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【第8部〜龍戦争〜】

第46話 大魔王サタンの脅威12

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 無間地獄むけんじごくに送られた私は、身ぐるみを剥がれた。
「キャア、止めて変態!」
 着ていた服も下着も、6人掛かりで脱がされた。
「金目の物はこれだけか?」
「これなら大して手加減はしてやれんな」
 獄卒達は聴こえる様にヒソヒソ話しをしていた。
「何をするつもりなの!?」
「先ずお前は今からこの台に手足をクイで打ち付けられる。そしてオレが腹をいて、腸を引きり出す。コイツらは手足を竹のノコギリで斬り落とす。鉄で無く竹なのは、長く苦しめる為だ」
「それから釜茹でにして煮込む。その間もお前が死んで楽になる事は無い。茹で上がったら今度ははりつけにして、ゆっくりと火であぶるのだ」
「しかし…温情を加えてやらんでも無いのだが…」
 勿体ぶって意味ありげな目線を送って来る。
「はい、はい、はい。上げれば良いんでしょう?お金」
「おっほぉ。やはりまだ持っておったか?」
「お前が金払いが気前が良いと聞いて、期待しておったのよ」
「されど、裸にしても何も出ては来ぬ。さては女子おなごは隠す場所があるからのぉ」
 そう言って私の秘部をガン見して来た。
だ、見ないで変態!そんな所に隠して無いからぁ」
「嘘つけ!他に何処に隠せると言うのだ?」
「儂らが手伝ってやろう」
「わあぁぁ、待って!ちゃんと出すから!」
「最初から大人しく出せば、恥ずかしい目に合わずに済んだんだ」
「その前に拘束を解いてよ」
「ダメだ。そうはイカン!逃げるつもりだろう?」
 獄卒達は口々にはやし立てた。
「分かったわ。右手だけ自由にして頂戴!絶対に後悔はさせないわ」
 獄卒達は顔を見合わせて頷いた。
「…右手だけだぞ。それで満足いくだけ出せ無ければ隠していると疑って、儂らがお前を犯して確かめるとしよう」
 私は右手のかせを外されると、クイを打たれて拘束される台に手を触れて呪文を唱えた。
黄金変化アルケミー
 私が手を触れた台は黄金に変わった。
「どう?本物の金よ!」
 ドヤ顔してやったが、獄卒達は疑いの目で私を見てた。
「これが本物だと?」
「うん?重いな」
「本当に本物か?」
「分かり難いな。もう少し現実見のある物で試してくれ」
 今度は私は地面に転がっている、溶岩を手に取って呪文を唱えた。
「これならどう?信じてくれた?」
 獄卒の1人がそれを噛んだ。
「こ、これは…し、信じられん…」
「どうじゃ、本物か?」
「本物だ…それも極上の…純度100%の金だ」
「うひょおぉぉぉー!」
 獄卒達が絶叫して興奮し出した。
「ねえ、逃げないから外してくれる?この辺りの転がってる石を全部、黄金に変えてあげる。大金持ちよ?もう閻魔王の命令なんて聞く必要も無くなるのよ?一生遊んで暮らせる黄金が手に入るのよ」
 有頂天になった獄卒達は、私のかせを解いてくれた。裸のままは恥ずかしいけど、取り敢えず獄卒達を満足させる方が先だ。
黄金変化アルケミー
周辺の溶岩だけでなく、枯れ木も黄金に変え、竹で出来たノコギリや釜茹での釜なども黄金に変えると、他の獄卒達も加わって黄金の奪い合いが始まった。
衣装替チェンジ
 服を着ると、宙に浮いて獄卒達からのがれた。
「あははは、欲に目がくらんでくれたお陰で逃げられる。滑稽こっけいだよ、あははは」
 私は全速力で閻魔王の領空から逃げ去った。徐々に我が城に近づくに連れて、戦闘の痕跡があり嫌な予感がした。城が見えると、織田軍の旗が掲げられていた。城内に入ると気配は無く、中央の天守閣の広間には、所狭しと全員の生首が几帳面に並べられていた。
「はっ?何コレ…えっ?何、何?何の冗談…」
 全て本物の首だと理解すると、発狂して泣きじゃくった。
「嘘、嘘よ…ほんの数日留守にしただけよ?それなのにどうして…?」
 生首の中には、母アシェラの首もあった。
「お母さん?お母さんまで殺されたの?信じられない!超強力催眠ヒュブノは?お母さんは最強じゃない?どうして…どうして死んじゃったの…」
 母が倒されるなんて、とても信じられない。成吉思チンギスや武田信玄、その配下達も全員の首を飾られていた。更にはただの民まで全員が。その中には雪英シュエ・インまでいた。
「皆殺し?何て残忍な…」
 怒りに打ち震えていると、織田軍が現れた。
「新撰組?その刀は、菊一文字則宗…すると沖田総司か?」
 私は練気剣ヴァジュラを出して構えた。その瞬間、沖田は一歩前に踏み込んだ様に見えたが一瞬にして喉、胸、胃の3箇所を貫かれた。これが噂に聞く沖田総司の秘技・三段突きかと思い床に倒れると、意識が遠くなった。
 血の泡を吹いて息も絶え絶えの私の髪の毛を掴んで、無理矢理に身体を起こすと、剣を一閃して私の首を刎ねた。床に頭が転がり、鮮血は噴水の様に血飛沫ちしぶきを上げた。
 打ち捨てて去ろうとする沖田は背を向け、私は再生して練気剣ヴァジュラを構え攻撃態勢に入ると、沖田は振り返って三段突きを繰り出して来た。
 私も模倣ラーニングによって得た、同じ三段突きを沖田に見舞ってやった。不死を頼りに相打ちとなり、沖田総司の喉、胸、胃に風穴を開けた。しかし沖田は倒れず、踏みとどまって私を袈裟斬りにした。
「うぐっ」
 倒れながら沖田の傷口が目に入ると、機械の様な物が見えた。左手をついて身体を支えると傷口は直ぐに治り、沖田の足を払って両足を両断すると倒れた。そこへ両手で思いっきり振りかぶって斬り掛かったが、刀で受け止められた。
「ぐうっ」
「うおぉぉぉ!」
 渾身の力と体重を掛けてのしかかったが、私の体重は軽くてビクともしない。沖田は、スネから先を失った足を使って、巴投げの要領で私を投げ飛ばして窮地を脱した。
「はぁ、はぁ、はぁ…」
 私は呼吸を整えて、雷撃呪文を唱えた。
「ぎゃあぁぁぁ」
 沖田総司の身体から白い煙りが登ると、動かなくなった。沖田の身体を確認すると、身体のほとんどが機械で出来ていた。
「何なのコレ…ただの死者では無いの?」
 私と別れたはずの麻里奈が現れて言った。
「なるほどね…自動機械人形オートマタだわ。でもベースは本人自身。つまり機械人間サイボーグだわ。だから超強力催眠ヒュブノが効かなかったのね?」
機械人間サイボーグ?ここは死者の国よ。なんでいるの?」
「いるんじゃない。誰かが創ったのよ…」
「そんな…それなら織田信長の本隊はまさか全員…」
 機械人間サイボーグだから誰一人、超強力催眠ヒュブノが効かなかったのだ。それはつまり、ここに攻めて来た者は全員が機械人間サイボーグと言う事だ。
「大魔王サタンに機械人間サイボーグにされたのかな?」
「奴らに聞けば分かるんじゃない?」
 振り返ると、織田配下の武者達がこちらに向かって来るのが見えた。
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