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7.ステータスとスキルの説明

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ヤンキー君の名前を剛紀→剛磨ごうまに変えます。
兄妹の名前の終わりを同じ音にしたくて考えたのに、他人も同じ音で終わっていたことに気付きまして(遅いですが)
智貴のキ、沙貴のキ、剛紀のキ……剛紀は違う!と。
なので、前回に名前が出たばかりの彼には早速ですが改名してもらいます!

剛「聞いてねぇ!」
作「今言ったし」
剛「横暴だ!」
作「聞こえません」
剛「聞けよ、てめぇ作者ゴラァ!」
作「では続きをどうぞ~」
剛「無視すんな、ずりぃぞ!聞けっての!」
作「しつからすね」
剛「…………は?」

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 さて、次にするべきことはステータスの確認かな? どんなスキルがあるか把握しておかないといけないし。
 あとは装備と……服、だよね。彼らの格好って目立つよね?
 学生服にスーツ、私服でもこちらの世界にはないようなものばかりだし……。うん、確実に目立つだろ。
 適当な服を用意してくれてるといいんだけどな。

「まずはステータスの確認しとこうか」
「どうやって?」
「? …ステータスを開いて」
「だから、どうやって?」

 そこからか~! そういえば、一般常識がまだ無いんだった。
 でもライトノベルのファンタジーとか異世界転生・転移、勇者召喚系を好んで読むなら気付くはず……あ、やっぱりね。「ステータスじゃね?」とか言ってもう見てるみたいだ。
 解らなかったのは雅と皐月と剛磨の3人だけか。意外なのは剛磨が解らなくて賢士が解ったこと……いや、剛磨が解らないのは本を読まないからだろうな、多分。
 賢士って実はライトノベルをかなり読むのかな? なんとなくだけど、学生組に混じって嬉しそうな顔してるよね。 

「《ステータス》って唱えれば半透明のウィンドウ画面が出るよ」
「ス、《ステータス》…?」
「おぉ、出た!」

 驚いてるけど同時に楽しそうだよね。まぁ、こちらの世界で暮らしていく以上は、嫌々よりは楽しんでもらえたほうが僕としても嬉しいけど。

「共通のスキルは言語理解、アイテムボックス、生活魔法、鑑定、地図。そのほかは向こうでの生活が反映されたものが与えられているはずだよ」
「言語理解っていうのは?」
「僕と言葉が通じてるでしょ?」

 雅からの質問に対して僕は簡潔に答える。
 
「あ、なーる。じゃあアイテムボックスってのは容量無限で時間停止機能付き?」
「残念。容量は部屋ひとつ分くらいで、時間は経過が遅くなるだけ」
「なーんだ」
「【アイテムボックス】を開いて手を入れるとリストが出るから、そこから出し入れしてね」
「オッケー」

 智貴は本もゲームもしてたからか順応が早いね。でもアイテムボックスにそこまで便利機能は無いよ。

「鑑定はさっき言ってたやつだよな?」
「うん、そう。ただし個人差があるけど」
「個人差?」
「もともとの見極める能力次第だから」
「そっか。じゃあ地図は?」
「オートマッピング機能付きで、一度行ったことのある場所を表示できる。【地図マップ】で表示ね」
「ん、了解」

 拓人も智貴と一緒にゲームしてたから、少ない説明で解ったみたいだ。

「じゃあ生活魔法っていうのは?」
「日常生活で役立つ魔法。消費魔力が少なくて誰でも扱えるから、物心がついた頃から覚えさせるかな。魔法の練習として最適だから、10歳未満でもある程度使える」
「なるほど。なら僕達はまず生活魔法からってことかな?」
「そうなるね。その前に魔力を感じ取るところからだけど、なんとかなるでしょ」
「なんとか…ね。まぁ、君に任せるよ」

 朔弥は魔法に興味あり……って、当然かな。元いた世界には無いものだしね。

「ところでアイテムボックスの中には何が入っていた?」
「【アイテムボックス】……えーっと、直前に持ってた鞄がそのままと武器? と着替えが数着と靴、水とドライフルーツ、あとはマントで……かな?」

 です。って言おうとしてわざわざ言い直したんだ。
 樹がアイテムボックスを開いてひとつひとつ確認しながら読み上げていく。
 良かった、着替えに靴と武器は用意してくれていたみたいだ。
 これで目立たなくて済むよ。大勢ってだけでも目立つだろうに見慣れない服じゃ悪目立ちしちゃうからね。
 それにマントは用途が幅広くて便利だよね。防寒に雨具代わり、日除けに野営の時は毛布代わりにもなる。

「なら、明日は小屋を出る前にその服に着替えてね」
「今着てるのはダメなの?」
「今着てるのはこちらからすれば異世界の服だから。かなり目立つと思うけど?」
「うぅ、わかった。この服はどうしたらいい?」
「アイテムボックスに入れておけば? 誰にも見られないんだし」
「それもそっか」

 そんな悲しそうな顔されると僕がいじめてるみたいじゃないか……。勘弁してよ、もう。

「あ、そういえば!」
「ッ…!? なに?」

 智貴が急に大声を出すから思わず肩がビクッとしちゃったよ。ちょっと恥ずかしい…。

「あ、ごめん」
「いや、良いけど…」

 謝られると余計恥ずかしいからやめて!

「いやさ、会った時に大きな猪を倒してたじゃん? あれさ、消えたけど…あれもアイテムボックスに入ったの?」

 あ~そうだった。皆の目の前で《無限収納インベントリ》に入れたんだった!
 ちょうど良いや。そっちはこのまま内緒にして【アイテムボックス】ってことにしてしまおう。
 実際どっちも使えるから嘘はついていないし。

「そう。生き物はダメだけど、死骸は入れられるから。持ち歩くのは無理があるし」
「重いから?」
「それもあるけど、血の匂いに釣られて追い掛けてくるから」
「血の匂い…」
「ただの動物ならまだマシだけど、魔獣だと面倒なんだよ」
「そういえば、地面も汚れを消してたっけ」
「それも同じ理由」

 あちゃー、せっかく良くなった雰囲気がまた悪くなっちゃったよ。ちょっと皆にはグロテスクだったかな?
 小さい動物なら運悪く車道に出たところをかれたのを見たことあるかもしれないけど、さすがにビッグボアほどのサイズは……ないよね。
 そこらへんは街に向かう道中で野営もすることだし、説明しながら経験してもらいますか。
 なんにせよ、こちらの世界には慣れてもらわなきゃいけないからね。

「そのほかのスキルって剣術とか?」
「うん、武術経験者は戦闘スキル。物作りしてた人は生産スキル。それ以外にも料理とか、掃除や洗濯をひっくるめて家事とか、算術とかね」

 地球での経験は少なからずこちらにも通じるだろうし、スキルにも繋がると思うんだよね。

「料理に家事に算術? そんなのもスキルになるの?」
「なるよ~」
「何に役立つの?」
「料理や家事はメイド、算術は商売とか」

 雅は意外そうに言うけれど、何も戦闘や生産に役立つものだけがスキルという訳じゃない。
 ペットを飼った経験があれば調教、馬に乗った経験があれば馬術、話術が得意なら交渉、モノマネが得意なら声帯模写などなど、上げればキリがないと思うけれど。

 皆は自分達のスキルについて夢中になってるみたいだから、僕はなんとなく窓の方へ視線を向けると、いつの間にか窓から見える景色はすっかり夜のとばりが下りていた。
 残念ながら樹木じゅもくが天高く伸びているせいで星空が見えないけれど。
 随分と話し込んでいたみたいだな~。そろそろ明日のためにも寝た方が良いだろう。

「皆、もう夜も遅いし寝たら? 明日も歩くんだし。火の番は僕がするからさ」
「……にしてもスゴい変わり様…」
「こっちが素だからね」
「さいですか」

 僕がタメ口なのがそんなに気になるかな? こっちの方が楽でいいんだけどな。

「ほらほら早く寝て」
「わかったよ。じゃあ、あとはよろしく」
「ああ、おやすみ。それと、皆が寝てる間に鑑定するから」
「「「りょ~か~い」」」

 それぞれ毛布を被って目を閉じるとすぐに寝息が聞こえだした。
 やっぱり疲れてるよね。いきなり異世界でビッグボアに襲われかけて、慣れない森の中を歩いて。
 小屋に着いても雑魚寝ざこね状態だし。
 せめてゆっくり休んでね。
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