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21.バレてました
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扉を閉めると寄りかかってズルズルとしゃがみ込む。なんだかどっと疲れたな…。
思わず肺の空気を全部吐き出すかのように溜め息をつく。
「はぁ~…」
「おかえりなさい。随分とお疲れみたいですね、ルーティス君?」
「ルーティス君、こんな時間に何してたんだい?」
「っ!?」
僕以外は眠っているはずで、だから他の人の声が聞こえるわけが無くて…。でも背後から聞こえた声は、聞き間違いでなければ樹と朔弥だ。
油を注してない歯車のようにギギギとぎこちなく振り向くと、予想通りに樹と朔弥が仁王立ちで待ち構えていた。
『ごめんね、ルー。念話が切れたすぐ後に起きちゃったみたいなの。念話する前にルー達も来ちゃったから…』
『うん、仕方ないよ』
身体をよじ登り肩まで上がってきたテトが、念話で申し訳なさそうに事のあらましを教えてくれる。さすがに2人が居る前で会話するわけにもいかず、返事は念話で済ませた。
「やぁ、イツキ、サクヤ。まだ外は暗いよ、起きるのは早いんじゃないかな」
「その時間にいったい何をしてたのか、説明してくれます?」
「ルーティス君、さっき誰かと話してなかったかい? 話し声が聞こえたんだよね」
樹の目が怖い。笑ってないよ。ゴゴゴ…って効果音が聞こえてきそうな雰囲気を醸し出している。
朔弥も、さっきの聞かれてた? 起きてたんだね…はは。あー…独り言って誤魔化す? それも変だよね~。
「それにそのモモンガ? ムササビ? は何ですか? いつの間にか小屋の中に居ましたが、危険じゃないんですよね?」
「キミと一緒に入ってきた大きな猫もね。…猫で合ってるよね?」
質問攻めにされてる~。いや分かるよ、分かるんだけど、ちょっと待ってほしいな。
僕だって落ち着きたいんだよ。
そういえばゼファーは背中に乗る時に元の大きさに戻ったんだっけ…。そりゃ大きいよね~、小さくさせるの忘れてたよ。
寄り添うゼファーとテトを両手で撫でながら、どう話そうか必死に考える。
「「ルーティス君?」」
2人に詰め寄られて身体を引こうとしたけど、小屋に入ったばかりで扉に引っ付いた状態だから逃げ場が無いのを忘れていた。
「あー…あの、ね? 説明は、する。でもどうせなら全員揃った状態でしたいから明日…いや、もう今日だね。今日、皆が起きたら説明するよ」
同じ説明を何度もするのは正直、嫌だし遠慮したい。
それに僕自身、どう話すかちゃんと考えておきたい。だから言い方は悪いけれど、時間稼ぎが必要だった。
「本当ですね?」
「約束だよ」
「はい……」
言質をとって安心したのか、やっと離れてくれた。
でも聞かれてたか~…この際だから、従魔についても話しておくべき? 何がいるかは別としても、契約についてとかくらいは…。
でも他にも教えなきゃいけないことはたくさんある。一度に詰め込んで大丈夫か?
何をどこまで話すのか、ちゃんと決めておかないといけないな~…。
「ところでルーティス君は本当にずっと起きていたんですか?」
「起きてたけど。それよりイツキ、また敬語に戻ってる」
樹は気を抜くと普段の口調に戻ってしまうみたいだ。教師だった時の職業病みたいなものかな?
「あぁ、すみません。つい癖で…。努力はして…る」
「ははっ。実際、敬語のほうが慣れてるって人もいるけどね。ただの平民では注意を引くかもしれないから気を付けてってこと」
そう言うと樹はコクンと頷いた。まぁ、何事も慣れだよね。
「ルーティス君は最初と印象が変わったよね」
「そう?」
「あぁ。最初は丁寧な口調で優しい感じがしたけど、今は…ちょっとぶっきらぼうな時があるからさ」
「………さっきも言ったけど、こっちが素だから」
朔弥は結構ズバッと言うタイプなんだな。もしかして男兄弟がいたのかも。
ぶっきらぼうか、普段の僕はぶっきらぼうなんだな。表情とか?
「ルーティス君はなにをしてたんだい?」
「色々」
「例えばどんなの?」
「ビッグボアを解体して、竹を取りに行って、魔獣を回収しに行ってきた」
「結構してるんじゃないか…」
「まぁそれなりに」
朔弥から繰り出される質問に次々と答えていく。僕がやってたことを聞き出すと、若干引いている。いや、聞いたのは君だからね? 僕はそれに答えただけ。
でもテトとゼファーや会話のことには触れてこない。後で皆に説明すると言ったから我慢しているんだろうな。
「疲れない…の?」
「大丈夫」
ずっと起きていたと言ったし、僕がしてたことを言ったから樹が心配そうに聞いてきた。
地球から来た皆よりは頑丈に出来てると思うけどね、僕の身体は。…まぁ確かに眠いけどさ。
「僕のことより2人こそ寝なよ」
「でも」
「大丈夫、寝て良いよ」
「僕だけでも起きてようか?」
「良いから寝なってば」
尚も渋る2人をクルンと半回転させて、背中を押して暖炉の前まで無理矢理連れていく。
「僕は冒険者だ。小屋どころか野営で過ごすことも多いから慣れてる。気にしなくて良い」
「それじゃお言葉に甘えて…」
樹は大人しく言うことを聞くようにしたみたいだ。このまま話していてもお互いの言い分は変わらないだろう。
「話相手が必要になったら起こして良いからね」
「サクヤ、大丈夫だから君は寝なさい」
「はいはい、おやすみ」
「おやすみ、サクヤ、イツキ」
対して朔弥は悪戯を企んでる子供のような顔で「起こして良い」と言う。
話相手ならテトとゼファーがいるし、疲れてる人をわざわざ起こしたりなんてしないのに。
思わず肺の空気を全部吐き出すかのように溜め息をつく。
「はぁ~…」
「おかえりなさい。随分とお疲れみたいですね、ルーティス君?」
「ルーティス君、こんな時間に何してたんだい?」
「っ!?」
僕以外は眠っているはずで、だから他の人の声が聞こえるわけが無くて…。でも背後から聞こえた声は、聞き間違いでなければ樹と朔弥だ。
油を注してない歯車のようにギギギとぎこちなく振り向くと、予想通りに樹と朔弥が仁王立ちで待ち構えていた。
『ごめんね、ルー。念話が切れたすぐ後に起きちゃったみたいなの。念話する前にルー達も来ちゃったから…』
『うん、仕方ないよ』
身体をよじ登り肩まで上がってきたテトが、念話で申し訳なさそうに事のあらましを教えてくれる。さすがに2人が居る前で会話するわけにもいかず、返事は念話で済ませた。
「やぁ、イツキ、サクヤ。まだ外は暗いよ、起きるのは早いんじゃないかな」
「その時間にいったい何をしてたのか、説明してくれます?」
「ルーティス君、さっき誰かと話してなかったかい? 話し声が聞こえたんだよね」
樹の目が怖い。笑ってないよ。ゴゴゴ…って効果音が聞こえてきそうな雰囲気を醸し出している。
朔弥も、さっきの聞かれてた? 起きてたんだね…はは。あー…独り言って誤魔化す? それも変だよね~。
「それにそのモモンガ? ムササビ? は何ですか? いつの間にか小屋の中に居ましたが、危険じゃないんですよね?」
「キミと一緒に入ってきた大きな猫もね。…猫で合ってるよね?」
質問攻めにされてる~。いや分かるよ、分かるんだけど、ちょっと待ってほしいな。
僕だって落ち着きたいんだよ。
そういえばゼファーは背中に乗る時に元の大きさに戻ったんだっけ…。そりゃ大きいよね~、小さくさせるの忘れてたよ。
寄り添うゼファーとテトを両手で撫でながら、どう話そうか必死に考える。
「「ルーティス君?」」
2人に詰め寄られて身体を引こうとしたけど、小屋に入ったばかりで扉に引っ付いた状態だから逃げ場が無いのを忘れていた。
「あー…あの、ね? 説明は、する。でもどうせなら全員揃った状態でしたいから明日…いや、もう今日だね。今日、皆が起きたら説明するよ」
同じ説明を何度もするのは正直、嫌だし遠慮したい。
それに僕自身、どう話すかちゃんと考えておきたい。だから言い方は悪いけれど、時間稼ぎが必要だった。
「本当ですね?」
「約束だよ」
「はい……」
言質をとって安心したのか、やっと離れてくれた。
でも聞かれてたか~…この際だから、従魔についても話しておくべき? 何がいるかは別としても、契約についてとかくらいは…。
でも他にも教えなきゃいけないことはたくさんある。一度に詰め込んで大丈夫か?
何をどこまで話すのか、ちゃんと決めておかないといけないな~…。
「ところでルーティス君は本当にずっと起きていたんですか?」
「起きてたけど。それよりイツキ、また敬語に戻ってる」
樹は気を抜くと普段の口調に戻ってしまうみたいだ。教師だった時の職業病みたいなものかな?
「あぁ、すみません。つい癖で…。努力はして…る」
「ははっ。実際、敬語のほうが慣れてるって人もいるけどね。ただの平民では注意を引くかもしれないから気を付けてってこと」
そう言うと樹はコクンと頷いた。まぁ、何事も慣れだよね。
「ルーティス君は最初と印象が変わったよね」
「そう?」
「あぁ。最初は丁寧な口調で優しい感じがしたけど、今は…ちょっとぶっきらぼうな時があるからさ」
「………さっきも言ったけど、こっちが素だから」
朔弥は結構ズバッと言うタイプなんだな。もしかして男兄弟がいたのかも。
ぶっきらぼうか、普段の僕はぶっきらぼうなんだな。表情とか?
「ルーティス君はなにをしてたんだい?」
「色々」
「例えばどんなの?」
「ビッグボアを解体して、竹を取りに行って、魔獣を回収しに行ってきた」
「結構してるんじゃないか…」
「まぁそれなりに」
朔弥から繰り出される質問に次々と答えていく。僕がやってたことを聞き出すと、若干引いている。いや、聞いたのは君だからね? 僕はそれに答えただけ。
でもテトとゼファーや会話のことには触れてこない。後で皆に説明すると言ったから我慢しているんだろうな。
「疲れない…の?」
「大丈夫」
ずっと起きていたと言ったし、僕がしてたことを言ったから樹が心配そうに聞いてきた。
地球から来た皆よりは頑丈に出来てると思うけどね、僕の身体は。…まぁ確かに眠いけどさ。
「僕のことより2人こそ寝なよ」
「でも」
「大丈夫、寝て良いよ」
「僕だけでも起きてようか?」
「良いから寝なってば」
尚も渋る2人をクルンと半回転させて、背中を押して暖炉の前まで無理矢理連れていく。
「僕は冒険者だ。小屋どころか野営で過ごすことも多いから慣れてる。気にしなくて良い」
「それじゃお言葉に甘えて…」
樹は大人しく言うことを聞くようにしたみたいだ。このまま話していてもお互いの言い分は変わらないだろう。
「話相手が必要になったら起こして良いからね」
「サクヤ、大丈夫だから君は寝なさい」
「はいはい、おやすみ」
「おやすみ、サクヤ、イツキ」
対して朔弥は悪戯を企んでる子供のような顔で「起こして良い」と言う。
話相手ならテトとゼファーがいるし、疲れてる人をわざわざ起こしたりなんてしないのに。
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