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【第9部〜巨人の王国編〜】
第28話 最終決戦④
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麻里奈は1人、走っていた。薄暗い地下迷宮は、下層に進むにつれて気温も下がり、寒さが体力を奪って行った。
地下迷宮は、楊と思しき部屋に、隠されていた入口から入れた。その入口は、自動書込地図のお陰で発見出来た。
「冷えるわね」
これが瑞稀であったなら、身体状態異常無効スキルが発動して、寒さを感じなくなるのだろうか?と思いを馳せた。
自動書込地図によって、下層に降りる階段も見つけられるし、少し入り組んでいるだけで罠も特に見当たらなかった。
下層に降りる階段も地図には載らなくなり、部屋が3つあるだけとなった。そのうちの1つに入ると、女性が1人全裸で拘束された状態でいるのが見えた。その女性は分娩台の様な物に、両足を広げたまま固定されていた。
近づくと、それはアシェラだと分かった。繰り返された強姦によって、憔悴しきっていた。
「瑞稀の母…。私のおばあちゃんであり、お母さんみたいなものよね?」
拘束を外そうとして近づくと、他の気配を感じた。
「それは俺の大切な女だ。連れて行ってもらっては困るな。それともここでお前も、俺と愉しむか?永遠に。アナトには断られたんでな、お前でそれを叶えるとしよう」
隣の部屋から現れた男が、ゆっくりと近づいて来た。
「お前が楊、ダゴン王なのか?」
「ほう?そこまで知っているのか、勉強熱心だな。ははははは…」
楊は笑いながら、麻里奈に近づいた。
『お前はここに来るまでに、力を使い果たしている。そうだな?』
「何?」
『疲労を感じ、実は立っているのも精一杯だ。違うか?』
「何を言って…!?」
急に疲れを感じると、立っていられなくなり、その場に崩れる様に座った。
「何なの一体…?」
『身体が疼いて仕方がない。そうだな?』
「…」
『身体の火照りを冷まして欲しいと願っているはずだ』
「何を…!」
楊が太腿を撫でながら、下着の上から秘部をなぞると既に濡れていた。
「あぁん…うっ」
クチュクチュと卑猥な音を立て、羞恥心で耳まで顔を赤く染めた。
「止め、止めて!」
『今お前は、今まで味わった事がない快楽を感じている。俺のモノが欲しいと叫びたくなる。挿入れて欲しいと懇願するのだ』
「だ、誰が…高さん愛してる…私は高さんを…ああっ…んっ」
麻里奈は愛しい高を思い浮かべて、必死に抗っていた。
「アナトに似て強情な女だ。だが、それも終わりだ。絶望に身を包ませるが良い」
そう言うと、室内に入って来た男がいた。その男は男女2人の生首を床に転がした。
「中々に手強い相手だった。なにせ真祖第3位階と、最強の男の2人が相手だったからな。流石の我輩も少々骨を折ったわ」
「ご苦労だったな」
楊がヴラドに声を掛けた。
「約束の報酬の方は?」
「焦るな、分かっている。案内しよう」
ヴラドは私を一瞥して聞いた。
「この女は良いのか?」
「ああ問題ない。俺のテクニックで絶頂に達して、当分は身動き出来ない」
「何がテクニックだ。お前の3枚舌でペテンにかけただけだろうが?」
ヴラドは私には興味無さそうにして、横を通り過ぎると、楊と退室して行った。
「クソっ!仇なんかにイカされて…。項羽、バートリも…ロード、皆んな…申し訳ない。未熟な私のせいで…」
麻里奈は天井を向いて涙を流した。
「高さん…貴方の事が好き…。大好きだったわ…ずっと一緒にこれから先も居られると思ってた。貴方以外には何も要らない。そんな気持ちにさせてくれた男…」
私の死を悼んでくれるかしら?涙を流し終わると、首を傾けて転がっている項羽とバートリの首を見た。
「麻里奈…」
さすが真祖である。バートリは首だけになっても、まだ生きていた。
「バートリ…ごめんね。私なんかの為に…。1つだけ、お願いしても良いかな?」
「何だ?」
「私の代わりに、高さんを、皆んなを生き返らせてと伝えてね…」
麻里奈は目を閉じると、これまでの人生が走馬灯の様に頭の中に描いては通り過ぎた。今では懐かしい想い出だ。
カッと目を見開いて呪文を唱えた。
『死者蘇生!!』
麻里奈は一瞬にして寿命が尽き、綺麗な黒髪が白髪となり、身体は灰となって崩れた。その灰の中から金色の炎が渦を巻き、その渦が速さを増すと黄金の炎の羽を持った鳥が現れた。更にその炎は人の形となり、現れたのは麻里奈と同じ姿をした女性であった。
空中からゆっくりと床に足を着けると、目を開いた。
「長い、長い夢を見ていたわ…」
そう言うと、自分の右手や左手を不思議そうに見つめていた。
「麻里奈?一体、どうしたのじゃ?」
麻里奈と声を掛けた相手は、怪訝な表情をして言った。
「麻里奈?そう…あの娘が私を生き返らせたのね?」
「麻里奈…じゃない?するとお前は…」
首だけとなったバートリも、意識が混濁し始めていた。
「頼む、皆んなを…皆んなを…」
「分かっているわ。生き返らせば良いのね」
死者蘇生呪文を唱えると、高が走って現れた。
「麻里奈!」
飛び付いて抱き締められたので違うと言うと、高は愛しい麻里奈と瑞稀との違いに気付き、涙を流した。
「麻里奈じゃない?では麻里奈は…」
「ごめんね。私は…寿命が尽きた者は、生き返らせる事が出来ないの」
私は、悔しそうな表情をして見せた。
(麻里奈、貴女の思いは繋いでみせる)
アシェラの拘束を外すと、楊が再び現れた。
「ほう?もう回復したのか。では今度は、俺の性奴隷にして動けなくしてやろう」
「ふん、もうお前のペテンにはかからない。種明かしされれば、お前の能力はただの嘘つきに過ぎない」
「こ、この俺様の無敵の問題能力を、ただの嘘つき呼ばわりしたな!許せん。お仕置きが必要だな?」
自分が負ける事など、微塵も思っていないらしい。
『練気剣』
気を練って剣を出すと、楊は笑った。
『そんなもので何がしたい?紙すら切れぬ鈍らが!』
「これが鈍らだと?」
私は「斬れぬ物は無い」と言い放ち、軽く練気剣を振ると、楊の右腕を斬り落としていた。
「ギャアァ!ば、馬鹿な…ぐおぉぉぉ…」
「お前のその能力は諸刃の剣。強い意志を持ち、マイナスでは無くプラスで物事を考えれば、私が弱体化する事は無い。そして、私は不老不死だ。もうお前の能力は私には通じない!」
楊が繰り出した攻撃を、由太后の影歩法で躱わして首を跳ねた。
「ようやく終わったわ…」
楊(ダゴン王)に嵌められて生命を落としたが、麻里奈が生命と引き換えに私を生き返らせた。
麻里奈が愛しい高だけでなく、自分の為に生命を落とした仲間達を生き返らせる唯一の方法として、己の身を捨てて私を生き返らせたのだ。
高は当然として、ロードやバートリ、項羽までもが麻里奈の死を深く悲しんで号泣していた。
「麻里奈、こんなにも皆んなに慕われていたのね?嬉しいわ…」
私は涙を流して、灰となった麻里奈に手を合わせた。
地下迷宮は、楊と思しき部屋に、隠されていた入口から入れた。その入口は、自動書込地図のお陰で発見出来た。
「冷えるわね」
これが瑞稀であったなら、身体状態異常無効スキルが発動して、寒さを感じなくなるのだろうか?と思いを馳せた。
自動書込地図によって、下層に降りる階段も見つけられるし、少し入り組んでいるだけで罠も特に見当たらなかった。
下層に降りる階段も地図には載らなくなり、部屋が3つあるだけとなった。そのうちの1つに入ると、女性が1人全裸で拘束された状態でいるのが見えた。その女性は分娩台の様な物に、両足を広げたまま固定されていた。
近づくと、それはアシェラだと分かった。繰り返された強姦によって、憔悴しきっていた。
「瑞稀の母…。私のおばあちゃんであり、お母さんみたいなものよね?」
拘束を外そうとして近づくと、他の気配を感じた。
「それは俺の大切な女だ。連れて行ってもらっては困るな。それともここでお前も、俺と愉しむか?永遠に。アナトには断られたんでな、お前でそれを叶えるとしよう」
隣の部屋から現れた男が、ゆっくりと近づいて来た。
「お前が楊、ダゴン王なのか?」
「ほう?そこまで知っているのか、勉強熱心だな。ははははは…」
楊は笑いながら、麻里奈に近づいた。
『お前はここに来るまでに、力を使い果たしている。そうだな?』
「何?」
『疲労を感じ、実は立っているのも精一杯だ。違うか?』
「何を言って…!?」
急に疲れを感じると、立っていられなくなり、その場に崩れる様に座った。
「何なの一体…?」
『身体が疼いて仕方がない。そうだな?』
「…」
『身体の火照りを冷まして欲しいと願っているはずだ』
「何を…!」
楊が太腿を撫でながら、下着の上から秘部をなぞると既に濡れていた。
「あぁん…うっ」
クチュクチュと卑猥な音を立て、羞恥心で耳まで顔を赤く染めた。
「止め、止めて!」
『今お前は、今まで味わった事がない快楽を感じている。俺のモノが欲しいと叫びたくなる。挿入れて欲しいと懇願するのだ』
「だ、誰が…高さん愛してる…私は高さんを…ああっ…んっ」
麻里奈は愛しい高を思い浮かべて、必死に抗っていた。
「アナトに似て強情な女だ。だが、それも終わりだ。絶望に身を包ませるが良い」
そう言うと、室内に入って来た男がいた。その男は男女2人の生首を床に転がした。
「中々に手強い相手だった。なにせ真祖第3位階と、最強の男の2人が相手だったからな。流石の我輩も少々骨を折ったわ」
「ご苦労だったな」
楊がヴラドに声を掛けた。
「約束の報酬の方は?」
「焦るな、分かっている。案内しよう」
ヴラドは私を一瞥して聞いた。
「この女は良いのか?」
「ああ問題ない。俺のテクニックで絶頂に達して、当分は身動き出来ない」
「何がテクニックだ。お前の3枚舌でペテンにかけただけだろうが?」
ヴラドは私には興味無さそうにして、横を通り過ぎると、楊と退室して行った。
「クソっ!仇なんかにイカされて…。項羽、バートリも…ロード、皆んな…申し訳ない。未熟な私のせいで…」
麻里奈は天井を向いて涙を流した。
「高さん…貴方の事が好き…。大好きだったわ…ずっと一緒にこれから先も居られると思ってた。貴方以外には何も要らない。そんな気持ちにさせてくれた男…」
私の死を悼んでくれるかしら?涙を流し終わると、首を傾けて転がっている項羽とバートリの首を見た。
「麻里奈…」
さすが真祖である。バートリは首だけになっても、まだ生きていた。
「バートリ…ごめんね。私なんかの為に…。1つだけ、お願いしても良いかな?」
「何だ?」
「私の代わりに、高さんを、皆んなを生き返らせてと伝えてね…」
麻里奈は目を閉じると、これまでの人生が走馬灯の様に頭の中に描いては通り過ぎた。今では懐かしい想い出だ。
カッと目を見開いて呪文を唱えた。
『死者蘇生!!』
麻里奈は一瞬にして寿命が尽き、綺麗な黒髪が白髪となり、身体は灰となって崩れた。その灰の中から金色の炎が渦を巻き、その渦が速さを増すと黄金の炎の羽を持った鳥が現れた。更にその炎は人の形となり、現れたのは麻里奈と同じ姿をした女性であった。
空中からゆっくりと床に足を着けると、目を開いた。
「長い、長い夢を見ていたわ…」
そう言うと、自分の右手や左手を不思議そうに見つめていた。
「麻里奈?一体、どうしたのじゃ?」
麻里奈と声を掛けた相手は、怪訝な表情をして言った。
「麻里奈?そう…あの娘が私を生き返らせたのね?」
「麻里奈…じゃない?するとお前は…」
首だけとなったバートリも、意識が混濁し始めていた。
「頼む、皆んなを…皆んなを…」
「分かっているわ。生き返らせば良いのね」
死者蘇生呪文を唱えると、高が走って現れた。
「麻里奈!」
飛び付いて抱き締められたので違うと言うと、高は愛しい麻里奈と瑞稀との違いに気付き、涙を流した。
「麻里奈じゃない?では麻里奈は…」
「ごめんね。私は…寿命が尽きた者は、生き返らせる事が出来ないの」
私は、悔しそうな表情をして見せた。
(麻里奈、貴女の思いは繋いでみせる)
アシェラの拘束を外すと、楊が再び現れた。
「ほう?もう回復したのか。では今度は、俺の性奴隷にして動けなくしてやろう」
「ふん、もうお前のペテンにはかからない。種明かしされれば、お前の能力はただの嘘つきに過ぎない」
「こ、この俺様の無敵の問題能力を、ただの嘘つき呼ばわりしたな!許せん。お仕置きが必要だな?」
自分が負ける事など、微塵も思っていないらしい。
『練気剣』
気を練って剣を出すと、楊は笑った。
『そんなもので何がしたい?紙すら切れぬ鈍らが!』
「これが鈍らだと?」
私は「斬れぬ物は無い」と言い放ち、軽く練気剣を振ると、楊の右腕を斬り落としていた。
「ギャアァ!ば、馬鹿な…ぐおぉぉぉ…」
「お前のその能力は諸刃の剣。強い意志を持ち、マイナスでは無くプラスで物事を考えれば、私が弱体化する事は無い。そして、私は不老不死だ。もうお前の能力は私には通じない!」
楊が繰り出した攻撃を、由太后の影歩法で躱わして首を跳ねた。
「ようやく終わったわ…」
楊(ダゴン王)に嵌められて生命を落としたが、麻里奈が生命と引き換えに私を生き返らせた。
麻里奈が愛しい高だけでなく、自分の為に生命を落とした仲間達を生き返らせる唯一の方法として、己の身を捨てて私を生き返らせたのだ。
高は当然として、ロードやバートリ、項羽までもが麻里奈の死を深く悲しんで号泣していた。
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