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18.スライムは有能です
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あぁそうだ、どうせなら血と取り出した内臓と血の混じった水を処分してしまおうか。
………後回しにすると、うっかり忘れそうだしな…はは。その為の適任者を喚び出そうかな。
「おいで――ウルル」
僕の足下からプニプニとしたグミのようなものがゆっくりと姿を見せる。
異世界ファンタジーの定番のひとつ、スライムだ。スライムは言語を持たないから念話も使えない。けれど喜怒哀楽といった感情くらいは伝えてくれる。
久しぶりに会えたのが嬉しいのか僕の足にまとわりついてくる。犬が尻尾を振ったり猫が身体をすり寄らせるのと同じ愛情表現だろう。
「久しぶりだね、ウルル」
抱き上げると自分の身体? を触手のように細く長く伸ばして僕の手の甲をスリスリとしてきた。
なんか可愛いな。スライムが可愛いって思うのも可笑しいかもしれないけどね。愛着があるからかな。
「頼みがあるんだけど、聞いてくれる?」
視覚があるか分からないけど、目線を合わせて問いかけると身体が上下に震える。
これは「良いよ」って事みたいなんだよね。
「この中の物を食べて欲しいんだ。ついでにこの水も」
内臓と水を入れた盥を指差して、更に手のひらに血の混じった水をふよふよと浮かせる。
ウルルは僕の手から降りて盥に入ると内臓と血を包み込み、体内では消化されるかのように次々と消えていく。
そこへ血の混じった水を注ぎ込むと、それも無くなっていく。
スライムは雑食……というか、そもそも食べるという表現も正しいのか? いや、それよりも取り込む…と言った方が正しいのかも?
序盤に出てくる雑魚モンスターで最弱のイメージが強いスライムだけど、実は有能だったりする。
確かに直接攻撃するのは得意ではないし、移動速度も物凄く遅い。
でも今のように本来なら穴を掘って埋めなければならない内臓なんかも、スライムにかかれば綺麗さっぱり無くなるから手間も省ける。
更にスライムは取り込んだ物に擬態することが可能である。まぁ、今回みたく解体したのは無理だけど。
完全な状態で食べさせれば、その対象にいつでも擬態が可能になるのだ。これって凄いことじゃなかろうか?
戦闘では戦力にならないが、だからと言って無能ではない。サポートに関して言えばかなり良いと思うんだけどな~。
「終わった? ありがとう、ウルル。お疲れ様」
盥が空になって汚れも綺麗に落ちている。ほらね、学習能力もあって賢いじゃないか。
「もうちょっと構ってあげたいけど、また今度ね」
そう言うとウルルは僕に寄ってきて、足にすり寄るようにした後で影に戻っていく。
今はまだ早い。まだ来たばかりで落ち着けていない。今のままでは従魔達に怯えてしまう。
それでは皆にとっても従魔達にとっても、そして僕にとっても良くない。
皆がこちらの世界に慣れてきたら従魔達を紹介したいと思っている。そうすれば普通に出したままの状態で過ごせるかもしれない。
背伸びをして深呼吸をして気持ちと頭の整理をする。
ビッグボアの周りと小屋に張った結界を解除してから、なるべく音がしないように気を付けてドアを開けて身体を滑り込ませて後ろ手でドアを閉めた。
「皆はぐっすり眠ってるみたいだな。……ふぁ…、人が寝てるの見ると眠気が移るよね」
暖炉の近くで眠る皆の顔を見ると思わず欠伸が出てしまった。誰に言うでもなく呟いた。小声だし眠ってるから当然、誰からも返事は無い。
食材探しに行ったテトとゼファーもまだ帰ってこないし、睡魔が襲ってきたら寝ちゃいそうだ…。
………後回しにすると、うっかり忘れそうだしな…はは。その為の適任者を喚び出そうかな。
「おいで――ウルル」
僕の足下からプニプニとしたグミのようなものがゆっくりと姿を見せる。
異世界ファンタジーの定番のひとつ、スライムだ。スライムは言語を持たないから念話も使えない。けれど喜怒哀楽といった感情くらいは伝えてくれる。
久しぶりに会えたのが嬉しいのか僕の足にまとわりついてくる。犬が尻尾を振ったり猫が身体をすり寄らせるのと同じ愛情表現だろう。
「久しぶりだね、ウルル」
抱き上げると自分の身体? を触手のように細く長く伸ばして僕の手の甲をスリスリとしてきた。
なんか可愛いな。スライムが可愛いって思うのも可笑しいかもしれないけどね。愛着があるからかな。
「頼みがあるんだけど、聞いてくれる?」
視覚があるか分からないけど、目線を合わせて問いかけると身体が上下に震える。
これは「良いよ」って事みたいなんだよね。
「この中の物を食べて欲しいんだ。ついでにこの水も」
内臓と水を入れた盥を指差して、更に手のひらに血の混じった水をふよふよと浮かせる。
ウルルは僕の手から降りて盥に入ると内臓と血を包み込み、体内では消化されるかのように次々と消えていく。
そこへ血の混じった水を注ぎ込むと、それも無くなっていく。
スライムは雑食……というか、そもそも食べるという表現も正しいのか? いや、それよりも取り込む…と言った方が正しいのかも?
序盤に出てくる雑魚モンスターで最弱のイメージが強いスライムだけど、実は有能だったりする。
確かに直接攻撃するのは得意ではないし、移動速度も物凄く遅い。
でも今のように本来なら穴を掘って埋めなければならない内臓なんかも、スライムにかかれば綺麗さっぱり無くなるから手間も省ける。
更にスライムは取り込んだ物に擬態することが可能である。まぁ、今回みたく解体したのは無理だけど。
完全な状態で食べさせれば、その対象にいつでも擬態が可能になるのだ。これって凄いことじゃなかろうか?
戦闘では戦力にならないが、だからと言って無能ではない。サポートに関して言えばかなり良いと思うんだけどな~。
「終わった? ありがとう、ウルル。お疲れ様」
盥が空になって汚れも綺麗に落ちている。ほらね、学習能力もあって賢いじゃないか。
「もうちょっと構ってあげたいけど、また今度ね」
そう言うとウルルは僕に寄ってきて、足にすり寄るようにした後で影に戻っていく。
今はまだ早い。まだ来たばかりで落ち着けていない。今のままでは従魔達に怯えてしまう。
それでは皆にとっても従魔達にとっても、そして僕にとっても良くない。
皆がこちらの世界に慣れてきたら従魔達を紹介したいと思っている。そうすれば普通に出したままの状態で過ごせるかもしれない。
背伸びをして深呼吸をして気持ちと頭の整理をする。
ビッグボアの周りと小屋に張った結界を解除してから、なるべく音がしないように気を付けてドアを開けて身体を滑り込ませて後ろ手でドアを閉めた。
「皆はぐっすり眠ってるみたいだな。……ふぁ…、人が寝てるの見ると眠気が移るよね」
暖炉の近くで眠る皆の顔を見ると思わず欠伸が出てしまった。誰に言うでもなく呟いた。小声だし眠ってるから当然、誰からも返事は無い。
食材探しに行ったテトとゼファーもまだ帰ってこないし、睡魔が襲ってきたら寝ちゃいそうだ…。
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