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【第8.5部〜アイドル編2】

第10話 帰国

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 私は、日本政府から再三の帰国要請を無視していた。まだ何も成していないからだ。しかしチャンスは巡って来た。米国で知名度が上がった事によって、テレビドラマとCMのオファーが来たのだ。だけど今の私は、何処の事務所にも所属していないので、一時的にチャックが窓口になって仕事を受けてくれた。
 CMはハイヒールのメーカーの物で、オフィスをハイヒールを履いて歩いた後、椅子に足を組んで座るだけのものだった。完成したものを見せてもらったが、引きのアングルから、足、太腿を中心に映され、ミニスカートだし、下着がギリギリ見えそうで見えないと言う完全にエロいCMだった。
「何コレ!?」
 私の正直な感想の第一声だ。しかしチャックも、綺麗に撮れてると喜んでいる。お前の好きな女が、エロ目線で撮影されて喜んでるのかよ?と引いたけど、私が自意識過剰なだけで、この程度は米国では普通なのかも知れない。
「Mizuki、もしかして怒っているのかぃ?」
「別に怒ってはいないけど…」
 しかしギャラの話になって驚いた。
「100万ドル!?」
 今の円相場が1ドル150円くらいだから日本円にして、およそ1億5千万円くらいだ。
「えっ?この1本だけで?」
 ヤバいね。日本なら、トップ女優入りしても1本3千万円くらいだ。ちなみに事務所に入っていると、事務所の取り分は6割で4割が本人に入る契約を結んでいる人が多い。
 私は事務所に入っていないけれど、チャックの口利きで取れた仕事だから、ギャラの6割を渡そうとすると、「友人から、それも愛する女から金を受ける取る訳が無いだろう?」と言って断られた。
 それからチャックと一緒にジャグジーでいつもの様に身体を洗い合うと、愛撫をされたので、私も口に含んであげた。
「Mizuki、肌がきめ細かくてスベスベ触り心地が良くて最高だ。白人並みに色白だしな」
「ふふふ、有難う。まぁでも、本当は白人だしね」
「どう言う事だ?」
「う…ん…チャックは友人だし、良いかな…?私の本当の姿を見せてあげるわ」
 自身にかけていた封印を解くと、髪は金髪になり、身長が約10㎝伸びると胸も更に膨らんで透き通る様な白い肌となった。
「あっ!言っておくけど、この姿の私に触ってはダメよ。私は女神アナトなのよ。唯一神ヤハウェと女神アシェラの娘。でも地上に降りる時に親子喧嘩しちゃって、父から呪いを受けたのよ。この姿で人間に触れると、生気吸収エナジードレインで1分もかからずにミイラになるわ。私に人間の子を生ませない為に呪いをかけたのよ」
「まさか…、おぉ主よ。やはり本当に存在したのですね…」
 チャックは感激して涙を流した。クリスチャンだったの初めて聞いたけど?
「大騒ぎになるから、2人だけの秘密ね?」
 私は元のMizukiの姿となった。
「Mizuki、ずいぶん前に聞いてたと思うが、聞き流していたんだろうな?すまなかった。まさか女神様だったなんて」
「ふふふ、今の私は普通の人間だからそう接してよね?」

 私は四六時中、チャックと一緒にいて、チャックと一緒に暮らしている為、内縁の妻状態だと米国で報道された。事実無根だと訴えたが、誰も信じてはくれなかった。証拠の写真や動画がある為だ。
「何なのよコレ?」
 まぁ確かに一緒に暮らしているし、ただの友人と言う訳でも無い。
「何だか否定するのも疲れたわ。本当に付き合っちゃう?」
「良いのか?好きな人がいるんだろう?」
「うん…。でも、チャックも好きだよ」
 チャックは私にハグをして、ディープキスをして服を脱がせた。付き合うと言ったのだし、いつもHの手前で終わっているから、今度は「初めてを奪われる」と覚悟を決めて目をつぶった。
 チャックの愛撫は優しくて、身体は火照りトロトロに溶けそうになった。
「やはりダメだな」
 挿入寸前でチャックは止めた。
「お前は、『俺も』好きだと言った。俺は1番で無ければ嫌だ。好きな女に妥協されて抱かせてもらう真似はしたくない。勿論、お前とヤレるチャンスは、もう2度と無いかも知れない。だが、弱味につけ込んでまで、お前を手に入れたくは無い」
「弱味?」
「自分では気付いてないかも知れないが、マスコミに追い回され、SNSで俺との仲を勘繰られて、嫌気が差していたはずだ。もう一層の事、付き合ってしまおうとな?そんな事をすれば、必ずお前は後で後悔するぞ?」
「有難う…」
「お前は俺の親友で、俺が愛した女だ。お前の幸せを願うのは当然だ」
 チャックは本当に良い奴だ。潤以外で抱かれても良いと思えたのは、チャックだけだ。
 次の日、私は帰国を決意した。空港は私を一目見ようとファンが溢れ返っていた。
「こんなに私のファンが!?」
 半ば何もかも嫌気が差して米国を後にしようとしていた。それはつまり米国を嫌いになると言う事だ。だが集まってくれたファンは、私にはアンチだけじゃない事を教えてくれた。
「皆んな有難う!大好きよ、アメリカ!」
 集まってくれた皆んなに感謝して、手を振り搭乗した。何だかんだ言っても、米国には1年以上滞在していた。
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