恋の絆は虹の色 【妹でも恋していい?】

小林汐希

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【第1章】初めて、恋を始めます

16話 予定とは正反対の夕食時間

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 家に帰ると、お母さんは驚いた顔をして私たち二人を迎えてくれた。
 
 きっと、その話はお父さんにも伝わっていたのだろう。

 お客さんが切れたのを見計らって、お店を閉めてしまった。

 居間の方での夕食に準備をして、四人でテーブルを囲んだ。

「桜さんと交際をさせてください」

 お兄ちゃんは、横でカチカチになっている私とは違って、堂々と私の両親に頭を下げた。

 今年四月に十八歳になった私だから、もう法律的には何も問題はないことはみんな分かっている。

 それでも、これまで兄妹のように接してきた二人が、男女として交際していくならば、ちゃんと公表しておいた方がいいと思っていたようだ。

「桜はそれでいいのか?」

「うん。お兄ちゃん…ううん、秀一さんが好き」

 お父さんは、私たち二人を見て納得したように頷いた。

「秀一くん、桜をお願いするよ」

 私の頬を涙が伝う。


 叶わないと思っていた夢を追いかけていた日が終わった。


「桜、何を泣いてるの。お祝いじゃない! 秀一くん、お店からビール持ってきてくれる?」

 本当は私を慰めて元気づけるための食事だったはずなのに、まさか正反対の結果で帰ってきて、しかも公表までしてしまった。私の両親としても、驚くやら嬉しいやらだったようだ。


 お父さんはお兄ちゃんと一緒にお隣にいる。私はさっきと同じくお兄ちゃんのご両親にも頭を下げた。

『桜ちゃんじゃ秀一にはもったいなさ過ぎる!』

 ご挨拶に頭を下げた。こちらでも歓迎の上で了承された。


 だたし、その場で私たちには一つだけ約束をさせられた。

 私が高校をきちんと卒業すること。

 それが私たちが交際していく上での条件。その先は二人で決めて構わないと。

『孫の顔が見られるのはいつかねぇ』

 とんでもないことを言い出した酔っぱらいの相手をお兄ちゃんに任せて、私は自分の家に戻ってきたんだっけ。

「ただいまぁ」

 お母さんが食事の後片付けをしていた。

「おかえり。桜、よかったわね」

「うん。心配かけてごめんなさい」

 いつものとおり、客席のテーブルの片付けやフロアのモップ掛けをしてお店の戸締りも済ませる。

「でも、お母さんも正直安心した。桜が高校を卒業すれば、お父さんは結婚してもいいって前々から言ってたわよ」

「二人とも大変だよ。もう孫の話まで始めちゃって」

「お父さんたち、嬉しくて仕方ないのよ。うちと隣は、それぞれもう一人ずつ男の子と女の子が欲しかったんだから」

 もし本当にお兄ちゃんに妹がいたら、私はきっとこの日を迎えることは出来なかったかもしれない。本当に運命とは気まぐれなんだなって。

 部屋に上がると、窓越しにお兄ちゃんが見えた。

「まだお父さんいる?」

「しばらく続くんじゃないか? まぁ構わないけどさ」

 こんなとき、隣まで僅か数十センチの距離は有難い。

「お兄ちゃん……」

「なんだ?」

「今日はごめんなさい。助けに来てくれたとき、本当に嬉しかった。ありがとう」

「なんだ。怪我させちゃって、悪かったよ。もっと早く行ってやらなくちゃならなかったのに」

「ううん、もう痛くもなくなったから平気。また明日ね。おやすみなさい」

「おやすみ、桜」

「うん」

 私たちの長い一日はこうして終わった。
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