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【第8部〜龍戦争〜】
第26話 天龍界
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黄帝と戦っているのは、哥哥とミカエル、阿籍、それからバァル…って、阿哥(兄さん)?いつの間にベルゼブブから元の姿に戻ったのだろうか?
「他の皆んなは?」
ミカエルがそれどころでは無いと言う表情をして、目線で教えた。その先には、魔王ロードやルシエラ達、魔族が血を流して倒れていた。
「まさか皆んな、やられたの?」
それには答えずに黄帝に向き直した。そんなに強いのか?阿籍や哥哥の攻撃は当たっているし、致命傷のはずが平然とカウンターを繰り出して来る。
「そんな…まさか不死なの?」
「不死には違いないわね?でも死なないのでは無くて、私と同じ不死者だわ」
麻里奈が到着して、私の横で答えた。
「黄帝が不死者…」
だがミカエルは神聖攻撃しか出来ない。神聖攻撃を受けて倒れない不死者が存在するのか?
黄帝の攻撃は凄まじく、皆んな遠距離攻撃しか出来なかったが、私は近くに接近する為に、ダメージを受けながら間合いを詰めた。
「無茶だ、止めろ!小虞」
致命傷を何度も受けて至近距離に近づいた。このタイミングで宮本武蔵を生き返らせて、近接戦闘に持ち込んだ。すると黄帝の身体に糸が付いていて、まるで操り人形の様に動かされている事に気付いた。武蔵は容易く、その糸を斬った。
「こ、これは…」
「ふふふ、おかしいと思ったのよねぇ」
振り返ると、すぐ側に麻里奈がいた。
「ふぅ~っ」
麻里奈が腐敗の瘴気を吐き出すと、黄帝は朽ち果てて糸も切れた。
「出て来なさい!貴女はもう終わりよ」
「貴女?女…って事?」
麻里奈はそれには答えずに、糸の先を睨んで言った。
「こんな事が出来るのは、貴女だけだって言っているのよ?嫘祖」
嫘祖だって?黄帝の正妻の名前では無いか。そう思っていると、奥から姿を見せたのは、果たして高貴な女性であった。
「よく分かったわね?どうして妾だと分かった?」
「ふふふ、だって貴女は養蚕の祖と言われているじゃないの。糸を操るのは、お手のモノでしょう?」
「なるほど…だがそれで妾の事を知った気になるでない」
指先から白い糸を出して、空を斬った。見えない糸は殿中の柱を切断し、床をも斬った。
麻里奈は避け様ともせず、横たわる黄帝の遺体に近づいて呪文を唱えると、黄帝は蘇った。
「もう止めるんだ 嫘祖」
黄帝が嫘祖に呼び掛けた。
「嗚呼…そんなまさか…皇上?…どんな事をしても生き返らなかったのに…」
嫘祖は、手を止めて呆然と黄帝を眺め見ていた。
「他の妃嬪はどうしたの?」
「女節、三妃、嫫母の事かしら?」
「そうよ」
「生かしておく訳があるまい。妾を何度も陥れた者共だ」
後宮は女の園だが、皇帝の寵愛を受ける為に他者を陥れる。自分より先に妊娠すれば、流産する様にありとあらゆる手段を講じる。無事に子供が生まれて来ても、油断は出来ない。皇太子に立てられるまで争い続ける。先んじられれば、廃立される様に陥れられる。皇帝になる日まで、心が安まる時は無い。
皇帝になれば、かつてのライバルであった兄弟達を、適当な理由をつけて誅殺していくのである。
嫘祖もまた、この壮絶な権力争いに加わっていた。正妻となったが、この地位もいつまで維持出来る事かと恐れていたのだろう。
「黄帝を殺したの?」
「殺せるはずなど無い!妾は愛していたのだ…殺せるはずなど無い…」
うわ言の様に呟き続けている。精神が病んでいるのだろう。誰も居なくなった城で、一体何を守ろう言うのか?私は目の前で黄帝を殺害して見せた。
「ねぇ?降伏するなら、皆んな生き返らせてあげる。勿論、黄帝もよ」
「皇上、皇上が生き返るの!?早く、早く生き返らせて…早くうぅぅぅ…」
嗚咽して、それ以上は何も喋られなくなった。
「まぁ、良いや。約束よ?」
私は黄帝達を黄泉還反魂で生き返らせた。私の命令に絶対服従となる以外は、至って普通に過ごせる。これでもう天龍界で私の敵に回る者はいない。
長かった龍戦争もようやく終わった。私は龍神魔を統一させた。私の野望が叶った瞬間だ。隠し切れない笑いが込み上げ、高らかに笑った。その笑いを理解した者は、共に笑った。阿籍は意外そうな表情で、私を見つめていた。そして麻里奈を連れて行った。本気で麻里奈と寝るつもりなのか?
天龍界の法を整備し、神魔界に行き来する為のゲートを建設した。やる事は山積みだ。天界に戻っても、嫌と言うほど書状が積み上げられているに違いない。
私は天龍界から応龍だけ、天界に連れて行く事にした。結局、応龍には誰も勝てなかった。それ故に私の側近にしたのだ。いわゆるボディガードだ。
天界に着くと、太上老君が待ち構えていた。
「此度の事、聞き及んでおりまする。先ずは祝辞を述べたいと思います。しかし、その間に皇上の採決待ちの案件が山ほど…」
途中まで聞いているうちに逃げ出した。応龍の手を引いて寝室へと向かった。
「やっと2人きりになれたよ…」
私は応龍に口付けをすると、服を脱がせながら押し倒した。応龍は少し驚いた表情を見せたが、目を閉じて受け入れた。私は喜んで応龍と裸で抱き合った。
女の悦びは、女にしか分かるまい。男性から与えられる快楽とはまた違った快感によって全身が支配される。オルガズムを感じて、何度も意識を失った。下手くそな男とは比べものにならないほど気持ちいい。
応龍は可愛く小さな声で喘いでいたが、最終的には絶叫級の喘ぎ声になり、これは宮中に響いているんじゃないのか?恥ずかしい、と思ってドキドキした。
それがまた快感を増したのは秘密だ。連日の様に応龍と愉しんでいると、雪英がヤキモチを妬いた。
阿籍の姿が見えないと思ったら、麻里奈を娶る事にしたらしい。まぁ、見た目だけなら私だし…本音を言うと、何だか物凄く複雑な心境だ。私の元旦那が妹と結婚する、そんな感じの心境だ。これは不倫しちゃうかも知れない…。麻里奈に悪いので、阿籍には近付かない様にしよう。
さて、天界も天龍界も落ち着いたので、人間界が気になる。時間を巻き戻す必要がありそうなので、魔王アーシャを連れて行く事にした。
そうは言っても久しぶりの人間界だ。高鳴る胸が、ハヤる気持ちを表していた。
「他の皆んなは?」
ミカエルがそれどころでは無いと言う表情をして、目線で教えた。その先には、魔王ロードやルシエラ達、魔族が血を流して倒れていた。
「まさか皆んな、やられたの?」
それには答えずに黄帝に向き直した。そんなに強いのか?阿籍や哥哥の攻撃は当たっているし、致命傷のはずが平然とカウンターを繰り出して来る。
「そんな…まさか不死なの?」
「不死には違いないわね?でも死なないのでは無くて、私と同じ不死者だわ」
麻里奈が到着して、私の横で答えた。
「黄帝が不死者…」
だがミカエルは神聖攻撃しか出来ない。神聖攻撃を受けて倒れない不死者が存在するのか?
黄帝の攻撃は凄まじく、皆んな遠距離攻撃しか出来なかったが、私は近くに接近する為に、ダメージを受けながら間合いを詰めた。
「無茶だ、止めろ!小虞」
致命傷を何度も受けて至近距離に近づいた。このタイミングで宮本武蔵を生き返らせて、近接戦闘に持ち込んだ。すると黄帝の身体に糸が付いていて、まるで操り人形の様に動かされている事に気付いた。武蔵は容易く、その糸を斬った。
「こ、これは…」
「ふふふ、おかしいと思ったのよねぇ」
振り返ると、すぐ側に麻里奈がいた。
「ふぅ~っ」
麻里奈が腐敗の瘴気を吐き出すと、黄帝は朽ち果てて糸も切れた。
「出て来なさい!貴女はもう終わりよ」
「貴女?女…って事?」
麻里奈はそれには答えずに、糸の先を睨んで言った。
「こんな事が出来るのは、貴女だけだって言っているのよ?嫘祖」
嫘祖だって?黄帝の正妻の名前では無いか。そう思っていると、奥から姿を見せたのは、果たして高貴な女性であった。
「よく分かったわね?どうして妾だと分かった?」
「ふふふ、だって貴女は養蚕の祖と言われているじゃないの。糸を操るのは、お手のモノでしょう?」
「なるほど…だがそれで妾の事を知った気になるでない」
指先から白い糸を出して、空を斬った。見えない糸は殿中の柱を切断し、床をも斬った。
麻里奈は避け様ともせず、横たわる黄帝の遺体に近づいて呪文を唱えると、黄帝は蘇った。
「もう止めるんだ 嫘祖」
黄帝が嫘祖に呼び掛けた。
「嗚呼…そんなまさか…皇上?…どんな事をしても生き返らなかったのに…」
嫘祖は、手を止めて呆然と黄帝を眺め見ていた。
「他の妃嬪はどうしたの?」
「女節、三妃、嫫母の事かしら?」
「そうよ」
「生かしておく訳があるまい。妾を何度も陥れた者共だ」
後宮は女の園だが、皇帝の寵愛を受ける為に他者を陥れる。自分より先に妊娠すれば、流産する様にありとあらゆる手段を講じる。無事に子供が生まれて来ても、油断は出来ない。皇太子に立てられるまで争い続ける。先んじられれば、廃立される様に陥れられる。皇帝になる日まで、心が安まる時は無い。
皇帝になれば、かつてのライバルであった兄弟達を、適当な理由をつけて誅殺していくのである。
嫘祖もまた、この壮絶な権力争いに加わっていた。正妻となったが、この地位もいつまで維持出来る事かと恐れていたのだろう。
「黄帝を殺したの?」
「殺せるはずなど無い!妾は愛していたのだ…殺せるはずなど無い…」
うわ言の様に呟き続けている。精神が病んでいるのだろう。誰も居なくなった城で、一体何を守ろう言うのか?私は目の前で黄帝を殺害して見せた。
「ねぇ?降伏するなら、皆んな生き返らせてあげる。勿論、黄帝もよ」
「皇上、皇上が生き返るの!?早く、早く生き返らせて…早くうぅぅぅ…」
嗚咽して、それ以上は何も喋られなくなった。
「まぁ、良いや。約束よ?」
私は黄帝達を黄泉還反魂で生き返らせた。私の命令に絶対服従となる以外は、至って普通に過ごせる。これでもう天龍界で私の敵に回る者はいない。
長かった龍戦争もようやく終わった。私は龍神魔を統一させた。私の野望が叶った瞬間だ。隠し切れない笑いが込み上げ、高らかに笑った。その笑いを理解した者は、共に笑った。阿籍は意外そうな表情で、私を見つめていた。そして麻里奈を連れて行った。本気で麻里奈と寝るつもりなのか?
天龍界の法を整備し、神魔界に行き来する為のゲートを建設した。やる事は山積みだ。天界に戻っても、嫌と言うほど書状が積み上げられているに違いない。
私は天龍界から応龍だけ、天界に連れて行く事にした。結局、応龍には誰も勝てなかった。それ故に私の側近にしたのだ。いわゆるボディガードだ。
天界に着くと、太上老君が待ち構えていた。
「此度の事、聞き及んでおりまする。先ずは祝辞を述べたいと思います。しかし、その間に皇上の採決待ちの案件が山ほど…」
途中まで聞いているうちに逃げ出した。応龍の手を引いて寝室へと向かった。
「やっと2人きりになれたよ…」
私は応龍に口付けをすると、服を脱がせながら押し倒した。応龍は少し驚いた表情を見せたが、目を閉じて受け入れた。私は喜んで応龍と裸で抱き合った。
女の悦びは、女にしか分かるまい。男性から与えられる快楽とはまた違った快感によって全身が支配される。オルガズムを感じて、何度も意識を失った。下手くそな男とは比べものにならないほど気持ちいい。
応龍は可愛く小さな声で喘いでいたが、最終的には絶叫級の喘ぎ声になり、これは宮中に響いているんじゃないのか?恥ずかしい、と思ってドキドキした。
それがまた快感を増したのは秘密だ。連日の様に応龍と愉しんでいると、雪英がヤキモチを妬いた。
阿籍の姿が見えないと思ったら、麻里奈を娶る事にしたらしい。まぁ、見た目だけなら私だし…本音を言うと、何だか物凄く複雑な心境だ。私の元旦那が妹と結婚する、そんな感じの心境だ。これは不倫しちゃうかも知れない…。麻里奈に悪いので、阿籍には近付かない様にしよう。
さて、天界も天龍界も落ち着いたので、人間界が気になる。時間を巻き戻す必要がありそうなので、魔王アーシャを連れて行く事にした。
そうは言っても久しぶりの人間界だ。高鳴る胸が、ハヤる気持ちを表していた。
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