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23.夜明け前
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朝までただお喋りするっていうのも時間が勿体ない気がしたので、さっきの続きをすることにした。
今度は竹じゃなくて輪切りにした木と、加工用の小型ナイフを《無限収納》から取り出していく。
『ルー、なにするの?』
『うん? 皆の食器を作ろうかな~と思って』
『さっき竹っていうので作ってのに、まだ作るの?』
テトはさっき僕が見せた竹細工…と言って良いか怪しいくらい簡素な、竹で作った食器をちゃんと覚えていたようで不思議に思ったらしい。
『さっきのは器のほうね。今度はスプーンやフォークのほう』
『持ってなかったの?』
『分からない。聞いてなかったんだよね。だから一応準備しておこうかと思ってさ』
『ふーん』
棒状に切り出した木をスプーンやフォークに見えるようにナイフで削って、それらしく加工していく。
うーん、普段こんな木材加工なんてしないからなぁ~。………不格好なのはご愛嬌って事で勘弁してください。
削った時に出た木屑は後で使えるから適当な袋に入れて《無限収納》へ。
出来上がったものを並べて見るけれど…見事に歪なのばっかりだな~。
『なんかヘタっぴだね』
『うん、なんか変』
『うっぐ! ……わ、わかってるよ』
指摘されてしまった。いや、確かに自分でも分かってたよ。でも言われるとくるものがあるよね。
『街に着いたら買うから良いよ』
『じゃあなんで作ってるの?』
『……それまでの凌ぎだよ』
作ったものも一緒に《無限収納》へとしまう。
慣れない木材加工に手間取ったこともあって、思ったよりも時間が経っていたみたいだ。窓に目を向けると外の景色がいつの間にか変わっていて、空が白み始めていた。
皆が起きる前に朝食の支度を始めないといけないな。
昨夜はたいしたものを食べられなかったから、朝食は温かいものを食べさせたい。まずはちゃんと栄養のある食事をとることが大事だ。
「ん~~……っだ!? …っと、やばっ。あ~、腰も肩も痛い…。凝ったなー」
立ち上がって伸び上がったり、腰を捻ったりしてストレッチすると、ゴキッと関節が鳴って呻き声が出てしまった。慌てて口を押さえて呟いた。
『大丈夫?』
『どうしたの?』
『同じ姿勢だったから凝ったみたい。身体のあちこちが痛い』
テトは肩に乗って、ゼファーは足にすり寄りながら心配そうに話しかけてきた。
『さて、次は朝食作りだ』
『まだ働くの~?』
『ルーは休まないの?』
『うん。やる事やってしまわないとね』
『なに作るの?』
『昨日のビッグボアを使おうかと。せっかく手に入った食材だしね』
小屋の中にある台所へと向かいながら2体と会話を続ける。
台所は必要最低限しか設備が無かった。と言うか、あるだけで使った形跡がないのかボロボロで壊れそう。そして汚い…。
まぁそれもそうか。
小屋を使うのは冒険者が多いだろう。冒険者はこういう場所では保存食なんかで済ませるから、わざわざ料理なんてしない。
せいぜい倒した魔獣の肉を焼いたり、飲み物を温めたりするくらいだろう。
だから台所なんて使わない。
「……こんな所で作ったら雑菌まみれで、食べたらお腹壊しそう…」
思ったことがついポロッと零れてしまった。だってこんなの見たら絶対げんなりすると思うな。
そんなものを僕は食べたくないし、皆にも食べさせたくない。
仕方がないので暖炉まで引き返して、そこで調理することにした。
《無限収納》から野営用に準備しておいた料理器具を一通り取り出していく。
暖炉には鍋などを吊るせるようにフックのようなものが取り付けられていた。他にもY字型の木の枝が両端に刺さっている。
『ここで作りますか』
指抜きグローブを外して腕捲りをして、気合いを入れる。なんと言っても人数が多いからね。
手を生活魔法で綺麗に洗浄してから準備に取りかかる。
今度は竹じゃなくて輪切りにした木と、加工用の小型ナイフを《無限収納》から取り出していく。
『ルー、なにするの?』
『うん? 皆の食器を作ろうかな~と思って』
『さっき竹っていうので作ってのに、まだ作るの?』
テトはさっき僕が見せた竹細工…と言って良いか怪しいくらい簡素な、竹で作った食器をちゃんと覚えていたようで不思議に思ったらしい。
『さっきのは器のほうね。今度はスプーンやフォークのほう』
『持ってなかったの?』
『分からない。聞いてなかったんだよね。だから一応準備しておこうかと思ってさ』
『ふーん』
棒状に切り出した木をスプーンやフォークに見えるようにナイフで削って、それらしく加工していく。
うーん、普段こんな木材加工なんてしないからなぁ~。………不格好なのはご愛嬌って事で勘弁してください。
削った時に出た木屑は後で使えるから適当な袋に入れて《無限収納》へ。
出来上がったものを並べて見るけれど…見事に歪なのばっかりだな~。
『なんかヘタっぴだね』
『うん、なんか変』
『うっぐ! ……わ、わかってるよ』
指摘されてしまった。いや、確かに自分でも分かってたよ。でも言われるとくるものがあるよね。
『街に着いたら買うから良いよ』
『じゃあなんで作ってるの?』
『……それまでの凌ぎだよ』
作ったものも一緒に《無限収納》へとしまう。
慣れない木材加工に手間取ったこともあって、思ったよりも時間が経っていたみたいだ。窓に目を向けると外の景色がいつの間にか変わっていて、空が白み始めていた。
皆が起きる前に朝食の支度を始めないといけないな。
昨夜はたいしたものを食べられなかったから、朝食は温かいものを食べさせたい。まずはちゃんと栄養のある食事をとることが大事だ。
「ん~~……っだ!? …っと、やばっ。あ~、腰も肩も痛い…。凝ったなー」
立ち上がって伸び上がったり、腰を捻ったりしてストレッチすると、ゴキッと関節が鳴って呻き声が出てしまった。慌てて口を押さえて呟いた。
『大丈夫?』
『どうしたの?』
『同じ姿勢だったから凝ったみたい。身体のあちこちが痛い』
テトは肩に乗って、ゼファーは足にすり寄りながら心配そうに話しかけてきた。
『さて、次は朝食作りだ』
『まだ働くの~?』
『ルーは休まないの?』
『うん。やる事やってしまわないとね』
『なに作るの?』
『昨日のビッグボアを使おうかと。せっかく手に入った食材だしね』
小屋の中にある台所へと向かいながら2体と会話を続ける。
台所は必要最低限しか設備が無かった。と言うか、あるだけで使った形跡がないのかボロボロで壊れそう。そして汚い…。
まぁそれもそうか。
小屋を使うのは冒険者が多いだろう。冒険者はこういう場所では保存食なんかで済ませるから、わざわざ料理なんてしない。
せいぜい倒した魔獣の肉を焼いたり、飲み物を温めたりするくらいだろう。
だから台所なんて使わない。
「……こんな所で作ったら雑菌まみれで、食べたらお腹壊しそう…」
思ったことがついポロッと零れてしまった。だってこんなの見たら絶対げんなりすると思うな。
そんなものを僕は食べたくないし、皆にも食べさせたくない。
仕方がないので暖炉まで引き返して、そこで調理することにした。
《無限収納》から野営用に準備しておいた料理器具を一通り取り出していく。
暖炉には鍋などを吊るせるようにフックのようなものが取り付けられていた。他にもY字型の木の枝が両端に刺さっている。
『ここで作りますか』
指抜きグローブを外して腕捲りをして、気合いを入れる。なんと言っても人数が多いからね。
手を生活魔法で綺麗に洗浄してから準備に取りかかる。
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