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【第8部〜龍戦争〜】
第24話 不死の女帝
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ゲートが光り、現れた者がいた。アナトに群がる黄帝の兵士らを一瞥すると、左手で振り払う様な動作をした。すると、兵士らは骸骨となって朽ち果てたのだ。
「な、なんだ、貴様は?」
「て、天道神君が2人!?」
アナトにそっくりなその女性は、ゆっくりとアナトに向かって歩いて来た。
「ふふふ、無様な姿ね。ん?性器から精子が垂れてない所を見ると、未遂で終わったのね?もう少し後から来てやれば良かったかしら?」
「何なのだ、と聞いている!」
「五月蝿いわね…そんなに死にたいの?」
力牧が矢を放つと、当たる直前で朽ち果てた。
「何っ!?」
「これならどうだ!五射連撃!」
連続で放たれた5つの矢は、全て同じ軌道を描き、4射まで朽ち果てて落とされたが、最後の1射は命中して胸を貫いた。
「あははは、くすぐったいわね」
矢を引き抜くと、力牧から視線をアナトに移した。
『衣装替』
生活魔法を唱えて、意識の無いアナトに服を着せた。
無視された力牧は怒り、アナトにそっくりな女性に斬りかかった。
「ふぅ~っ」
力牧に向かって、腐敗の瘴気を吹き掛けると、左肩が朽ちて骨が剥き出しになった。
「うぐあぁぁっ」
「ははは、その肩ではもう得意の弓は使えないわね?」
「な、何なのだ、お前は?」
「そればっかりね?情報不足じゃないの?まぁ、教えてあげるわ。私は、神崎麻里奈。今は『不死之女帝』と名乗っているわ」
「不死之女帝…?」
と言う事は、アンデットか?対アンデット用の武器を用意しておらず、魔法も無い。女帝と名乗るからには、最上位種だろう。
今戦うのは不利と見て、逃げようとした。
「逃すはず無いでしょう?」
力牧が乗っている飛龍に、瘴気の息を吹き掛けると、朽ちて骨になり転げ落ちた。
「ひいぃぃぃ…ま、待て。頼む、見逃してくれ!」
「良いわよ?」
「ほ、本当か?助かっ…」
安堵した瞬間に間合いを詰められて、瘴気を全身に吹き掛けられた。
「本当な訳無いじゃない。あははは…。それにしても無様ね。さっさと起きなさいよ!」
麻里奈は、アナトのお腹に蹴りを入れた。
「げほっ、うぐぅ…痛っ…う、うん…、んっ?麻里奈?」
「そうよ、何を無様に転がってるのよ」
「麻里奈が助けてくれたの?」
「不本意だけど、そうなるわね…」
「助けてくれて、有難う。麻里奈ぁ~」
ギュウっと麻里奈を抱きしめた。
「あー、はい、はい、はい。そう言うのは良いから…どぅ、どぅ、どぅ…」
麻里奈は私の肩をタップして離れろ合図を送って来たが、私は嬉しくて更に強くハグをして、ほっぺにチュウをすると、照れ臭そうにした。
「何なのよ、全く…。いつもいつも調子が狂うわね…」
私は今までの出来事を麻里奈に話した。
「ふぅ~ん、それで逃げて来たの?」
「そ、それは…」
「ふふふ、そんなに悲しそうな顔をしないでよ。私と貴女がいれば十分だわ」
麻里奈がゲートを顎で指すと、アンデットの軍団が続々とゲートを抜けてやって来た。
「さぁ、ママをイジメてくれた仕返しに行くわよ!」
「誰がママよ?」
「あんなに私の麻里奈ぁ~って言ってたのに?あははは」
神は妊娠率が限りなく0に近い。その私がやっとの思いで妊娠したが、流産してしまった。悲しみで心が壊れそうになり、禁呪を使って死んだ我が子を生き返らせたが、それは生き返った訳ではなく、私の負の感情が乗り移っただけの複製体だった。つまり、もう1人の自分自身なのだ。しかし死んだ我が子の遺体を媒介している為に、アンデットだったのだ。
麻里奈はアナトと全く同じスキルを使う事が出来るが、光魔法を使うと自分もダメージを受ける為、使えるが使わない。
死んだ我が子の遺体を媒介しているので、身体は我が子だが、その魂は自分自身の心の闇なのだ。何とも複雑な関係だ。身体は我が子で精神は自分なのだから。
『飛翔』
「行くよぉ」
猛烈なスピードでルシフェル達の元へ向かう麻里奈に、追い縋るのが精一杯だった。
(まさか、テンダラースの限界を超えた私よりも強いの?)
麻里奈の背を見ながら、そんな事を考えていた。
ミカエルは、横たわるルシフェルの亡骸を横目で見て涙した。風后の戦術は凄まじく、率いた兵の全てを失った。陣を突破する事も出来ず、逃げる事さえ叶わなかった。攻撃して退く、これを繰り返されて遂には力尽きた。
ミカエルに気を取られなければ、大哥がやられる事は無かっただろう。
ミカエルは愛しい兄の亡骸を敵の手に渡すまいと、孤軍奮闘していた。
「お前さえ倒せば!」
「やれやれ、浅知恵ですね。お前に付き合って一騎討ちをしてやるほど甘くは無い。…無いのですが、黄帝の四賢臣であるこの私が弱い等と中傷を受ければ、陛下の名に傷が付く。良いでしょう。かかって来なさい」
輿から降りると、鉄扇を翻してミカエルのレーヴァテインを受け流し、カウンターで腹から胸を斬り裂いた。鮮血がほとばしって、血を吐いて倒れた。
「お兄様…お兄様…」
地面を這いずってルシフェルに手を伸ばしたが、遠くて手が届かず意識を失った。
「ふっ、愚かな。結果は見えていたものを何故に足掻く」
風后は配下に命じて、ルシフェルとミカエルの首を落とした。
すると、上空からドラゴンゾンビが炎を吐いて風后の兵を焼いた。そして、ヒラリと身を翻して地上に降りると、ルシフェルとミカエルの首を持つ者は、腐敗して朽ち果てた。
「あら、少し遅かったようね?ま、貴女が居ればどうにでもなるでしょう?」
続けて私も地面に降り立った。
「な、なんだ、貴様は?」
「て、天道神君が2人!?」
アナトにそっくりなその女性は、ゆっくりとアナトに向かって歩いて来た。
「ふふふ、無様な姿ね。ん?性器から精子が垂れてない所を見ると、未遂で終わったのね?もう少し後から来てやれば良かったかしら?」
「何なのだ、と聞いている!」
「五月蝿いわね…そんなに死にたいの?」
力牧が矢を放つと、当たる直前で朽ち果てた。
「何っ!?」
「これならどうだ!五射連撃!」
連続で放たれた5つの矢は、全て同じ軌道を描き、4射まで朽ち果てて落とされたが、最後の1射は命中して胸を貫いた。
「あははは、くすぐったいわね」
矢を引き抜くと、力牧から視線をアナトに移した。
『衣装替』
生活魔法を唱えて、意識の無いアナトに服を着せた。
無視された力牧は怒り、アナトにそっくりな女性に斬りかかった。
「ふぅ~っ」
力牧に向かって、腐敗の瘴気を吹き掛けると、左肩が朽ちて骨が剥き出しになった。
「うぐあぁぁっ」
「ははは、その肩ではもう得意の弓は使えないわね?」
「な、何なのだ、お前は?」
「そればっかりね?情報不足じゃないの?まぁ、教えてあげるわ。私は、神崎麻里奈。今は『不死之女帝』と名乗っているわ」
「不死之女帝…?」
と言う事は、アンデットか?対アンデット用の武器を用意しておらず、魔法も無い。女帝と名乗るからには、最上位種だろう。
今戦うのは不利と見て、逃げようとした。
「逃すはず無いでしょう?」
力牧が乗っている飛龍に、瘴気の息を吹き掛けると、朽ちて骨になり転げ落ちた。
「ひいぃぃぃ…ま、待て。頼む、見逃してくれ!」
「良いわよ?」
「ほ、本当か?助かっ…」
安堵した瞬間に間合いを詰められて、瘴気を全身に吹き掛けられた。
「本当な訳無いじゃない。あははは…。それにしても無様ね。さっさと起きなさいよ!」
麻里奈は、アナトのお腹に蹴りを入れた。
「げほっ、うぐぅ…痛っ…う、うん…、んっ?麻里奈?」
「そうよ、何を無様に転がってるのよ」
「麻里奈が助けてくれたの?」
「不本意だけど、そうなるわね…」
「助けてくれて、有難う。麻里奈ぁ~」
ギュウっと麻里奈を抱きしめた。
「あー、はい、はい、はい。そう言うのは良いから…どぅ、どぅ、どぅ…」
麻里奈は私の肩をタップして離れろ合図を送って来たが、私は嬉しくて更に強くハグをして、ほっぺにチュウをすると、照れ臭そうにした。
「何なのよ、全く…。いつもいつも調子が狂うわね…」
私は今までの出来事を麻里奈に話した。
「ふぅ~ん、それで逃げて来たの?」
「そ、それは…」
「ふふふ、そんなに悲しそうな顔をしないでよ。私と貴女がいれば十分だわ」
麻里奈がゲートを顎で指すと、アンデットの軍団が続々とゲートを抜けてやって来た。
「さぁ、ママをイジメてくれた仕返しに行くわよ!」
「誰がママよ?」
「あんなに私の麻里奈ぁ~って言ってたのに?あははは」
神は妊娠率が限りなく0に近い。その私がやっとの思いで妊娠したが、流産してしまった。悲しみで心が壊れそうになり、禁呪を使って死んだ我が子を生き返らせたが、それは生き返った訳ではなく、私の負の感情が乗り移っただけの複製体だった。つまり、もう1人の自分自身なのだ。しかし死んだ我が子の遺体を媒介している為に、アンデットだったのだ。
麻里奈はアナトと全く同じスキルを使う事が出来るが、光魔法を使うと自分もダメージを受ける為、使えるが使わない。
死んだ我が子の遺体を媒介しているので、身体は我が子だが、その魂は自分自身の心の闇なのだ。何とも複雑な関係だ。身体は我が子で精神は自分なのだから。
『飛翔』
「行くよぉ」
猛烈なスピードでルシフェル達の元へ向かう麻里奈に、追い縋るのが精一杯だった。
(まさか、テンダラースの限界を超えた私よりも強いの?)
麻里奈の背を見ながら、そんな事を考えていた。
ミカエルは、横たわるルシフェルの亡骸を横目で見て涙した。風后の戦術は凄まじく、率いた兵の全てを失った。陣を突破する事も出来ず、逃げる事さえ叶わなかった。攻撃して退く、これを繰り返されて遂には力尽きた。
ミカエルに気を取られなければ、大哥がやられる事は無かっただろう。
ミカエルは愛しい兄の亡骸を敵の手に渡すまいと、孤軍奮闘していた。
「お前さえ倒せば!」
「やれやれ、浅知恵ですね。お前に付き合って一騎討ちをしてやるほど甘くは無い。…無いのですが、黄帝の四賢臣であるこの私が弱い等と中傷を受ければ、陛下の名に傷が付く。良いでしょう。かかって来なさい」
輿から降りると、鉄扇を翻してミカエルのレーヴァテインを受け流し、カウンターで腹から胸を斬り裂いた。鮮血がほとばしって、血を吐いて倒れた。
「お兄様…お兄様…」
地面を這いずってルシフェルに手を伸ばしたが、遠くて手が届かず意識を失った。
「ふっ、愚かな。結果は見えていたものを何故に足掻く」
風后は配下に命じて、ルシフェルとミカエルの首を落とした。
すると、上空からドラゴンゾンビが炎を吐いて風后の兵を焼いた。そして、ヒラリと身を翻して地上に降りると、ルシフェルとミカエルの首を持つ者は、腐敗して朽ち果てた。
「あら、少し遅かったようね?ま、貴女が居ればどうにでもなるでしょう?」
続けて私も地面に降り立った。
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