一人前とされるレベル3からと言われている。
 スキルは鍛練して覚えるものと、繰り返し受ける(続ける)とで覚えるものの大きく分けて2通りだろう。
 武術系は鍛練、僕が使った念話は繰り返し受けるほうだ。
 スキルを覚えるだけなら諦めなければ根性で覚えることは出来る。ただそれを伸ばせるかは素質や相性も関係してくるからなんとも言えないが。

 スキル繋がりで魔法についても話しておこうか。
 魔法は…というか、生活魔法については昨夜ほんの少しだけさらっと話したが、魔法の練習として子供のうちから教える家庭が多い。
 だが向き不向きもあるため、全員が全員覚えられるわけじゃないので、そこは前もって理解していてほしい。
 さっき上げた他種族の例で言うと、エルフ族は魔法の扱いが得意だが、獣人族は苦手で使えないほうが断然多い。それに対して人族は良くも悪くも平均なので魔法が使えるかどうかは本人次第としか言い様が無い。

 とりあえずこんなところだろうか。
 一気に話してめっちゃくちゃ疲れた。普段はこんなに喋らないから喉がカラカラだ~。
 皆黙って聞いていたみたいだけど、ちゃんと理解してくれたかな?
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