まだ見ぬ未来へ駆け抜けて!

小林汐希

文字の大きさ
40 / 170
10章 相合傘と家庭訪問

第39話 お母さんの言葉の意味…

しおりを挟む



 先ほどよりも落ち着いているけれど、まだ小降りの雨が続く中、私の家までの道を二人で同じ傘に入って歩く。

「道まだ覚えてます?」

「まだここに住んでいたんだ」

「私はあの当時と何も変わっていませんから」

 扉を開けて、お母さんが帰っていることを確認する。

「お母さんごめん、バスタオルを出してあげて?」

「花菜、どうしたの? まぁ……! 啓太くん? 入って入って!」

 お母さんは先生を見てすぐにそれが誰だか分かったようだった。これなら話が早い。

「花菜、お湯のスイッチ入れたから、啓太くんにシャワー使わせて。花菜も着替えちゃいなさい」

 玄関のドアさえ閉めてしまえば、昔と変わらない。

「ほら、風邪ひくから濡れたものは脱いじゃって。シャワーで暖まってね。洗濯物はなんとかするから」

 最初は遠慮がちだった先生も、お母さんに言われたとおりに浴室に消えた。

「花菜、啓太くんのズボンはアイロンで乾かしちゃいな。下着と靴下はお父さんのが新品で残っていたはずだから、それ出してくるから」

 言われたとおり、先生のズボンとワイシャツを受け取ってアイロンがけで乾かす。

 これをハンガーに吊るして扇風機で風を当てておけば大丈夫だ。

「松本、悪いな」

「先生、外じゃないんだから安心してください」

「おまえだって先生呼びだろ」

 思わず二人で顔を見合わせて笑ってしまう。

「下着類は洗っておきますね。月曜日に職員室にお持ちします。分からないようにしますから安心してください」

「悪いな」

 私の制服までアイロンがけが終わる頃には、お母さんが三人分の夕ご飯を作ってくれていた。

「ご飯まで、悪いですよ」

「どうせひとり暮らしで栄養が偏っているだろうから、食べて行きなさい。今度から花菜にお弁当作らせて持っていかせるからね」

「えぇっ?!」

「どうせ作るなら二人も三人も一緒。それに予行練習にもなるでしょ」

 言い返せる言葉もなく、三人で食卓を囲んだ。

「どう? 花菜はクラスで足を引っ張ってない?」

「逆によく頑張ってます。忙しいのにあれだけの成績を維持してるので。夜更かしとか体の方が心配なときもありますよ」

 あまり外で日焼けをすることも、スポーツもしなくなって、同時に体も弱くなってしまったようには感じている。

「無理するなとは学校でも言っているんですけどね」

 先生が私のことを他の子に気づかれない程度に気にしてくれていることも感じていた。でも、まだ1学期は今の関係に戻っていなかったから……。

「啓太くんが見ていてくれた頃とは少し変わってしまったところもあるけど……。花菜のこと、これからもお願いできる?」

「分かりました」

「よかった。これでお母さんも何があっても大丈夫だぁ」

「えっ? そっちの意味で?」

 二人で思わず顔を見合わせる。

「そうよ。だってお母さん、昔から啓太くん以外に花菜の将来を頼めるとは思っていなかったもの。こうして見ると、二人ともあの当時に戻っているみたいで安心した。だからお願いね」

 お母さんは明日もお仕事だと言うので、先に休んでもらうことにした。

 食卓を片付けて食器まで洗い終わると、時刻は夜9時を過ぎていた。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

『お兄ちゃんのオタクを卒業させてみせるんだからね❤ ~ブラコン妹と幼馴染オタク姫の果てしなき戦い~』

本能寺から始める常陸之介寛浩
青春
「大好きなはずなのに……! 兄の『推し活』が止まらない!?」 かつて、私は信じていた。 優しくて、頼もしくて、ちょっと恥ずかしがり屋な── そんな普通のお兄ちゃんを。 でも── 中学卒業の春、 帰ってきた幼馴染みの“オタク姫”に染められて、 私のお兄ちゃんは**「推し活命」**な存在になってしまった! 家では「戦利品だー!」と絶叫し、 年末には「聖戦(コミケ)」に旅立ち、 さらには幼馴染みと「同人誌合宿」まで!? ……ちがう。 こんなの、私の知ってるお兄ちゃんじゃない! たとえ、世界中がオタクを称えたって、 私は、絶対に── お兄ちゃんを“元に戻して”みせる! これは、 ブラコン妹と 中二病オタク姫が、 一人の「兄」をめぐって 全力でぶつかり合う、果てしなき戦いの物語──! そしていつしか、 誰も予想できなかった 本当の「大好き」のカタチを探す、 壮大な青春ストーリーへと変わっていく──。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

思い出さなければ良かったのに

田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。 大事なことを忘れたまま。 *本編完結済。不定期で番外編を更新中です。

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

学園のアイドルに、俺の部屋のギャル地縛霊がちょっかいを出すから話がややこしくなる。

たかなしポン太
青春
【第1回ノベルピアWEB小説コンテスト中間選考通過作品】 『み、見えるの?』 「見えるかと言われると……ギリ見えない……」 『ふぇっ? ちょっ、ちょっと! どこ見てんのよ!』  ◆◆◆  仏教系学園の高校に通う霊能者、尚也。  劣悪な環境での寮生活を1年間終えたあと、2年生から念願のアパート暮らしを始めることになった。  ところが入居予定のアパートの部屋に行ってみると……そこにはセーラー服を着たギャル地縛霊、りんが住み着いていた。  後悔の念が強すぎて、この世に魂が残ってしまったりん。  尚也はそんなりんを無事に成仏させるため、りんと共同生活をすることを決意する。    また新学期の学校では、尚也は学園のアイドルこと花宮琴葉と同じクラスで席も近くなった。  尚也は1年生の時、たまたま琴葉が困っていた時に助けてあげたことがあるのだが……    霊能者の尚也、ギャル地縛霊のりん、学園のアイドル琴葉。  3人とその仲間たちが繰り広げる、ちょっと不思議な日常。  愉快で甘くて、ちょっと切ない、ライトファンタジーなラブコメディー! ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

処理中です...