301 / 360
【第9部〜巨人の王国編〜】
第3話 婚約
しおりを挟む
「息子が、ワシの息子が帰って来おったわぃ」
「ほれ、お前の嫁じゃ」と、私は陸ばぁさんの息子に紹介された。
(そう言えば中国の女性が求める第1位は、顔でも性格でもなくお金…だったわね。自分の生活を豊かにしてくれるなら、どんな男とでも平然と寝れる。…でも私は嫌だ)
「義母さん、私は…」
「ワシの事、義母さんと呼んでくれたじゃろう?嬉しくてな。生い先短いババァじゃ、どうか願いを聞いてはくれんかの?頼みます」
いつも勝気で強気な陸ばぁさんが、平伏して頭を下げた。目には涙を浮かべていた。
「義母さん…そんな…、頭を上げて下さい」
「ワシの、願いを聞いてくれるかの?」
「…少し…考えさせて下さい」
私は陸ばぁさんと、その息子に頭を下げて寝室に行った。
「はぁ…困った。今までお世話になった義理があるから無下にも出来ないけど、結婚となれば話は別だわ…」
不意に寝室の戸が開けられ、息子が入って来た。
「驚かせて済みません。俺の名前は江昊然と言います。貴女の様な美しい女性に会ったのは初めてです。母からの手紙で、嫁を決めたと言うので嫌々会いに来たのですが、一目惚れしました。どうか俺との結婚、前向きに考えては頂けませんか?」
「…貴方の事、私はまだ何も知らないのよ?貴女も私の事を何も知らないじゃない?」
「それならこれから知っていけば良い。お時間ある時に、一緒に出かけましょう」
デートに誘われた。私はOKして、もう寝るからと部屋から追い出した。
「…めっちゃ勃ってたんだけど。私とヤりたかったのね?結構大きそうだったから、1度くらいならヤらせてあげても良いかもね」
欠伸をしながら背伸びをし、ベッドに入って目を閉じると、直ぐに寝息を立てた。
中国では古来より男女別姓だ。女性は結婚しても苗字は変わらない。子供達は夫の苗字を名乗る。だから母の陸さんと、息子の江さんの苗字が違うのだ。
「おはようございます」
陸ばぁさんは、もう起きていて朝食の支度を始めていた。昨日の夕方に汲んでいた水瓶は、もう空っぽになっていた。
「井戸で水を汲んで来ます」
朝日がようやく見えて来た頃、まだ薄暗く肌寒かった。クシャミをして薄着過ぎた事を後悔した。
「上着を羽織ってくれば良かった」
井戸水を汲んで運ぶのは、中々の重労働だ。魔法が無ければ。近所の人達も早朝から水汲みに来ていて、怪しまれない様に水瓶の重力を軽くして、重そうに運んだ。
「おはよう、早いね」
そう言って井戸から中程の場所で、江さんに会った。寒いだろう?と上着を掛けてくれて、水瓶を持ってくれた。
「重かったね」
微笑み掛けられて、不覚にも可愛いと思ってしまった。好意を寄せられて悪い気はせず、満更では無いな?と思って微笑み返した。
復讐を忘れて、本当にこのまま結婚してしまえば、ささやかな幸せが得られるだろう。人はそのささやかな幸せを得る為に、努力をする生き物だ。
「えっ?江さんって官僚なんですか?」
実は都市部のエリート官僚だった。それなのに、全く偉ぶっていない人柄に感心した。話を聞けば、嫁となる私に会いに来たのが理由では無く、中南海で仕事をする為に戻って来たと言う。そこで母を連れて中南海に引っ越すのだが、私はそのついでに会っただけだった。
正式にプロポーズされ、受けるなら一緒に中南海で暮らそうと言う事になった。1度、中南海に入ると簡単には出られないからだ。
難攻不落と思われた中南海も、思わぬ形で中に入れる事になった。私はプロポーズを受け入れた。
その晩、もう婚約者なのだからと、江さんに身体を求められた。江さんは、女性との性行為が初めてだった。私がフォローしながらリードし、挿入に導いた。ぎこちなく動く腰使いは新鮮で興奮し、平均よりも明らかに大きい男根は期待通りの快楽を与えてくれた。陸ばぁさんに絶対に聴こえてると思っても堪えられずに、喘いで何度も求めた。
行為が終わると初めての印が無く、私が処女では無かった事に激しく落胆していた。
「初めてで無くて、ごめんなさい」
しかし江さんは、豹変した。
「この売女が!どこの馬の骨と遊びやがった!」
「えっ?」
髪の毛を掴まれて耳元で怒鳴られ、頬を何度も平手打ちされた。顎を掴んで口付けすると、首を絞めながら挿入し、激しく腰を動かして膣内で果てた。
「すまない。キミが他の男と同じ事をしていたかと思うと嫉妬して、カッとなってしまい自分を抑えられなかった。もう2度としないから許して欲しい」
江さんは泣きながら謝罪した。
「…過去は変えられないの。私の過去の男性経験も消せないのよ。私達、もう別れましょうか?」
「嫌だ!絶対にこんな事は2度と無いと誓う。お願いだ、許して欲しい」
泣きながら抱きしめる江さんの頭を、優しく撫でてあげた。
「分かったわ…1回だけ許す。でも貴方は私を抱く度に、私を抱いた男の事を思うでしょう?それに堪えられるの?今度同じ事をしたら、絶対に別れるわよ」
口付けをして、再び江さんに抱かれた。彼は泣きながら「愛してる」と言い続けて果てた。
江さんの腕の中で目を閉じて、過去の男を思った。私はアナトと違って、実は男性経験は多くない。
初めての相手は、アナトが固執した綾瀬潤だった。その次は冥界で会った項籍(項羽)だった。
項籍は、虞美人だったアナトに固執し、アナトの負の感情から生まれた私も、アナトだと主張して私を強引に抱いた。アナトの光に触れて不死者では無くなり、地上に来て項籍との関係は終わった。
目を閉じて、ウトウトとしていると、部屋戸の前で気配を感じた。陸ばぁさんだ。私達が静かなので寝たと確認したのか、部屋の前から立ち去る足音がした。
(私達が結ばれて安心したのかな?)
Hしていたのが親バレする事よりも恥ずかしい事は無い。顔を真っ赤にして、その日は眠れそうになかった。
「ほれ、お前の嫁じゃ」と、私は陸ばぁさんの息子に紹介された。
(そう言えば中国の女性が求める第1位は、顔でも性格でもなくお金…だったわね。自分の生活を豊かにしてくれるなら、どんな男とでも平然と寝れる。…でも私は嫌だ)
「義母さん、私は…」
「ワシの事、義母さんと呼んでくれたじゃろう?嬉しくてな。生い先短いババァじゃ、どうか願いを聞いてはくれんかの?頼みます」
いつも勝気で強気な陸ばぁさんが、平伏して頭を下げた。目には涙を浮かべていた。
「義母さん…そんな…、頭を上げて下さい」
「ワシの、願いを聞いてくれるかの?」
「…少し…考えさせて下さい」
私は陸ばぁさんと、その息子に頭を下げて寝室に行った。
「はぁ…困った。今までお世話になった義理があるから無下にも出来ないけど、結婚となれば話は別だわ…」
不意に寝室の戸が開けられ、息子が入って来た。
「驚かせて済みません。俺の名前は江昊然と言います。貴女の様な美しい女性に会ったのは初めてです。母からの手紙で、嫁を決めたと言うので嫌々会いに来たのですが、一目惚れしました。どうか俺との結婚、前向きに考えては頂けませんか?」
「…貴方の事、私はまだ何も知らないのよ?貴女も私の事を何も知らないじゃない?」
「それならこれから知っていけば良い。お時間ある時に、一緒に出かけましょう」
デートに誘われた。私はOKして、もう寝るからと部屋から追い出した。
「…めっちゃ勃ってたんだけど。私とヤりたかったのね?結構大きそうだったから、1度くらいならヤらせてあげても良いかもね」
欠伸をしながら背伸びをし、ベッドに入って目を閉じると、直ぐに寝息を立てた。
中国では古来より男女別姓だ。女性は結婚しても苗字は変わらない。子供達は夫の苗字を名乗る。だから母の陸さんと、息子の江さんの苗字が違うのだ。
「おはようございます」
陸ばぁさんは、もう起きていて朝食の支度を始めていた。昨日の夕方に汲んでいた水瓶は、もう空っぽになっていた。
「井戸で水を汲んで来ます」
朝日がようやく見えて来た頃、まだ薄暗く肌寒かった。クシャミをして薄着過ぎた事を後悔した。
「上着を羽織ってくれば良かった」
井戸水を汲んで運ぶのは、中々の重労働だ。魔法が無ければ。近所の人達も早朝から水汲みに来ていて、怪しまれない様に水瓶の重力を軽くして、重そうに運んだ。
「おはよう、早いね」
そう言って井戸から中程の場所で、江さんに会った。寒いだろう?と上着を掛けてくれて、水瓶を持ってくれた。
「重かったね」
微笑み掛けられて、不覚にも可愛いと思ってしまった。好意を寄せられて悪い気はせず、満更では無いな?と思って微笑み返した。
復讐を忘れて、本当にこのまま結婚してしまえば、ささやかな幸せが得られるだろう。人はそのささやかな幸せを得る為に、努力をする生き物だ。
「えっ?江さんって官僚なんですか?」
実は都市部のエリート官僚だった。それなのに、全く偉ぶっていない人柄に感心した。話を聞けば、嫁となる私に会いに来たのが理由では無く、中南海で仕事をする為に戻って来たと言う。そこで母を連れて中南海に引っ越すのだが、私はそのついでに会っただけだった。
正式にプロポーズされ、受けるなら一緒に中南海で暮らそうと言う事になった。1度、中南海に入ると簡単には出られないからだ。
難攻不落と思われた中南海も、思わぬ形で中に入れる事になった。私はプロポーズを受け入れた。
その晩、もう婚約者なのだからと、江さんに身体を求められた。江さんは、女性との性行為が初めてだった。私がフォローしながらリードし、挿入に導いた。ぎこちなく動く腰使いは新鮮で興奮し、平均よりも明らかに大きい男根は期待通りの快楽を与えてくれた。陸ばぁさんに絶対に聴こえてると思っても堪えられずに、喘いで何度も求めた。
行為が終わると初めての印が無く、私が処女では無かった事に激しく落胆していた。
「初めてで無くて、ごめんなさい」
しかし江さんは、豹変した。
「この売女が!どこの馬の骨と遊びやがった!」
「えっ?」
髪の毛を掴まれて耳元で怒鳴られ、頬を何度も平手打ちされた。顎を掴んで口付けすると、首を絞めながら挿入し、激しく腰を動かして膣内で果てた。
「すまない。キミが他の男と同じ事をしていたかと思うと嫉妬して、カッとなってしまい自分を抑えられなかった。もう2度としないから許して欲しい」
江さんは泣きながら謝罪した。
「…過去は変えられないの。私の過去の男性経験も消せないのよ。私達、もう別れましょうか?」
「嫌だ!絶対にこんな事は2度と無いと誓う。お願いだ、許して欲しい」
泣きながら抱きしめる江さんの頭を、優しく撫でてあげた。
「分かったわ…1回だけ許す。でも貴方は私を抱く度に、私を抱いた男の事を思うでしょう?それに堪えられるの?今度同じ事をしたら、絶対に別れるわよ」
口付けをして、再び江さんに抱かれた。彼は泣きながら「愛してる」と言い続けて果てた。
江さんの腕の中で目を閉じて、過去の男を思った。私はアナトと違って、実は男性経験は多くない。
初めての相手は、アナトが固執した綾瀬潤だった。その次は冥界で会った項籍(項羽)だった。
項籍は、虞美人だったアナトに固執し、アナトの負の感情から生まれた私も、アナトだと主張して私を強引に抱いた。アナトの光に触れて不死者では無くなり、地上に来て項籍との関係は終わった。
目を閉じて、ウトウトとしていると、部屋戸の前で気配を感じた。陸ばぁさんだ。私達が静かなので寝たと確認したのか、部屋の前から立ち去る足音がした。
(私達が結ばれて安心したのかな?)
Hしていたのが親バレする事よりも恥ずかしい事は無い。顔を真っ赤にして、その日は眠れそうになかった。
10
お気に入りに追加
276
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる