297 / 343
【第8.5部〜アイドル編2】
第14話 XNUMX人
しおりを挟む
部屋に着いたらしく、そこで目隠しを取られた。部屋はまるで、中国の時代劇の世界を思わせる邸宅の造りだった。
「やぁ、よく来たね。どうした?震えているではないか。部下が手荒な真似をしたみたいで申し訳ない。ここにいる限りキミには手出しをさせないから安心しておくれ」
室内に入り、声を掛けて来たこの若い男が彼らの王だろう。見た目は私と同じ20歳くらいに見えるが、おそらく実年齢は遥か上に違いない。何せ私だってアナトとして生まれてからは、1万年近く経っている。
「…」
「ふふふ、そんなに警戒しなくても良い。うむ、裸のままでは目のやり場に困るな」
『衣装替』
この王も生活魔法を唱えて見せた。私以外で生活魔法が使える者を見たのは初めてだ。
「…有難う御座います」
「礼には及ばない。部下がキミを犯そうと脱がしたのだろうからね。まぁ、立ち話も何だから、まずは座ろうか?」
私は促されるままに椅子に腰掛けた。
「ふふふ、自己紹介がまだだったね。ボクの名前はダゴン。キミはアシェラの娘だね?」
「はい。私の母はアシェラです。母をご存知なのですか?」
「…キミはアシェラの面影がよく似ている。ボクはキミを大切にしたい。意味が分かるね?」
「はい…、私を…妻にするんですね?」
「妻に?あははは。誤解させたなら申し訳ない。そうでは無くて…ボクの娘として大切にしたいんだ」
「娘に…?」
なるほど、その言葉でおよそ理解出来た。ダゴン王は私の母を愛しているのだ。だからその娘の私と敵対しようとはせずに、娘の様に大切に育てようと言っているのだ。私を匿っていれば母に会える可能性があるし、恩も売れる。
「…思い出しました。ダゴン王…かつてのイスラエルの王ですよね?母と結婚された方ですね?」
「そうだ。ボクはキミの母を愛している…」
母アシェラは浮気性で、何人もの男性と婚姻を結んでいる。このダゴン王もそのうちの1人だ。強いて言えば、母の愛の憐れな犠牲者の1人だ。
「教えて下さい。XNUMX人であり、イスラエルの王だった貴方が、どうしてこの中国の、それも政治の中枢にいるのですか?」
「…それについては、詳しく話すつもりは無い。だが、この国を動かす7人全員が我々の仲間(XNUMX人)だ」
恐らく本物を殺して、成り代わったのだろう。
「張玉にキミを連れて来る様に言ったのはボクだ。彼には気の毒な事をした」
「彼は…後で生き返らせるつもりでした…」
「生き返らせる?…その力を使うのは止めた方が良い」
「何故ですか?」
「キミは、その力が無限だとでも思っているのかい?」
「えっ?意味が分かりませんが?これは私の回復魔法です。回数制限などありません」
「あははは、無知だな?無知とは罪だ。我々XNUMX人の能力には限りがある。無限に使える事などない。キミの母は教えてくれなかったのかい?」
「嘘っ!?私の能力が有限だなんて。ま、まさか…不死も…!?」
「勿論そうとも。キミはたまたま不老不死だったかも知れないが、生き返れなくなる日が必ずやって来る。その時は不老長寿になるんだろうけどね?」
あまりのショックに口が利けなくなって、呆然とした。
「ショックを受けている所、申し訳ないが寝室を案内させよう」
何処をどう歩いたのか記憶に無く、我に返ると木製のベッドの上に腰掛けていた。
「アナト、アナト」
「来夢?何処?」
私の右耳の穴から、来夢の分身体が出て来た。
「来夢!」
「アナト、直ぐに本体が行くから待ってて。分身体がいれば場所を特定出来る」
「心強いよ…来夢がいてくれて」
「どうした?元気が無いな。酷い事をされたのか?」
「ううん、されそうになったけど大丈夫。…私ね、不死身なんかじゃ無かったのよ…。私の能力は有限だったの」
多少の無茶も不死であるからこそ出来た。回数も分からない。あと何回、死んでも生き返る事が出来るのだろうか?本来、死が付き纏うのは当然なのだけど、今後は死が怖くて無茶な事は出来なくなる。
それに無闇に蘇生させていると、本当に必要な時に、生き返らせる事が出来ない時が来るかも知れない。
精神的に疲れた。瞼を閉じると直ぐに深い眠りについた。
「やぁ、よく来たね。どうした?震えているではないか。部下が手荒な真似をしたみたいで申し訳ない。ここにいる限りキミには手出しをさせないから安心しておくれ」
室内に入り、声を掛けて来たこの若い男が彼らの王だろう。見た目は私と同じ20歳くらいに見えるが、おそらく実年齢は遥か上に違いない。何せ私だってアナトとして生まれてからは、1万年近く経っている。
「…」
「ふふふ、そんなに警戒しなくても良い。うむ、裸のままでは目のやり場に困るな」
『衣装替』
この王も生活魔法を唱えて見せた。私以外で生活魔法が使える者を見たのは初めてだ。
「…有難う御座います」
「礼には及ばない。部下がキミを犯そうと脱がしたのだろうからね。まぁ、立ち話も何だから、まずは座ろうか?」
私は促されるままに椅子に腰掛けた。
「ふふふ、自己紹介がまだだったね。ボクの名前はダゴン。キミはアシェラの娘だね?」
「はい。私の母はアシェラです。母をご存知なのですか?」
「…キミはアシェラの面影がよく似ている。ボクはキミを大切にしたい。意味が分かるね?」
「はい…、私を…妻にするんですね?」
「妻に?あははは。誤解させたなら申し訳ない。そうでは無くて…ボクの娘として大切にしたいんだ」
「娘に…?」
なるほど、その言葉でおよそ理解出来た。ダゴン王は私の母を愛しているのだ。だからその娘の私と敵対しようとはせずに、娘の様に大切に育てようと言っているのだ。私を匿っていれば母に会える可能性があるし、恩も売れる。
「…思い出しました。ダゴン王…かつてのイスラエルの王ですよね?母と結婚された方ですね?」
「そうだ。ボクはキミの母を愛している…」
母アシェラは浮気性で、何人もの男性と婚姻を結んでいる。このダゴン王もそのうちの1人だ。強いて言えば、母の愛の憐れな犠牲者の1人だ。
「教えて下さい。XNUMX人であり、イスラエルの王だった貴方が、どうしてこの中国の、それも政治の中枢にいるのですか?」
「…それについては、詳しく話すつもりは無い。だが、この国を動かす7人全員が我々の仲間(XNUMX人)だ」
恐らく本物を殺して、成り代わったのだろう。
「張玉にキミを連れて来る様に言ったのはボクだ。彼には気の毒な事をした」
「彼は…後で生き返らせるつもりでした…」
「生き返らせる?…その力を使うのは止めた方が良い」
「何故ですか?」
「キミは、その力が無限だとでも思っているのかい?」
「えっ?意味が分かりませんが?これは私の回復魔法です。回数制限などありません」
「あははは、無知だな?無知とは罪だ。我々XNUMX人の能力には限りがある。無限に使える事などない。キミの母は教えてくれなかったのかい?」
「嘘っ!?私の能力が有限だなんて。ま、まさか…不死も…!?」
「勿論そうとも。キミはたまたま不老不死だったかも知れないが、生き返れなくなる日が必ずやって来る。その時は不老長寿になるんだろうけどね?」
あまりのショックに口が利けなくなって、呆然とした。
「ショックを受けている所、申し訳ないが寝室を案内させよう」
何処をどう歩いたのか記憶に無く、我に返ると木製のベッドの上に腰掛けていた。
「アナト、アナト」
「来夢?何処?」
私の右耳の穴から、来夢の分身体が出て来た。
「来夢!」
「アナト、直ぐに本体が行くから待ってて。分身体がいれば場所を特定出来る」
「心強いよ…来夢がいてくれて」
「どうした?元気が無いな。酷い事をされたのか?」
「ううん、されそうになったけど大丈夫。…私ね、不死身なんかじゃ無かったのよ…。私の能力は有限だったの」
多少の無茶も不死であるからこそ出来た。回数も分からない。あと何回、死んでも生き返る事が出来るのだろうか?本来、死が付き纏うのは当然なのだけど、今後は死が怖くて無茶な事は出来なくなる。
それに無闇に蘇生させていると、本当に必要な時に、生き返らせる事が出来ない時が来るかも知れない。
精神的に疲れた。瞼を閉じると直ぐに深い眠りについた。
0
お気に入りに追加
274
あなたにおすすめの小説
隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました
ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら……
という、とんでもないお話を書きました。
ぜひ読んでください。
連続寸止めで、イキたくて泣かされちゃう女の子のお話
まゆら
恋愛
投稿を閲覧いただき、ありがとうございます(*ˊᵕˋ*)
「一日中、イかされちゃうのと、イケないままと、どっちが良い?」
久しぶりの恋人とのお休みに、食事中も映画を見ている時も、ずっと気持ち良くされちゃう女の子のお話です。
【R-18】クリしつけ
蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる