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【第8部〜龍戦争〜】

第31話 剣帝

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「がははは。美女に注いでもらう酒は旨いのぉ」
 私は蚩尤チーヨウに何度も犯された。この野獣の様な男に犯されていると、絶倫山中さんの事を思い出した。何処となく雰囲気が似ている気がして懐かしく感じた。もっとも、絶倫山中さんは実在せず、あれは全て母に見せられていた夢だったのだ。
 それでも私は、確かに彼に恋をしていた。細マッチョでイケメン好きの私が、好みのタイプとは全く真逆のタイプに惚れた。恐らく初めて外見で選ばなかった相手だ。全ては夢の中だったのだけれども。
 母の超強力催眠ヒュブノはタチが悪い。夢にリアリティを与えて、夢か現実か分からなくなる所にある。しかも睡眠を取る生物には、100%の確率で効果を発揮する為、来夢の様に睡眠を必要としない生物か、自動機械人形オートマタみたいな生命の無い者でも無ければ、無効化出来ない。
 蚩尤チーヨウは私を抱いて満足すると、お酌を求めたので、それに従った。肩を抱き寄せられ、口移しでお酒を飲まされた。酔わせて逃げようと考えて、お酌のペースを上げたが、うつらうつらと目が重くなって来ると、元の蚩尤チーヨウのサイズになって私を飲み込んだ。
 やはり胃の中に落ちる直前、横穴に落とされた。金銀財宝や武器などがある事から、宝の様に大切な物は奪われない為に、体内に隠し持っているのだろう。私も意図的に、ここに収納されたのだろう。それにしても、人のサイズに縮んだ時はどうなっているのだろう?とか考えた。恐らく、私の魔法箱マジックボックスみたいな亜空間に繋がっているのかも知れない。そしてようやく思い出した。容易にここから脱出する方法がある事を。
「つくづく私は、自分の能力スキルを使いこなせていないな…」
 私も異空間に繋げて脱出する能力スキルを持っている事を思い出した。
超重力空間転移ブラックホール
異空間転移ホワイトホール
 蚩尤チーヨウの体内から脱出する事に成功したが、脱出場所はランダムで指定出来ない為、今何処にいるのか分からなかった。
「先ずは身の安全を確保しながら周辺の情報を得よう」
 と、来夢がそばにいる感覚で話したら誰もおらず、独り言になってしまって、思わず苦笑いした。
「1人は寂しいから、もう大丈夫だろう。来夢を魔法箱マジックボックスから出そう。アーシャには申し訳ないけど、もう少し中に入っていてもらおう」
 来夢を魔法箱マジックボックスから出すと、あれからどうなったのか質問責めにされた。
「ふーん、なるほど。通りで、イカ臭いと思ったよ」
「えっ?そんな!自動洗浄オートクリーンで消したはずなんだけど!?」
「あははは…冗談、冗談だよ。そんなに必死に焦っちゃって…あははは、面白い」
 タチの悪い冗談を間に受けて、少しムッとした。
「あははは、冗談じゃないの?怒らない、怒らない」
 それにしても来夢は最初に会った頃と比べて、随分と感情豊かになったものだと嬉しく思った。
 来夢は全ての物を喰らい尽くす、食欲モンスターだった。宇宙の星々の全ての生命を喰らい尽くしながら、隕石に引っ付いて地球に飛来したのだ。
「ねぇ?大丈夫なの?」
「何が?」
「いくら何でもヤり過ぎよねぇ?妊娠していたら、どうするつもりなの?産むの?」
「そ、それは…」
「責めているんじゃないのよ?心配して言っているのよ。残っている精子は、私が吸い出してあげる」
 来夢は女性から男性の姿へと変化すると、私の下着をずり下ろして足を広げて膣内なかに入って来た。
「うっ、あっ、ダ、ダメっ…。あっ、あ…」
 声に反応されて何が現れるか分からないので、両手で口を押さえて声を押し殺した。
「あっ…うん、はぁ、はぁ、気持ちいい…イキそう…んっ…」
 全身に力が入って強張り、足の指先がピーンと貼ると、痙攣した様に2度ほど、ビクンビクンと脈打つと力が抜けた。
「イっただろう?気持ち良かったか?まだ膣内なかに残っているから、全部吸い出してやるよ」
「あうっ…あ、あん、ダメ、ダメ…イったばかりだから、敏感で…くうっ、ああん、イっちゃう…イクっ…イク、イク、イク…またイっ…」
 恐らく来夢も、ヤキモチを妬いていたに違いない。何度イっても止めようとはせず、数時間に渡って私の身体をもてあそんだ。
「誰の物なのか言ってみて?」
「私は来夢の物よ…、愛してる」
「分かれば良いんだよ。誰にも渡さない。アナトは俺の物だ」
 来夢とイチャイチャしていると、「見るに耐えん」と言って男が現れた。
「キャッ、こっち見ないでよ!」
「こんな所で堂々と不純異性交遊をしている方が悪いだろう?」
 何だコイツ、偉そうにしやがって?と思って見上げると、見覚えのある紋章を付けていた。
「あれ?その紋章に見覚えがあるよ」
「ほう?私を知っているのか?我が名はバスター・ロード。これはバスター家の紋章だ」
「ロード!そう、ロードの紋章だ。まさかロードの父?剣帝なの!?」
「ロードだと?我が名を継いだ者がいるのか?」
「あなたの娘が家を継いだのよ。私の右腕的存在よ」
「おお、何だと?…娘が…そうか…、んっ?お前の右腕だと?お前は何者だ?」
「私?私は天道神君アナトよ」
「天道神君?天帝は?」
「あなたの娘と一緒に帝釈天インドラなら倒して、今では私の操り人形よ」
「倒してくれただと?」
「ええ」
「すると、恩人ではないか。感謝致す!」
 なるほど剣帝か…、ロードは私と同じく「絶世の美女」の称号持ちだ。だからその母も、そしてその父である剣帝もイケメンだ。
「うーん、イケおじね。ロードのお父さんだから、変な関係にならない様にしないと…。ロードからお母さんって呼ばれちゃう…」
 などと、不届きな妄想にふけった。
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